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レポート
社内発のIT化をアドバイザー参画により整理・推進。
感性と技を磨く時間を捻出するためのDX

昨年よりパーソルテクノロジースタッフでは、フリーランスのエンジニアを業務委託型のITアドバイザーとして企業にご紹介するテックアドバイザーサービスを提供しています。社内にIT専任部門や担当者を置かない中小企業から、ペーパーレス化や社内フローのIT化などのデジタルトランスフォーメーション(DX)を中心としたITに関するご支援を行っています。 登録いただいているアドバイザーには、中小企業診断士やITコーディネータなどの経営に関する資格を保有している方も多く、ITを活用した短期的なコスト削減や業務効率改善、社員のワークライフバランス向上のみならず、中長期的な観点での企業の価値向上にも貢献しています。

【事例紹介】

東京・深川で住宅用造作家具やオーダーキッチンなどを受注生産しているニシザキ工芸株式会社では、社員が中心となり業務のIT化に取り組んでいました。そこで導入検討している手段が自社にとって最適かどうかを判断するためにテックアドバイザーを利用開始。ITを強みに経営コンサルタントとして活動しているアドバイザーが参画し、経営層と現場社員の橋渡しを行いながらIT活用による業務効率化で書類作成などの時間を短縮し、本業である「現場に入って物を作る」時間を捻出することで、人と企業の成長を目指しています。

社内発でIT化を推進するも、答えを出すための知見が足りなかった。

建設業界では週休2日制はまだまだ定着していないのが現状ですが、ニシザキ工芸の西崎社長は社員との会話をきっかけに勤務体系の在り方を検討していました。

西崎社長「結婚したばかりの若手社員が、営業日である隔週土曜日に有給休暇を取得して自主的に週休2日にしていたのです。そのことを知り時代が変わったことを実感しました。これから社員が仕事と家庭やプライベートを両立し、やりがいをもって長く働いてもらうために完全週休2日制を実現しなければと思いました。しかし現在の隔週土曜日休みから完全週休2日制に移行すると、月2日程度休みを増やすことになります。1年で24日間=約1カ月分の稼働が減ってしまう訳ですから、現状の生産性を維持しながら週休2日制を実現するためにはIT活用による業務効率化が必須だと考えました」

そんな矢先に起きた新型コロナウイルス感染拡大。感染リスク低減のためにリモート勤務を希望する社員も出てきたため、西崎社長は社内で「テレワーク推進委員会」を立ち上げ、業務のIT化に乗り出しました。委員会メンバーは、ITツールやアプリケーションを自主的に活用し自分なりに業務効率化を実践していた社員2名と経営管理部部長と社長。外部セミナーなども受講しながらノウハウをインプットしつつ、社内のコミュニケーションツールの見直し、移動中や現場からでもリモートアクセス可能な基幹システムの構築やクラウドへのリプレイスメント、遠方の協力会社と円滑に打ち合わせするための図面のペーパーレス化など、様々な仕組みを検討しました。

様々なアプリケーションやツールの導入も進んでいく中で、西崎社長は経営者として迷いがあったと言います。

西崎社長「順調に進んでいるようで、実際には良さそうなアプリケーションやツールをアレコレとつまみ食いして、自己流の筋トレを行っているような状態になっていました。この取り組みが本当に自分たちの目指している身体づくりに直結するのか?もしかしたら必要のない筋肉をつけていないだろうか?と考えながらも、それを判断できるIT知識は私たちにはありません。そこで、専門的な知見を持つ第三者に参画してもらい、自分たちにとってベストな方法かどうかを一緒に考えてもらう必要性を感じていました」

そんな頃にパーソルテクノロジースタッフのテックアドバイザーとの出会いがありました。

現場の高い温度感と経営層の思いをつなぐために、
ITに強い経営コンサルタントをアサイン。

アドバイザーとしてアサインされたのは、ITベンダー出身で、現在は中小企業診断士やITコーディネータなどの資格を持ち、ITを強みに経営コンサルタントとして独立・開業されている岩崎さんでした。
岩崎さんは初回のアポイントで、経営層のIT推進への強い意志と現場の取り組み意欲の高さを感じ、自身がサポートすべき点を次のように考えたといいます。

岩崎さん「企業のIT活用を部分的なコスト削減やその場しのぎの対応で終わらせないためには、会社の将来に関わる重要な取り組みであることを経営者が理解していることが重要です。その点、西崎社長はITを通じて人も会社も成長させるという意志をお持ちで、既にいくつかのIT活用を始めていました。また推進担当の方々が高い温度感を持ち、様々なアイデアを出しながら実践していらっしゃるのも素晴らしいなと感じました。この会社でITアドバイザーとしてやるべきことは、会社としての方針を決め、経営と現場の思いを接続し、会社と社員にとって相互に作用し成果を最大化できるように、並行してそれぞれに走っているIT施策を整理することでした」

