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パーソルクロステクノロジーに関するニュースについて紹介します。
フェリー乗り入れを含めた自動運転バスの実証実験を開始
2025年9月18日
パーソルクロステクノロジー株式会社
島根県隠岐諸島のスマートアイランド推進に向け、
フェリー乗り入れを含めた自動運転バスの実証実験を開始
~島間の移動や交通インフラを支え、観光促進と地域活性化を支援~
「はたらいて、笑おう。」をビジョンに掲げるパーソルグループで、テクノロジーソリューション事業を手がけるパーソルクロステクノロジー株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:正木 慎二、以下:パーソルクロステクノロジー)は、島根県隠岐諸島(中ノ島、西ノ島)での公共交通課題を解決し、観光促進を支援するため、自動運転バスの導入に向けた実証実験を開始しました。本取り組みは、国土交通省が実施する「令和7年度スマートアイランド推進実証調査業務」におけるプロジェクトの一環として実施されます。
■背景:離島が抱える課題解決に向け、自動運転技術でスマートアイランドの実現へ
少子高齢化による人口減少が進む中、特に地方では労働力不足や地域経済の縮小に加え、電車やバスなどの公共交通機関や社会インフラの維持が困難になり、地域間格差が広がっていることが大きな問題となっています。観光は地方活性化の重要な手段の1つですが、観光資源の魅力を最大限に引き出し、持続可能な形で地域経済を支えるには、交通インフラや移動の利便性の向上が不可欠です。
国土交通省では離島地域が抱える課題解決のため、スマートアイランドの実現に向けた取り組みを推進しており、2024年5月には産学官が連携してスマートアイランドの一層の普及促進と機運醸成等を図ることを目的とした、「スマートアイランド推進プラットフォーム※1」が設立されました。
このたび、同プラットフォーム内でスマートアイランド実現に向け国土交通省が公募した「令和7年度スマートアイランド推進実証調査業務※2」に当社の取り組みが採択され、島根県 隠岐(おき)諸島(中ノ島、西ノ島)における、バスの自動運転実証実験を開始しました。
※1 国土交通省「スマートアイランド推進プラットフォーム」 https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chirit/smartisland.html
※2 国土交通省「令和7年度 実証調査の実施地域について」https://www.mlit.go.jp/report/press/kokudoseisaku11_hh_000130.html
■隠岐諸島の課題:移動におけるさまざまな制限
離島における課題については隠岐諸島も例外ではなく、人口減少と高齢化が加速しており、地域の労働力や公共交通従事者の不足が顕著です。これに伴い、観光や移住促進の取り組みを進める上で、以下のような具体的な課題が浮き彫りになっています。
・公共交通従事者の不足と高齢化:高齢化により運転手やスタッフの後継者が不足し、将来の公共交通の維持が懸念されています。
・港からの2次交通の不足:フェリーターミナルから飲食店街や観光施設への移動手段が限られており、本数の少なさや夕刻以降の運行停止が観光客の行動を制約しています。
・観光客の移動の利便性が低い:島内や近隣諸島への移動が不便で、観光地間のアクセス性が低くなっています。
特に、交通インフラの弱点は地方観光の成長を阻害する大きな要因となっており、観光を軸にした経済活性化や移住促進に取り組む隠岐諸島のような地域において、早急に解決すべき重要な課題となっています。
■実証実験の概要
<自動運転でつなぐ隠岐島前観光プロジェクト>
・実証期間:2025年6月25日(水)~2026年3月6日(金)
・内容:中ノ島~西ノ島間を運航するフェリーに、自動運転バスを乗り込ませる走行試験を行います。自動運転でのフェリー乗り込みは当社として初の試みであり、将来的な社会実装を見据えて技術的課題を明確にしていきます。また、ターミナル近郊の飲食店や観光地への走行も行い、自動運転バスの運行を通じて、各課題への取り組み効果を検証します。
本実証実験に伴い、各関係団体とともに「自動運転でつなぐ隠岐島前観光プロジェクト」というコンソーシアムを立ち上げました。コンソーシアムを構成する団体は下記の通りです。<パーソルクロステクノロジーの役割>
パーソルクロステクノロジーでは、自動車やロボットなどの設計・開発・実験から、IT・セキュリティ領域まで幅広い技術支援実績を有しています。今回の実証実験では、
・自動運転バスを走らせるための現場検証
・3Dマップ作成
・自動運転バスのドライバー育成
・運行管理
・走行データの収集 など
これらを担い、実際の試走を通じて得たデータを活用した課題抽出、課題解決策の検討などを行います。
<使用する車体>実証実験では株式会社ティアフォーが販売する自動運転EVバス「Minibus 1.0」を使用します。この車両は、日本政府が定める自動運転レベル4の基準に準拠しており、長距離・短距離LiDAR※3や物体検出・信号機検知カメラ、全地球航法衛星システムなどを搭載しています。
