PROJECT
STORY
01
空飛ぶクルマ
社会インフラ課題解決
で、まだ見ぬ答えに挑む!
PROJECT
MEMBER
プロジェクトメンバー
構造試験
Koji.M
東海地区「実験部」マネジメント管理
Koji.T
OUTLINE
概要株式会社SkyDrive様が開発を主導し、世界的にも注目が集まる「空飛ぶクルマ」。開発に欠かせない「構造試験」をはじめ、航空機に関わる実績と深い知識・スキルを有するエンジニアを派遣し、設計、実証・実験、解析、インフラ整備など幅広く技術サポートを行っている。製品の開発を通し、先端テクノロジーの発展と物流・運搬における社会課題解決への貢献を目指す。
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01
空飛ぶクルマ×社会インフラ課題解決
「先端技術で社会課題解決」のビジネスモデルに共感し、"空飛ぶクルマ"の開発をサポート。
本プロジェクトでは、株式会社SkyDrive様が手掛ける「空飛ぶクルマ」の開発において11人のエンジニアが活躍しています。私たちが開発に携わっている「空飛ぶクルマ」と呼ばれるものは、すべて複数のプロペラが付き垂直に離着陸ができる「eVTOL(電動垂直離着陸機)」の一種です。SkyDrive社様では人が搭乗できるエアモビリティのほか、人力で持ち上げるには重たい物資を運ぶことができる産業用の「カーゴドローン」も開発しています。プロジェクトの根幹には社会課題の解決があり、例えばカーゴドローンは、山岳地帯など、作業者の行き来が困難な地域への物資の運搬に活用できます。無人で飛行できるため、作業者自身が荷物を運ぶ必要がなく、運転人材の不足といった雇用課題も解決可能です。こうした社会課題の解決に寄与できることを前提にビジネスモデルが組まれています。技術で働き方に変革を起こし、社会課題の解決を図りたいという当社とSkyDrive社様の方向性が一致し、サポートができることに魅力を感じて、エンジニアによる技術支援という形で参画することになりました。
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02
プロジェクト発足の経緯/提供価値
「設計」「実証・実験」「解析」... ニッチな知識と実績を持つエンジニアを幅広く派遣。
SkyDrive社様が同事業を始めるにあたり特に苦労されたのが、"空を飛ぶ"機体に関わる実績を持ったエンジニアの確保だったそうです。パーソルクロステクノロジーには重工系メーカーでロケットや飛翔体などに関わっていた実績と、ニッチで深い知識やスキルを有するベテランのエンジニアが多数在籍しています。そうした人材を中心に、設計、実証・実験、解析などあらゆる分野のスペシャリストが集まり、状況の整理や必要な人材の見極めも含めて、幅広く技術サポートできる点が強みでした。ちょうどコロナ禍の影響で関わっていた民間航空機の開発プロジェクトが凍結されるなど、状況に変化があったときにご相談をいただき、2020年7月からエンジニアを派遣することになりました。現在関わっている11名の担当領域はさまざまですが、松井が所属する開発部のほか、設計、解析、ITインフラ整備、環境全体のインフラ整備など多岐にわたっています。プロジェクト自体の規模も参入時の総勢約60名から400人規模へと拡大しました。配属されたメンバーは、製品の開発を通じてこれまで誰も経験したことのない最先端の分野に携わることができ、みなとても楽しそうに仕事をしています。
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03
プロジェクトの挑戦点(1)
12枚のプロペラを装着する機体、推力・動力がどう分散するのかは「未知の領域」。
開発部で行われる「構造試験」では、さまざまな試験を通して、運搬する対象物に適した推力を持つモーターとプロペラを選定します。実機に搭載する前に、まずは「テストベンチ」というワール・タワー試験装置(※1)を使いモーター・プロペラ単体での評価を行います。その後、実機を縮小したスケールモデルで風洞試験(※2)などを行い、実機開発へと進みます。最初はカーゴドローンを担当し、現在は3人の乗りのエアモビリティ「SKYDRIVE(SD-05型)」の開発に携わっています。
ヘリコプターなどと比べて難しいと感じるのが、プロペラの枚数が多い点です。「SKYDRIVE(SD-05型)」には機体の重さや整備コストなどのバランスを見たうえで、安全を考慮して12枚のプロペラが装着されています。これらによって分散する動力が機体にどう影響するのか、風の影響で12枚が同時に動くときに推力の方向がどのような変化を起こすかは未知の領域です。モーターの種類も多岐にわたるため、それぞれの特性とプロペラ側の特性の相性を見極めるために、何度も何度も試験を行い、組み合わせを検証します。雪で試験が中断することもあり、カーゴドローンのときは1年以上をかけてやっと「これだ!」と思える組み合わせにたどり着けました。
※1ワール・タワー試験:プロペラやブレードを地上で実際に回転させる設備「ワール・タワー」を使って、機能や性能、振動特性を確認する試験。
※2風洞試験:人工的に風を起こせる施設で、航空機などが飛ぶ際の空気による影響の特性や、機体周りの空気の流れを調べる試験。 -
04
プロジェクトの挑戦点(2)
「人災を起こさない」が最優先。インフラの無い土地を切り拓き試験場を建設する。
こうした開発では、試験を行う場所自体も最初から用意されているものではなく、求められる試験に適した場所の選定と、環境の構築から始める必要があります。スケールモデルの風洞試験はJAXAの専用設備で行えますが、実機と同じサイズとなるフルスケールモデルの他の試験は開発における守秘義務の問題や騒音問題を鑑みて、標高が800メートルほどのインフラも通っていない山奥に籠もって行っています。まずは指定されたエリアから実験施設を設置するのに適した場所を選定し、一から整地します。施設を建て、インフラを整備し、必要な治具や計器を設置してようやく試験が始まります。開発段階では何が起こるか分からないため、一番気を付けているのは安全性の確保です。カーゴドローンはまだ小型と呼べるものですが、有人機はプロペラもモーターも比較にならないほど大きい。回転スピードも速く、もしプロペラが飛散した場合、災害級の被害をもたらす可能性も考えられます。施設周辺の安全性を確認し、その観点から確実に整備しなくてはいけません。何かあったときにも絶対「人災は起こさない!」という心構えで、環境づくりには細心の注意を払っています。
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今後の展望
先端テクノロジー開発の"主役"となれるよう、技術支援を通して共生進化を図る。
カーゴドローンは完成機がすでに世の中へと出ており、被災地でも使用されています。「SKYDRIVE(SD-05型)」は、2025年の大阪・関西万博で披露される予定です。日本が持つ「空飛ぶクルマ」の技術を世界に知らしめる絶好の機会ですし、一般の方々の注目も集まっているので、ぜひ飛行を成功させ、私たちの技術の結晶を多くの方々に見てもらえることを期待しています。
また、量産化に向けて必須となるのは「型式証明(TC)」の取得です。開発した機体が世に出る時、最も安全な物になっていると証明できるまで試験と調整を繰り返す必要があり、"空飛ぶクルマ"の実用に向けて非常に重要なタームとも言えます。これまで航空機の型式証明試験で培ってきた技術と経験を生かして、何とか取得を目指したいと考えています。今後はこの分野の先端テクノロジー開発といえば「パーソルクロステクノロジー」と想起されるような企業になっていきたいです。同業界の"主役"を担える会社を目指し、SkyDrive社様の事業拡大・開発への継続的な支援を通じて、共生進化をしていけたらうれしいです。 -