- カテゴリ・アーカイブから探す
カテゴリから探す
アーカイブから探す
BIツールとは?機能や導入のメリット、戦略的なツールの選び方について
IT技術の発展によりさまざまなデータが取得できるようになり、多くの企業が意思決定にデータを活用する時代となりました。そのなかで注目されているのが、BIツールです。
BIツールを活用すればデータドリブンな意思決定が実現しますが、十分な効果を得るためにはツールを使いこなす必要があります。この記事では、BIツールの基本機能から導入メリット、自社に合ったツールを選ぶための基準などを解説します。

目次
パーソルクロステクノロジーでは、Power BIに必要なデータ基盤の構築、高度な分析レポート作成、社内での定着を支援しています。データの可視化と分析でビジネスを加速させたいお客さま、導入や活用の定着にお悩みのお客さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
詳しくはこちら
経営の意思決定を支えるBIツールとは?
BI(Business Intelligence)ツールは、企業内に蓄積された膨大なデータを収集・分析し視覚的にわかりやすく表示することで、経営判断や事業戦略的な意思決定を支援するツールです。BIツールを活用すれば、営業データ、在庫情報、顧客行動など、さまざまなデータソースから必要な情報を統合し、リアルタイムで状況を把握できるようになります。
特にMicrosoftアカウントを導入している組織では、Power BIを活用することで、Office製品との親和性を活かしつつ、シングルサインオンによる利便性向上や、日常業務でのスムーズなデータ共有が可能です。
ExcelやAIとの違い
Excelでも表やグラフを作成してデータを分析できますが、本来Excelは表計算ソフトであり、扱えるデータ量には限界があります。データ量が多くなれば動作が重くなり、データソースとなる複数ファイルの統合にも手間がかかります。一方、BIツールは大量のデータを高速に処理でき、複数のデータソースを自動で統合して分析できる点が特徴です。
AIとBIツールの違いは、その役割にあります。BIツールは人間が判断を下すために必要な情報を整理し可視化することに特化しています。対してAIは、データから学習して予測や分類を自動的におこない、人間の判断そのものを代替する技術です。BIツールが判断材料の提供を担うのに対し、AIは判断の代替を担うという違いがあります。
AI時代にBIツールが必要な理由
AIの進化により、データ分析の自動化は当たり前となり、予測精度が飛躍的に高まっています。しかし、企業の組織風土や文化など、可視化が難しい情報をふまえてAIのみで適切な判断をおこなうことは、現状ではまだ難しいでしょう。
AI時代においても重要なのは、企業全体でデータを共有し、現場の担当者から経営層まで、それぞれが日常的に意思決定へ活用できる環境を構築することです。AIとBIツールを組み合わせ、多様なデータを誰もが理解できる形にすれば、各組織に属する人材がそれぞれに最適な判断を下せるようになります。
外部環境が急速に変化し続けている
技術革新のスピードは加速を続けており、顧客ニーズも目まぐるしく変化しています。このような環境下で競争優位性を維持するためには、担当者の勘や経験に頼らない、データドリブンな経営判断が必要となります。
その点、BIツールがあれば市場動向や顧客行動をリアルタイムで把握・分析でき、状況に合わせて迅速に戦略を修正できるようになります。
膨大なデータ分析を効率化する
人の手による分析では、膨大なデータの処理に多くの時間と労力を要します。レポートの取りまとめや作成だけでも多くの時間と労力がかかっているという現場は多いでしょう。
BIツールを導入すれば、データの集計から可視化までを自動化でき、リアルタイムでの状況把握が可能となります。マネジメント層は、常に最新の情報に基づき、スピーディーかつ正確な意思決定をおこなえます。
データ分析の専門人材が不足している
IPAが公開した「DX動向2024-深刻化するDXを推進する人材不足と課題」によると、日本企業の約7割が、ビジネスアーキテクトやデータサイエンティストが不足していると回答しています。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024 - 深刻化するDXを推進する人材不足と課題」
高度な専門スキルを持つ人材の確保は容易ではなく、育成にも時間がかかります。BIツールは、こうした専門人材が担う業務の一部を代替し、非専門家でもデータ分析や可視化をおこなえるようにします。限られたリソースを有効活用するうえでも、BIツールの導入が現実的な選択肢となっているのです。
BIツールの主な機能
ここでは、BIツールの代表的な機能をご紹介します。ツールによって搭載されている機能が異なるため、導入前に自社の用途に合った機能があるかをチェックしておきましょう。
