ニュース(レポート)
パーソルクロステクノロジーに関するニュースについて紹介します。
発行部数45万部「なぜ僕らは働くのか」編集長 宮﨑 純さん
社内向けのキャリアイベントに登場
2021.10.11
レポート
パーソルテクノロジースタッフでは、多様な人材が”はたらく”を通じて自己実現するための取り組みの一貫として、社員が自分のキャリアや幸せについて向き合い、自分らしさを考えるイベント「一緒に考える、これからの”Myキャリア”」を半年に1回ほどの頻度で実施しています。
今年夏に開催された「一緒に考える、これからの”Myキャリア”」イベントには、はたらく上で考えるべき様々なテーマをマンガと図解でわかりやすく説明し、45万部のベストセラーになっている書籍「なぜ僕らは働くのか~君が幸せになるために考えてほしい大切なこと~」の編集を務めた学研プラスの宮﨑 純さんにご登壇いただきました。
宮崎 純さん
株式会社学研プラス 小中学生事業部シニアプロデューサー
早稲田大学理工学部卒業後、2005年に株式会社学習研究社へ入社。
高校生向けの参考書の編集者として『やさしい高校数学』『宇宙一わかりやすい高校化学』『(同)物理』などのヒットシリーズを創出。2016年に小中学生事業部へ異動後も『中学の勉強のトリセツ』『5分で論理的思考力ドリル』シリーズなどのヒットを生み出す。
学校図書館向けの書籍では『「ふつう」ってなんだ?LGBTについて知る本』『世界がぐっと近くなるSDGsとボクらをつなぐ本』など、新しいテーマの学びを学校現場へと提供している。
2020年3月に発刊した『なぜ僕らは働くのか~君が幸せになるために考えてほしいこと~』は,45万部のベストセラー(21年7月時点)を記録。
4歳の息子と1歳の娘がおり、育児に奮闘中。
『なぜ僕らは働くのか~君が幸せになるために考えてほしいこと~』特設サイト
https://gakken-ep.jp/extra/nazehatarakunoka2020/
就職活動中に気づいたキャリア教育の重要性
理系学生の定番ルートを捨てて編集者の道へ
―宮崎さんは理工学部を卒業後に編集者のキャリアをスタートされました。いわゆる文系の職種を選んだのはどうしてでしたか?
宮﨑 純(以下、宮崎):私が学生のころは、「勉強して良い学校に行って大きな会社に入ることが幸せだ」という風潮や空気がまだありました。私の両親もはっきりとは言いませんでしたが、私に対してそういう期待をしていることは感じていましたし、私自身がその期待に対して疑問を持つ事もなかったので、高校生までは将来のことを具体的に考えたことがありませんでした。大学進学にあたって文理どちらにするかという選択も、「どちらかといえば理系科目の方が得意だ」というような感覚で決めました。
編集者を志すようになったのは、大学1年生の時に始めた塾講師のアルバイトがきっかけです。「授業がわかりやすかった」、「作ったプリントのおかげで理解できるようになった」、そんな声を子どもから貰い、教育に興味を持ちました。大学では教職課程を受けたのですが、「教師よりも、もっと多くの人に影響を与えられる仕事をしたい」と思うようになり、参考書など教育にまつわる書籍をつくっている”出版社”を志望しました。でも就職活動はかなり苦労しました。
―どんな苦労があったのですか?
宮﨑:理系の学生は一般的に大学院に進学して研究所に所属し、そこから推薦をもらって就職するというのが定番ルートなのです。私のように学部卒で文系の職に就くというのはレアケース。当時の自分としてはかなり思い切った路線変更でしたし、覚悟が必要なことでした。
就職活動に際しては「自分のように就活を目前にして将来を考え始める人を減らしたい」という想いと、当時「13歳のハローワーク(著:村上 龍)」が流行っていたことも相まって、「キャリア教育に携わりたい」と企業にアピールしていました。 ただ、就活では「キャリア教育」というものがあまり響かず、ある教育系企業では最終面接で「キャリア教育は儲からないんだよね」と言われ、不合格になったりもしました。(笑)
その後に受けたのが今の所属会社である学研プラスです。そこでも懲りずに「キャリア教育をやりたい」と伝えたのですが、人事部長が私を呼んでくれて、「うちの会社では、理系向けの参考書を編集する仕事もあるし、学習塾の運営事業もある。やりたいことに固執せずに、これまでの経験を色んな事業で活かせるという目線でアピールしてみたら?」と助言してくれました。
そのアドバイスのおかげで視野が広がったことで面接も順調に進み、無事に希望していた出版社で編集者としてのキャリアが始めることができました。
幸せにはたらくとはどういうこと?肝は”自分で判断すること”
―出版社に入社されたものの、やりたかった「キャリア教育」にまつわる本である『なぜ僕らは働くのか』の企画・製作にこぎつけるまでには時間がかかったとお伺いしました。その間には希望していなかった仕事もあったのではないでしょうか。どうやってモチベーションを保っていましたか?
