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HILSのスペシャリストとして
#モデルベース開発(MBD)

2022.09.30

エンジニア紹介

目次

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    HILSのスペシャリスト: 中田 博和

    専門分野
    HILSシステム、パワートレイン制御、モデルベース開発、通信規格、車載式故障診断(規格、法規)

    仕事内容

    商用車の振動解析などの実験エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、分野の異なる電子回路設計・組込みマイコン・プログラミング知識などを習得し、現在では、パワートレイン設計の現場で導入から運用までを担うHILS開発の主担当として、また、パワートレイン制御ソフトウェアのテストエンジニアとして活躍中。

    HILSについて

    HILSとはHardware In the Loop Simulationの略称であり、実機を模したシミュレーションが可能な開発用シミュレーターのことです。自動車の車両開発においては車のエンジン機能や車両挙動を数値化し、シミュレーションを行うことができます。

    pic_mbd_10_pc.jpg

    名称説明
    MILSModel In the Loop Simulation
    RCPRapid Control Prototyping
    SILSSoftware In the Loop Simulation
    名称説明
    PILSProcessor In the Loop Simulation
    HILSHardware In the Loop Simulation

    そんなHILSの開発現場での必要性について、長年パワートレイン制御に携わってきた中田に尋ねてみました。「開発期間の短縮試作機の削減、テストに必要なリソースの削減効果など、近年の車両開発においてモデルベース開発(以下MBD)やHILSは必要不可欠な技術となってきています。もしHILSがなければ開発中のソフトウェアをECUに組み込んだ後、システムレベルでの検証作業を実機(エンジンや車両)で行うことになります。実機での検証作業は時間が掛かり非効率です。万が一ソフトウェアに重大な不具合があれば、最悪の場合エンジンを壊したり、車両を暴走させてしまったりする可能性もあります」

    このように車両開発においてソフトウェアの高度なシミュレーションを行えるMBDやその構成要素の一つであるHILSは、その安全面においても必要不可欠な存在になっています。
    Engineer_Nakada_2.JPG.jpg

    この技術の将来性について

    そんな中田に、この技術の将来性について聞いてみました。「近年では電動車の開発競争が過熱していますが、EV・HV・PHV・FCVなどの電動車開発においても、電子制御ソフトウェアの新たな開発が必要であり、ソフトウェアを効率的かつ安全に評価検証できるHILSが欠かせません。また、自動運転の実現においても、膨大なテストシナリオを検証する必要があり、システムレベルの評価検証にはHILSによる自動テストが必要不可欠です。これらのことからHILS技術の需要はますます高まると考えています」

    そして、次のような意気込みも見せてくれました。「今後も機会があれば、さまざまな電動車の開発に携わり、さらにHILS技術を磨き、新車開発を通してカーボンニュートラルの実現に貢献したいです」

    中田がこれまでの実務で携わった「パワートレイン制御」や「車載式故障診断」では、周辺機器との調整の必要性により年々複雑化しているため、HILSはますます重要な要素となってきています。HILSやMBDの知見を持ち合わせた技術者は今後も活躍の場を広げていくだろうと期待されています。

    仕事上の重要な価値観

    「仕事をする上ではアウトプットの質スピードを大事にしています。他者と同じ仕事をする場合でも、自身が長年培ったスキルと知識を活用し、より良いアウトプットを出せるように心がけています」と中田自身の姿勢を語ってくれました。

    そして、こう続けます。「誰にも負けない技術を持てれば、おのずとその先は見えてくると思います。しかし、ただ一つの技術を長いこと続ければよいというわけではありません。重要なのは、引き出しを増やしていくこと。”いろいろ知っている”ということは、開発現場において大きな強みになるからです。ハード/ソフト/通信など…多方面の知識があれば、より早く仕事が進みます」

    そしてこのような言葉で締めくくりました。「その分野の仕事が好きだからこそ、新しいことを貪欲に身に付けていく。そして、そのおかげで、どんどん仕事が楽しくなる――このような好循環を回していければ良いと思います」

    1つの軸に対して幅広い知見を持つ中田は、現在でも次々と新しいことを身に着けようとする意欲に満ちており、パーソルクロステクノロジーをリードするエンジニアの一人として期待されています。 
    Engineer_Nakada_3.JPG.jpg

    関連サービス「モデルベース開発(MBD)」

    ソフトウェアの評価検証に必要なHILSは、まさに成長分野の技術です。そのHILSに加え、電子回路設計やソフトウェア系、法規など多方面の知識を備え、かつ実務経験豊富なエンジニアの数は限られているのが現状です。HILSを含めたMBDを使用すれば、自動車開発の時間やコストを大きく削減できます。最先端の車両開発をリードするお客様のビジネスに貢献していくために、パーソルクロステクノロジーでは乗用車/商用車の設計開発およびMBDに力を注いでいます。

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