レポーティング・ダッシュボード機能
データを集計し、グラフや表として視覚的に表示する機能です。売上推移や顧客動向などのKPIをダッシュボード上にまとめられ、現状や目標達成の実現性をひと目で把握できます。リアルタイムで更新されるため、常に最新のデータをもとに意思決定をおこなえます。
OLAP(オンライン分析処理)
OLAPとは、Online Analytical Processingの略で、多次元的にデータを集計・分析する機能です。例えば、売上データを地域別・商品別・期間別といった複数の軸で切り分けて分析できます。レポーティング機能でも簡単なデータの分析は可能ですが、OLAPはより複雑で多層的なデータの分析にも対応しています。
ドリルダウンでデータの詳細を掘り下げる、スライシングで特定の条件に絞り込むなどの操作が直感的におこなえ、大量かつ複雑なデータであっても簡単にデータの分析ができます。
データマイニング
膨大なデータのなかから、人が気付きにくいパターンや傾向を自動的に抽出する機能です。顧客の購買行動や商品の関連性など、隠れた法則性を発見することで、新たなビジネス機会の創出につなげられます。統計や機械学習を活用して、将来の需要予測やリスク検知にも活用できます。
プランニング
予算の策定や将来のシミュレーション、複数のシナリオ分析を支援する機能です。過去のデータをもとにさまざまな条件下での結果を予測し、より精度の高い計画立案を可能にします。複数部門での予算調整や進捗管理も一元化でき、組織全体の計画策定プロセスを効率化できます。
BIツールの導入メリット
BIツールを導入すれば、企業のデータ活用レベルが大きく向上します。ここでは、導入によって得られる主なメリットを見ていきましょう。
自社データを誰でも集約・分析できる
企業内のデータは、営業部の顧客管理システム、経理部の会計システム、マーケティング部の広告配信ツールなど、部署やシステムごとに分散しているケースが多くあります。BIツールを使えば、これらのデータを一箇所に集約でき、統合された形で管理できます。
また、専門的な知識がなくてもグラフィカルなインターフェースを通じて直感的に分析を進められるため、現場の担当者が自らデータを活用できる環境が整います。
膨大なデータ量に対応できる
企業活動で発生する売上や顧客行動、在庫データなどは日々増え続けます。過去のデータを含めて人の手で集計・分析をおこなうには限界があり、時間も労力もかかります。
しかし、BIツールは大量のデータを高速で処理・集計する能力を持っているため、人的負荷を大幅に削減できます。数百万件のトランザクションデータであっても短時間で必要な情報を抽出し、分析結果を得られます。
レポート作成を自動化できる
週次や月次で作成する定期レポートは、多くの企業で担当者の負担となっています。BIツールを活用すれば、あらかじめ設定したフォーマットに基づいてレポートやダッシュボードを自動生成できます。手作業による転記ミスや計算ミスを防げるだけでなく、作業時間の削減によって、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。
データドリブン経営が可能になる
BIツールによって可視化された分析結果があれば、経営層は勘や経験に頼らず、明確な根拠をもった意思決定が可能です。市場の変化や顧客ニーズの動向をデータから読み取り、それに基づいた戦略を策定することで、自社の競争力を高めることができるでしょう。
また、組織全体でデータを活用する文化が醸成され、それぞれの現場でより迅速かつ的確な判断が可能になる点も大きなメリットです。
BIツールの導入・運用でよくある課題

BIツールの導入には多くのメリットがある一方、導入や運用において課題が発生している企業も少なくありません。ここでは、実際に現場で発生しがちな問題をご紹介します。
コスト負担が増加している
近年、BIツールのライセンス費用は上昇傾向にあります。導入初期には予算内で収まっていたものの、ユーザー数の増加やデータ量の拡大によってかなりのコストがかかっている企業も多いでしょう。特に、ユーザー単位で課金される製品では、全社展開を進めるほどコストが膨らみ、経営を圧迫する要因ともなります。
運用・管理の負担がかさんでいる
各部門が独自に異なるBIツールを導入した結果、データが分断されてしまうケースがあります。営業部門は営業用のツール、マーケティング部門はマーケティング用のツールといった形で別々に運用されると、全社横断的な分析が難しくなります。
また、複数のツールを導入すると、システム部門の運用・管理負担も増大します。データの整合性を保つための作業や各ツールのメンテナンスに多くのリソースが割かれてしまう点にも注意が必要です。
移行にともなうコストやリスクを懸念している