宮﨑:会社員ですし求められる仕事で「あまりやりたくないな」というものももちろんありました。特に若いころは何の実績もないですから、駒として使われるのは当然のことだと思っていましたし。それに入社してからずっと「キャリア教育に携わりたい」という気持ちを持ち続けていたわけではないのです。当時は、「出版は斜陽産業」なんて言われていましたし、うちの会社の業績も悪かったので、「まずは編集者として一人前になるために一生懸命頑張って生き残らないといけない」という想いで、自分の担当する部門で結果を残すことに必死でした。
いったん自分がやりたいことには蓋をして、目の前のことをコツコツとやってきた15年間があったからこそ、「はたらく」というテーマを噛み砕いた本、『なぜ僕らは働くのか』の製作に至れたと思っています。
―与えられた仕事に実直に向き合ってきたことが、結果的に「キャリア教育に関わりたい」という想いを実現させたのですね。
正木 慎二(以下、正木):エンジニアも、例えば開発をやりたいと思って仕事を始めても、経験の浅いうちは議事録を書いたりスケジュール調整をしたりといった仕事から任されることもありますよね。でもそれが未来の仕事につながっていくので、目の前のことに一生懸命取り組むということは大事だと私も思います。
宮﨑:私の中でははたらくことの幸せは2つあります。1つは携わった本の読者が喜んでくれること、もう1つは思いがけない、想像もつかないようなオファーをもらったり仕事を任せてもらったりすることです。やりたい仕事ではなくても、やっていると何かが起きて予想もしていなかった未来が開ける時がくるのは面白いものです。
―最近ではワークライフバランスに代わり、「ワークライフインテグレーション」「ワークライフシナジー」といった言葉も出てきて、はたらくこととプライベートは表裏一体だという考え方も増えてきました。プライベートと仕事の両立という視点ではいかがですか?
宮﨑:個人的には仕事中の人格とプライベートの人格を分けたくないタイプです。編集者という職業柄、さまざまなことにアンテナを張っている必要があるので、仕事を離れているときでも仕事のアンテナは微弱ながら張り続けています。
また、ヘンに仕事とか会社に染まりたくないので、「自分の考えは別だけど、仕事だから、会社に言われたから納得できなくてもやる」みたいなことはしたくない。落としどころをしっかり探れない仕事はやらないぞという意図で、仕事とプライベートの自分の人格を分けていないところもあります。だから意見はハッキリ言います。
―日本の文化としては同調や協調を重んじる場面も多々あると思います。その中でも自分の意見を伝えられるのは”強さ”があるからでしょうか? そこにはどんな意識やポリシーがあるのでしょうか?
宮﨑:『なぜ僕らは働くのか』の中で「いい子を捨てよう」と書いているページがあります。このページは中高生の読者の方からすごく共感をいただきました。要は「自分の人生は自分で責任をもって決めましょう」ということを伝えています。
親や友人、周りの人に言われたことをそのままやっていったその先に自分のやりたいことが無かったら…と思うと怖くないですか? 私自身が意思を持たずに学生時代を過ごし、いざ大学生になってみたらやりたい事がそこには無かったという経験をしているので、自分の意見を伝えることや自分自身が選択するということの重要性を実感しています。
「言われたことをやる」に慣れてしまうと思考も停止しますし、失敗したときに他人のせいにしてしまいます。だから、言われたことはきちんと受け止めて、その上で自分が判断する。これは”強さ”ではなくて”覚悟”だと私は捉えています。
とはいえ、周りの意見が正しい時もあるので、変に意固地になれというわけではありません。難しいですが、大切なのはバランスです。
「3人のレンガ積み職人」から学ぶ自分の仕事の捉え方
―本日のイベント参加者にリアルタイムアンケートを実施します。「あなたは今の仕事が好きですか?」の問いに対し、「好き・まあまあ好き」または「どちらでもない・嫌い」で選択してください。
(アンケート終了)
―「好き・まあまあ好き」が約8割、「どちらでもない・嫌い」が約2割ですね。このアンケート結果を宮﨑さんはどう感じられましたか?
宮﨑:意外に「嫌い」が少ないなと思いました。(笑)好意的に思っている人が8割いるのはすごいですね。
自分の仕事をどう捉えるかは『なぜ僕らは働くのか』を作るときにも深く考えたテーマでした。
みなさんは「3人のレンガ積み職人」の話をご存じでしょうか?
あるところに3人のレンガを積んでいる職人さんがいて、1人ずつに「あなたは何をしているのですか?」と聞くと、1人目は「見れば分かるだろ、レンガを積んでいるんだ」と言い、2人目は「家族を養うための仕事をしているんだ」と言い、3人目は「みんなが集まる教会を作っているんだ」と答えます。
このように、同じ仕事をしていても何のためにやっているのか、何を目指しているのか、また、なぜその仕事をしているのかといった背景は人それぞれです。自分がなぜその仕事を選び、何のためにやっているのかを違った視点で捉えられると、今の仕事が嫌いな方も好意的に思えるようになるかもしれませんね。自分の仕事の捉え方、解釈は自分で決めることができるのですから。
―正木さんはこのアンケート結果を見られて、どう思われましたか?
正木:当社の代表という立場からすると、「どちらでもない・嫌い」と答えている社員を見過ごせない、何とかしなければという気持ちなのですが…。
私も新卒でパーソルテンプスタッフに入社した当初は、自分の仕事が好きじゃありませんでした。ただお仕事を探している派遣スタッフの方と企業をマッチングするだけの仕事としか捉えられていなかった。
しかし、私の仕事が「雇用の創造」であると捉えるようになってからは、ただのマッチングに留まらず、スタッフの方お一人お一人の背景や悩みを知ろうとし、企業が持つ課題の本質を考えるようになりました。そこから仕事が楽しくなったし、今ではこの派遣事業が私にとっての天職だと思っているくらいです。
宮﨑:時代は変わって、ただ売上などの数字だけを追いかける時代では無くなってきたと思います。働いている自分自身も幸せになり、社会もいまよりもすこし良い方向に変化させる仕事を目指したいですよね。いまやっている仕事に、社会貢献につながる要素をプラスしたり、自分なりの前向きな解釈をプラスしたりできると、自己満足度も高まって幸せに働けるようになっていくのではないかと思っています。
社員一人ひとりが自分なりの幸せを感じながら活躍していただけるよう、パーソルテクノロジースタッフでは今後もさまざまな取り組みを行ってまいります。
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