仕様…ベース車両サイズ:車長7,190×車幅2,320×車高3,050mm、車両定員:28人(自動運転時:16人)、車両速度:70km/h(自動運転時:35km/h)、充電時間:約2時間
※3 LiDAR:レーザー光を照射することで対象物からの距離や形状を測定するリモートセンシング技術のこと。
<走行試験のお知らせ>
2025年10月10日(金)~13日(月・祝)の4日間、実際に町民・観光客の皆さんを乗せて観光バスの無人運転試験を実施します。乗車は無料で、どなたでもご利用いただけます。
実施期間:10月10日(金)~13日(月・祝)
西ノ島町運行ルート:別府港 ↔ 黒木御所跡
海士町運行ルート:ホテルEnto ↔ 菱浦港 ↔ 菱浦漁港臨港道路(菱浦港から約800m)
乗車料金:無料
実施会社:パーソルクロステクノロジー株式会社
支援:国土交通省
※本実証実験は、自動運転技術を用いた利便性向上を目的としており、走行ルートの安全性を事前に十分確認した上で実施されます。車両には緊急停止機能が搭載されており、運転手が同乗して安全を監視します。また、実証実験中は運転手が常駐し、緊急時には迅速に対応できる体制を整えています。安全性を最優先にした運行体制のもと、地域交通の未来を見据える重要な取り組みとしてこの実証実験を進めております。
※試乗会の時間やルートは変更になる可能性があります。
■今後の展望
本実証実験は約6カ月を予定しています。本プロジェクトでは、1つの島内での移動のみに留まらず、2つの島間の移動を伴った交通環境の利便性を改善します。例えば、現状観光客はフェリーで島に到着したあとは、大きな荷物を抱えたまま歩いて移動、本数の少ないバスを待つ、もしくはレンタカーを借りるなどの必要があります。しかし今回の技術が確立すれば、観光客はバスに乗ったままフェリーに乗り、そのまま降りることなく海を渡った先で目的地まで行くことが可能となります。このように、自動運転技術を活用することで、観光客にとって利便性の高い移動手段を提供するとともに、地域住民にとっても交通アクセスの改善を図ります。
また、隠岐諸島でのスマートアイランド化を目指したこの取り組みにより、地域全体の持続可能な成長を支えるとともに、人口減少や高齢化といった日本全体の課題に対するモデルケースとすることを目指します。パーソルクロステクノロジーが持つエンジニアリング力を活かして、自動運転技術を活用した次世代交通システムを構築し、地方の継続的な発展に貢献してまいります。
・パーソルクロステクノロジーの自動運転・ADAS開発ソリューションの詳細はこちらをご覧ください。 https://persol-xtech.co.jp/service/adas/
・お問い合わせ(法人・個人)はこちら https://persol-xtech.co.jp/contact/
自動運転でつなぐ隠岐島前観光プロジェクトの実施地域について
海士町 < https://www.town.ama.shimane.jp/ >
海士町(あまちょう)は、島根半島の沖合約60kmに浮かぶ隠岐諸島の中の1つ、中ノ島にある町で、比較的平坦な土地が多く、かつ名水百選にも選ばれた湧水も含めて水資源に恵まれています。面積33.5平方キロメートル、人口2,275人※4を有し、農業に適した平地が多いことを背景に、水稲のほか、野菜や果物の生産が盛んな地域となっています。
西ノ島町 < https://www.town.nishinoshima.shimane.jp/ >
西ノ島町は島前の3島のうち西ノ島を占め、1つの島で1つの町を形成しています。火山島であったことから、高低起伏が激しく、島の東西を走る200mから300mの山脈により、内海側と外海側とに分かれています。面積55.96平方キロメートル、人口2,552人※4を有し、隠岐郡内4町村では隠岐の島町に次ぐ2番目に大きな町で、島前地区の産業・交通の中心地となっています。
※4 参照:島根県政策企画局統計調査課「令和6年 島根県の人口移動と推計人口」https://pref.shimane-toukei.jp/upload/user/00027356-J3tH6u.pdf
■パーソルクロステクノロジー株式会社について< https://persol-xtech.co.jp/ >
パーソルクロステクノロジー株式会社では、自動車・航空宇宙・産業機械・家電・ロボットといったものづくり領域、コンサルティングから設計・開発まで横断的なソリューションを提供するIT領域、そして診断、運用、IoTを含むセキュリティ領域などにおいて、専門的な技術を持ったエンジニアが、あらゆる業界でお客さまの技術支援をしています。私たちは、「尖った技術」の力で人と組織のはたらき方に変革を起こすことで社会課題を解決してまいります。
■「PERSOL(パーソル)」について< https://www.persol-group.co.jp/>
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
お問い合わせ先
パーソルクロステクノロジー株式会社 広報G
TEL:03-6370-6840 MAIL:pr-xtech@persol.co.jp