新しいツールへの移行は高額な費用とリスクをともないます。データの移行作業、ユーザーへの教育、既存のレポートやダッシュボードの再構築など、多くの工数が必要です。移行期間中に業務が停滞するリスクや移行後の不具合発生への不安から、現状維持を選択する企業も多く存在します。
現場での活用が進まない
高度な分析機能を備えたBIツールであっても、専門的な知識やスキルが必要な場合、現場の担当者が使いこなせないという問題が発生します。操作が複雑で学習コストが高いツールの場合、結局一部の専門家しか利用しない状態に陥りがちです。せっかく導入しても十分に活用されず、効果が得られないまま放置されるケースも珍しくありません。
失敗しないBIツールの選び方
自社に合ったBIツールでなければ、コストばかりがかかって成果が出ないという状況になりかねません。ここでは、自社に最適なツールを選ぶための具体的なステップをご紹介します。
①課題・利用目的を整理する
まず、自社がどのような課題を抱えており、BIツールで何を実現したいのかを明確にしましょう。分析したいデータの種類や、どの業務プロセスで活用するのかを整理することで、自社が求める要件が見えてきます。
例えば、特定の部署で小規模に始めたいのか、それとも全社規模で大量のデータを扱う必要があるのかによって、適したツールのタイプは大きく変わります。目的が曖昧なまま選定を進めると、あとから機能不足や過剰投資に気付くことになります。
②機能・拡張性を確認する
自社の要件に合った機能が搭載されているかを確認します。データ統合、可視化、分析、レポート作成といった基本機能が揃っているかはもちろん、将来的な拡張性も視野に入れる必要があります。現時点で不要に見える機能でも、事業の成長にともなって必要になるかもしれません。データ量が増加しても安定して動作するか、AI機能との連携や他システムとのデータ連携に対応できるかなどもチェックしましょう。
③コスト・導入リスクを把握する
ライセンス費用だけでなく、導入後の運用コスト、ユーザー教育にかかる費用、既存システムからの移行コストなど、総合的なコストを算出します。初期費用が安くても、運用段階で想定外の費用が発生するケースがあるため、十分なチェックが必要です。
また、移行にともなう業務停滞のリスクや、データ移行時のトラブル発生の可能性も、事前に把握しておきましょう。
④現場で使いやすいか評価する
高機能なツールでも、現場の担当者が使いこなせなければ、活用が進みにくくなります。現場のリテラシーに合わせ、直感的に操作できるインターフェースか、専門知識がなくても分析を進められるかを実際に試用して確認しましょう。
逆に、専門性の高い組織に導入するのであれば、より高度な機能があるツールを導入したほうが活用されやすくなります。
⑤導入後の運用体制を考慮する
導入後、誰がツールの管理や運用を担当するのかを明確にしておきます。社内にリソースが不足している場合は、外部パートナーや伴走型の支援サービスを活用することも検討しましょう。運用体制が曖昧なまま導入すると、トラブル発生時に対応できず、ツールが放置される原因となります。
BIツール導入の課題を解決する専門支援とは?
BIツールはデータドリブンな経営を実現するために効果的なツールですが、活用が浸透するまでには複数の課題をクリアする必要があります。自社内で課題を解決するリソースが確保できない場合には、専門的な支援サービスを利用しましょう。
パーソルクロステクノロジーでは、企業の状況に応じたBIツール活用支援サービスをご提供しています。導入計画・構築・運用・活用の各フェーズに応じて、企業で多く活用されているOffice製品と柔軟に連携でき、CopilotによるAI機能も活用できる強力なツール、Microsoft Power BIの活用を支援します。
BIツールの導入を検討されているお客さま、活用にあたって課題を抱えているお客さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
また、ライセンス費用の増加などで既存のBIツールからの移行を検討されているお客さまには、BIツールマイグレーション支援サービスもご提供しています。
サービス:BIツールマイグレーション支援サービス
BIツールでビジネスの意思決定を加速させよう
BIツールは、企業内の膨大なデータを収集・分析・可視化し、多様な意思決定を支援するツールです。BIツールを上手に活用できれば、データドリブンな企業経営が実現するでしょう。
一方、データ活用にあたってはさまざまな課題もあり、その課題をいかに解決していくかが重要となります。パーソルクロステクノロジーでは、お客さまのBIツール活用における課題を解決する支援サービスをご提供しています。BIツールの活用をご検討中のお客さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

