PROJECT
STORY
03
ADAS(先進運転支援)
死亡事故ゼロの社会をめざすこと
で、まだ見ぬ答えに挑む!
PROJECT
MEMBER
プロジェクトメンバー
実験・認証エンジニア
Mitsuru.O
OUTLINE
概要進む自動車の先進技術化。中でも注目されているのが、自動運転およびADAS(先進運転支援システム)。ADASの技術領域は、GPSやカメラ、ミリ波レーダーなどによる車両位置の特定や認識の技術、ハンドルの電動化、アクセルのバイワイヤ化、道路状況の認識判断などに必要なAIや通信技術など多岐にわたる。パーソルクロステクノロジーでは「派遣」と「請負」という2ラインで、自動車メーカーのADAS開発をサポートする。
-
01
ADAS(先進運転支援) × 死亡事故ゼロの社会をめざすこと
自動車の安全性に大きく関わる「車両実験」。日々進化する先端技術に対応するには?
私たちのお客様である自動車メーカーでは、日々新技術が開発されています。私たちが主に担当するのは開発のほぼ最終段階、「車両実験」の工程です。発売前の試験車をテストコースで実際に動かし、国が定めた法律の基準や目標性能に対して満足しているか、徹底的にテストします。近年は、各種センサーで歩行者などの交通弱者を察知し、自動でブレーキをかける「衝突軽減ブレーキ」など、先進技術でドライバーを支援する予防安全機能が急速に進化しています。私たちも常に新たな知識を蓄え、スキルを磨くため、自動車メーカーやサプライヤー(自動車パーツを開発するカメラメーカーなど)に「派遣」としてスタッフを送り、知見をキャッチアップ。そして、十分にスキルアップしたスタッフを中心に「請負」の形で車両実験を行う、この2つのラインで事業を拡大しています。私はメーカー出身ですが、当社では多くのメーカーやサプライヤーの仕事に携われるので、先進技術の全体像が俯瞰できるようになりました。我々のミッションステートメントである「技術の可能性に期待するすべての声に、応えつづけていく」ために、人を磨き、技術を磨き、歩みを止めずに日々進化しています。
-
-
02
プロジェクト発足の経緯
5年後、10年後を見据えた「技術戦略」に沿って事業領域を拡大していく。
当社には、新しいことに挑戦して事業領域を拡大していくための、「技術戦略」を考える社内プロジェクトがあります。既存事業の関連領域で、5年後や10年後にどんな分野が拡大しているのかを先読みし、その技術を先行して取り入れる活動です。例えば、自動車基準調和世界フォーラム(WP29)という国連の下部組織から発信される情報を収集・分析することで、自動車の未来像、つまりどんな機能が搭載され、どんな法律ができていくのかを予測します。自動運転・ADASへの取り組みも、技術戦略プロジェクトによって始まりました。以上が会社としての成長の観点ですが、もう一つ大事にしているのが、お客様の掲げる「死亡事故ゼロ」という目標に少しでも寄与することです。私たちの直接のお客様は自動車メーカーですが、「メーカーさんのさらにその先の、『メーカーのお客様』のためにやるんだよ」とスタッフに常に伝えています。現在は国内メーカー6社から車両実験を請け負いつつ、一部メーカーでは衝突軽減ブレーキなどのADASの開発にも携わっています。さまざまなメーカーがありますが、法律は一律なので、1社に携わる事で、横断的な知見を蓄積できます。
-
03
プロジェクトの提供価値
「設計から実験まで」をワンストップで提供できるのが大きな強みになってきた。
私たちの提供できるユニークな価値として、「設計から実験まで」をワンストップで提供できます。ADASに取り組む前から多くの自動車メーカーと関わってきたこともあり、開発のほぼ全工程を網羅し、サポートできます。今、自動車メーカーの開発部署の方は、すでに完成された自動車の量産よりも、最先端のプロジェクトをやりたいという方が多い状況です。そこで、量産化のプロジェクトは当社にお任せいただき、お客様にはもっと新しい事に取り組んでいただくことが増えています。もう一つの強みが、「経験」です。車両実験は「過去の事例ではこうだったので、こうすればうまくいくのではないか」という知見が物を言います。自動車のパーツは、単体ではうまく機能していても、他のパーツとの兼ね合いで問題が生じることがあります。そこで、全体がうまく機能するバランスを探ることには自信があります。私の場合、「法規認証」をずっとやってきたので、お客様が法解釈で迷っていても経験に基づいた助言ができます。そして当社には「作業標準」という文化があり、個々の経験を「標準書」という形で文章化して残しているので、知見が属人化せず、組織としての強みになっています。
-
04
プロジェクトの挑戦点
大事なのは「失敗した時の方策の有無」。
私たちも最初から豊富な経験があったわけではなく、徐々に技術を積み上げてきました。その過程では失敗を経験しています。一つ挙げると、試験車とダミー人形の位置関係を計測していたときのことです。ダミー人形の位置データは無線で通信されるのですが、無線速度にタイムラグがあり、試験車側とのデータ同期が正確にできていなかったことがありました。その後、誤りに気付きすべてをやり直したという苦い経験です。運転支援など極めて新しい領域への挑戦では、「経験したからこそ見えた課題」という発見や落とし穴があります。安心・安全に関わる以上、常に悪いケースも念頭においてテストをする必要があります。大事なのは「失敗したときの方策」があること。当社には失敗を含む多くの経験があり、それらを会社として「作業標準」に落とし込み蓄積することで、新しいスタッフに伝える文化があります。また、ADASのチームはまだ発足してから日が浅いのですが、当社には自動車開発におけるあらゆる試験工程に対応するチームがあります。チーム同士で知見や人材を交換することによる、「多能化」という人材育成を行っており、他のチームのメンバーもADASに対応できるようになっています。
-
-
05
今後の展望
日本にも自動運転の時代がすぐそこに。「その先」を見越した戦略を。
私たちのチームでは、来年メンバーを増員することになっています。現在はあくまでもADASということで、基本的には「ドライバーの支援」をする技術なのですが、これからはいわゆる「自動運転」に向けた業務が増えてきます。社内の技術戦略プロジェクトで未来を予測し、自動運転への準備を進めています。例えば、特定の地域での自動運転が認可されるプロジェクトがあるので、そういった取り組みに参加できないか、調査をしています。100%信頼がおける自動運転はまだまだ先の話ですが、今の段階で失敗がなければ成長できません。失敗があるからこそ、次の時代の安心・安全につながっていく。そのために人材育成を行っていますが、「車両実験」ができる人材の育成には時間がかかります。トラブルの経験や知見という部分ももちろんですが、実は一番難しいのが、テストコースでの運転技術です。非常に繊細な運転を求められるため、かなりの経験を積まないとテストドライバーにはなれません。もし自動車の運転が好きなエンジニアがいたら、ぜひ私たちの仲間に加わってほしいですね。
-