アドバイザーはプランニングと相談役で、浸透・啓もうは社員が実施。
コストを抑え、効果的に導入することができた。

岩崎さんは、まずは会社全体の方針、業務フロー、導入システム、コンピューター環境、組織図、IT投資への意欲度などのインタビューから始め、社内で判断に困っていた「自社にとって何がベストか」を検討するために必要な計画・要件の策定~実施までのプランニングを行っていきました。

全体のプランニングを行った後は、月に1~2回程度の打ち合わせ実施と、委員会メンバーが行き詰っていることや悩んでいることがあれば随時チャットツールを使って質問できるようにしました。実際の要件策定やサービス選定などは、委員会のメンバーが主体となり、コミュニケーションツールの導入、社員へのiPad配布、移動中や現場からでもリモートアクセス可能な基幹システムの構築、遠方の協力会社と円滑に打ち合わせするための図面のペーパーレス化などを進めていきました。

西崎社長「岩崎さんは現場のIT施策に対してだけ介入するのではなく、私たちの本来の仕事のあり方や全体のフローから見てくださり、すでに取り組んでいた一つ一つの施策に対して『〇〇のためには□□は必要ないのではないか?』『これはこのように変更すべきでは?』と分かりやすく整理して提案しながら、自分たちにとって必要な筋肉をつけるための最適な手段を導き出してくれました。また、『全体のフローを変革するタイミングがあれば追加したいと考えていたプランがある』とリクエストしたところ、ITと関係ない内容にもかかわらず盛り込んで検討してくれました。ITアドバイザーと言いながら、経営コンサルタントとしても頼りにしていました」

またコンサルタントやベンダーに丸投げするのではなく、社内メンバーが主体的に進めるのをアドバイザーとしてサポートすることでコスト的にも大きく下げられたほか、社内への浸透・啓もうにも高い効果がありました。

岩崎さん「使ったことのないITツールや業務ルールの変更について、社外のコンサルタントやアドバイザーから説明されても社員もピンと来ないはず。しかし、同僚が実際に使ってみて『〇〇というツールで△△が簡単にできた』『□□社とのやり取りが楽になった』と言っているのを聞くと、それなら使ってみようかなという気持ちになりやすい。委員会に参加している2人の社員が相手の担当業務や状況に合わせて社員を巻き込んでくれたおかげでスムーズに進められていると思います」

さらに社内のみならず、社外の協力会社とのITを活用した連携も進んでいます。委員会メンバーが中心となり協力会社にもアプリケーションを活用した図面や書類のやりとりに協力してもらうことで、コロナ禍以前は直接現地まで赴いていた地方の協力会社ともオンラインで同じ図面をみながら打ち合わせができるようになり影響範囲を広げています。

書類作成にかかる工数を最小化し、技術を磨く時間を生み出す。

ニシザキ工芸がIT活用を通して目指しているのは、週休2日のための業務効率化だけではありません。 西崎社長は、長期的な視点で社員の技術や自社の強みが磨かれていくことにも期待があるといいます。

西崎社長「私たちの会社は少数精鋭なので一人の社員が対応しなければならない業務範囲は多岐に渡ります。その中で、私たちにとって最も重要な仕事は『体を動かして物を作りだす』ということです。大量生産品ではないからこそ感性や技術を磨く時間が必要なのに、書類作成などの他の業務に追われて手を動かす時間が取れなくなってしまっては本末転倒です。IT活用で社員一人ひとりが技術を磨く時間をしっかり持てるようになることで、社員も会社も成長していけると感じています。まだまだ取り組みの最中ですが、委員会に参加してくれた社員と岩崎さんのおかげでその道筋が見えてきました」

現状、全社員や取引先がIT活用をスムーズに進められているわけではありませんが、人と会社の成長を実感しながら、さらに連携する企業や職人さんをはじめ、業界内でもIT活用が徐々に浸透していくことになりそうです。

“攻め”のIT活用を、低コストでスタートできるテックアドバイザー。

中小企業には自社ビジネスとITをよく知る情報システム部門がないことが少なくありません。情報システム部門がある場合でもトラブル対応などを中心としたヘルプデスク的な立場を担っているケースが多く、DX化など業務において“攻め”のIT活用を行う際には既存の情報システム部門できないというケースもあります。

パーソルテクノロジースタッフのテックアドバイザーサービスには、短期的なコスト削減や効率化だけではなく、中長期的な目線での会社の提供価値向上や経営計画達成のために必要なアドバイスが可能な人材の登録が多数あります。 ITアドバイザーの参画により、外部のコンサルやベンダーに丸ごと任せるほどのコストをかけずに、企業に必要なIT活用が進められるようご支援いたします。


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