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STORY

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People Interview

ベンチ型自動運転モビリティ開発

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ゼロからのものづくり

で、まだ見ぬ答えに挑む!

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MEMBER

プロジェクトメンバー
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機械設計エンジニア

Koji.S

パーソルR&Dの前身会社のひとつである旧日産ディーゼル技術研究所にて約16年間、商用車系のエンジン技術者を経験。パーソルクロステクノロジーの所属になってからはマネージャーとして多様なプロジェクトの管理を担当。

OUTLINE

概要

久留米工業大学 インテリジェント・モビリティ研究所とLe DESIGN株式会社(久留米工業大学発ベンチャー)と共同で、ベンチ型自動運転モビリティ「PARTNER MOBILITY ONE」を開発するプロジェクト。パーソルクロステクノロジーは、自動車など輸送機器関連の豊富な技術・知見とモビリティ開発のノウハウを活かし、車両の設計開発を担当した。

  • 01

    ベンチ型自動運転モビリティ開発×ゼロからのものづくり

    アウトソーシング企業が、ゼロからのものづくりに挑戦。

    「PARTNER MOBILITY ONE」は、2~3人が荷物とともに乗車可能なベンチ型のモビリティです。同車両を専用アプリで呼び出すと、最寄りの車両が無人運転で到着。行き先を伝えると、自動運転で安全に目的地まで乗車することができます。大型のテーマパークや公園、ショッピングモール、空港、駅、介護施設、医療機関などでの利用を想定し、開発されました。ベンチ型で機器が搭載しやすいため、施設内の配送業務や安全監視業務などさまざまな場面での活躍が期待されています。
    当社では最新技術の習得を目指し、社内で搬送用モビリティの開発を行っていましたが、自社製品を製造した経験はありませんでした。自社での「ゼロからのものづくり」という意味では初めての挑戦です。私がプロジェクトマネージャーとなり、6名のチームで設計開発を担当。エンジンの設計者がモーターの要素を取り入れるなど、培ってきた経験を活かすとともに新たな知識を活用しながら設計を進めました。初めての経験だけに多くの壁に直面しましたが、今回得た知見は当社の財産です。モビリティ開発の知見を、他業界へ展開していく足掛かりとなるプロジェクトになりました。

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  • 02

    プロジェクト発足の経緯

    輸送機器関連の豊富な経験に加え、自社で培ったモビリティ開発のノウハウを活かす。

    久留米工業大学から、ベンチ型自動運転モビリティの設計開発を依頼いただいたことがプロジェクト立ち上げのきっかけです。同大学ではもともと車椅子に自動運転システムを搭載し、実証実験を行っていました。そのなかで、同行する歩行者との会話がしにくい点や、同行者などが近づきすぎると停止してしまうという課題を発見。これらの課題を解決し、また複数人乗りだからこそできる体験も提供したい、との想いから2~3人乗り車両の開発を依頼いただきました。
    当社では社内活動の一つとして、これから社会で必要とされる電動化や自動化などの技術を獲得するための社内プロジェクトを実施しています。電動モビリティに関する技術要素を社内に蓄積するため、搬送用モビリティの開発も行っていました。従来からの強みである自動車開発など輸送機器関連の豊富な経験に加え、モーターを活用したパワーユニットの設計といった電動モビリティ開発のノウハウも活かせると考え、お引き受けすることにしました。

  • 03

    プロジェクトの提供価値

    新しい形のモビリティ開発で、移動支援サービスの発展に貢献。

    モビリティの車両設計は、機械、電気電子、制御ソフトの3つの分野で構成されています。自動車開発に強みを持つ当社には、それぞれの分野に精通した技術者が多数在籍しているため、各分野のスペシャリストを集め、プロジェクトチームを編成しました。まずは機械担当のメンバーが、複数人乗り車両に最適なモーターを選定。速度や傾斜、段差対応など、走行するための要件をクリアする主要部品の配置検討と並行し、車両のデザインを決定します。その後、電気電子担当が、設定されたモーターやバッテリーを正常に作動させるための電気回路を作成。そこに制御ソフト担当も加わり、安全な走行や運用を行うためのPCを選定し、制御プログラムを作成します。本モビリティには「オムニホイール※」という車輪を使用していますが、車両制御の匙加減には特に注力しました。
    複数人が同時にベンチに座って景色を楽しみながら、横向きに移動する自動運転モビリティは、これまで開発されていません。進行方向に向かって座るのではなく、横向きに座って移動するという点では、移動支援サービス業界に新しいスタイルを提案しました。久留米工業大学と家具メーカーが、「PARTNER MOBILITY ONE」のために無垢木材を使用した専用シートを開発するなど、新たな取り組みも生まれています。運転手の人材不足などに伴い、多くの企業の参入が見込まれる移動支援サービスの発展に貢献できたことには価値があると考えています。

    ※オムニホイール=複数のローラーが配置された車輪。車輪の向きを変えずに前後・左右に自在に移動することができる。

  • 04

    プロジェクトの挑戦点

    部品調達からすべての工程を自社で行う、ゼロからのものづくり。

    自社製品の開発・製造を行ったことのない当社は、本プロジェクトで初めて、ゼロからのものづくりに挑戦。部品調達からすべての工程を自社で実施し、要件を満たす車両を1台製造することがミッションでした。加えて、当社で1台目を開発した後、大学側で車両を必要に合わせて増産する計画だったため、一般のECサイトなどで購入できる部品でつくるという前提条件がありました。候補の中でも安価で信頼性の高い製品を探したり、ボディー部品をつくるために大きな樹脂版から手加工で切り出しや曲げ加工したりと、今まで経験したことのない作業には苦労しました。
    また、ボディーのデザインに関しては何度も大学側と検討を重ね、特にこだわって製造しました。新しい移動手段として人々に積極的に活用してもらうためには、かっこ良く先進的なデザインにしなければなりません。LEDライトの配置にも注意を払い、CADでの設計段階では大学側のアイデアとぶつかり合いながら試行錯誤しました。

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  • 05

    今後の展望

    モビリティ開発で得た知見を、他業界の製品開発へ技術展開。

    「PARTNER MOBILITY ONE」の実証実験では、体験乗車した方々が会話を楽しみながら移動する様子を実際に見ることができ、チーム一同大きなやりがいを感じました。私個人としては、社内の一マネージャーとしてメンバーの管理業務を行うだけでなく、プロジェクトマネージャーとして社内外の関係者とともに一つのものをつくり上げる経験ができ、当社では多様なキャリアを描けることを実感しました。
    また、実証実験には他大学のモビリティ研究者や、多くの同業他社の方も乗りに来られていました。運送業界の2024年問題への対応、製造現場のDX、地域公共交通の活性化など、モビリティが活躍するシーンは今後も増加し、開発も加速していきます。多くの企業に技術協力を行う当社は、新たな知見をさまざまな業界に応用できる点が大きな強みです。今後は今回のプロジェクトで得た知見を社内共有し、他業界の製品開発にも展開していきたいと考えています。

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