ニュース
パーソルクロステクノロジーに関するニュースについて紹介します。
ものづくりからコトづくりの時代への変化に伴い、制御開発やシミュレーション開発のニーズが高まっていることから、機械系エンジニアを制御領域で活躍可能な組込み系エンジニアへキャリアチェンジするための教育研修を行うメーカーなども見られるなど、エンジニアのキャリアチェンジ加速が予測されます。
しかし実際には、3DCADを操作して図面などを作成してきた機械系から、C言語やPythonなどの言語やシミュレーションツールのスキルを新たに習得し制御・組込み系への領域を跨いだキャリア変更は、非常に難しいケースが多いと言われます。
そんな中、パーソルテクノロジースタッフでは、2017年から2020年にかけての3年間で制御・組込みやMBD(モデルベース開発)領域へのキャリアチェンジを行った元機械系エンジニアは、40名を超えています。
【事例紹介】
筋金入りの自動車好きであるパーソルテクノロジースタッフの社員エンジニア 山口 淳史。小学生の頃に書いた将来の夢「自動車のエンジニア」に向かって、その後の進路も高校は機械科へ、大学は機械工学科へ進学しました。18歳で運転免許を取得しハンドルを握るようになってからは、運転時に自動車から伝わってくる振動について「どうしてこの振動が起きているのだろう」と考えるほどの運転マニアに。大学卒業後は派遣エンジニアとしてキャリアをスタートし、念願だった有名自動車メーカーにて就業。それから現在に至るまで、就業先企業は変わりながらも、一貫して同メーカー関連の業務に従事してきました。
しかし、18年間機械系エンジニアとしてキャリアを積んだ後、昨年40歳を目前にMBD領域へキャリアチェンジ。現在は同メーカーでMBDエンジニアとして新型燃料電池車のモデルベースデザインを行うためのツール開発業務に携わっています。
機械系エンジニアとして18年のキャリアを持ちながら、MBD領域へ挑戦した理由。
山口が新卒で配属されたのは、自動車メーカーの生産管理部門。新車の企画、開発、生産、販売に至るまでの全体日程の立案とその進捗管理マネジメントを手掛ける部門で、山口は図面を見ながら、どんな風に製造するか、販売時期から逆算して考え計画通り進めるためのプランニングなどを担当しました。
山口「当時は自動車関連の仕事に就けただけで嬉しかったので、どんな業務でも良いと思っていましたが、今振り返ってみると、最初に車づくり全体のプロセスと時間の流れを把握することができる部門に配属されたことは、その後設計を経験するうえでも大きく役立ちました」
その後、当時在籍していた派遣会社が設計領域に注力することになったため、山口も生産管理部門から設計部門へと異動。その後、シャシー設計、プラットフォーム基盤、ブレーキ設計、周辺監視センサ設計、エアコン搭載設計など、部門や就業先を異動・変更しながら機械系エンジニアとして18年間のキャリアを築きました。
2019年就業先の方針転換により、山口が所属しているチームでエンジニアの人員削減を行うことになり、山口は改めて自分自身の将来について考えていました。 その頃パーソルテクノロジースタッフでは、MBDグループが新設され、一部エンジニアを対象としたMBD研修が始まっていました。山口は「この機会に自分が新領域にチャレンジしてはどうだろう?」と考え、制御領域へのキャリアチェンジに挑戦することにしました。
山口「高校の機械科時代から担当教師に『自動車系を志すのであれば、これからは機械一本では生きていけない。制御を知っておかないと』と言われていたので、『いずれは制御を学ばなければ』という意識は18年間ずっとありました。また、周辺監視センサ設計をやっていた際に、クリアランスソナー(超音波の跳ね返りを用いて物体までの距離を測る装置)の制御開発を少し経験していたので興味もありました」
4カ月間の研修で、アプリケーション操作などの必要な技術は習得。
業務上必要な言語やIT用語は就業後にインプット。
その後、チームを離れた山口は約4カ月間のMBDエンジニア育成研修に参加。モデリング~シミュレーション~コード生成~テストを行うアプリケーションMATLAB/Simulinkの操作方法、MBDにおけるV字開発プロセスにおいて重要とされるMILS(Model In the LoopSimulation)による制御システムの設計スキル、C言語などを学習し、モデルベースデザインに必要な知識のインプットを行いました。 現在は、山口が長年携わってきた自動車メーカーに就業し、燃料電池車のモデルベースデザインを行うためのツール開発業務に携わっています。
山口「実際にMBDエンジニアとして現場に配属された後、苦戦したのはIT用語と新たな言語の習得です。研修でアプリケーションを使った作業自体は問題なくできるようになっていましたし、仕事の進め方も不具合が起きたらどう手を打つのか、どう設計を変えるのかということは機械設計時と大きく変わりません。
違うのは、言語と用語、化学の知識です。LinuxやWindowsなどのOSに初めて触っているので知らないIT用語が多く、また、どう手を打つのかを探るためにC言語、C++などのプログラミング構文を解読し、修正しなければなりません。さらに燃料電池車という新しい自動車システムを担当するので機械知識だけでなく化学の知識も新たに必要になったことです。
分からないことについては、本を読んだりして学びながら、仕事の上でも『それは何ですか?』と質問したり、どんな装置が付いているのかを調べたりしながら進めていきました。1.5カ月ほどはインプットすることが多くありましたが、2カ月目には就業先の上司から頼ってもらえるようになったことで、手応えを感じられるようになりました」
40歳でのキャリアチェンジ。誰もやったことのないことへの取り組みは大変だが
原点に立ち返って、魅力的な体験ができる製品を生み出したい。
現在山口が担当しているシミュレーションのツール開発は、就業先企業でも新たに取り組んでいる業務。 社内には山口の他に担当するエンジニアがいないため、社内に点在する知識を山口が線に繋げながらツールの開発を行っています。
山口「新しいことに取り組んでいるので、『何が起きているか分からない』『不具合がうまくいかない』ということもあります。そういう時は、ツール全体を把握しているのは私だけですが、点で知識を持っている方は大勢いるので『こういう現象が起きているのですが…』と社内で相談しながら進めています。機械設計は一つの部品を知っていればできましたが、今の業務は車が動く仕組みや、すべてのパーツが車両の中でどうつながっているのかを知っていないと対応できません。そのあたりは自動車好きとしての知識も活きていますし、新たな技術に触れながら、全体が見られるので面白いです」
以前は「○○歳キャリアチェンジ限界説」などと言われたこともありましたが、40歳を過ぎてから新領域へのキャリアチェンジを行った山口。
山口「簡単なことばかりではありませんが、自分がエンジニアを志した原点に立ち返ったような気持ちで、今はとにかくワクワクしています。 自動車は、シートに座って運転する楽しさ、快適な空間で楽に移動できる心地よさなど、様々なワクワクする体験が提供できます。そんな体験ができる製品なのに、生み出す人がもし嫌々作っていたら良いものができるはずがありません。私たちもワクワクしながら作る車でなければならないと思っています。 自動車を取り巻く様々な変化の中で、新たな技術を元にワクワクした体験を提供できる魅力ある製品を自分のスキルを元に提供していきたいというモチベーションを持って、これからも取り組んでいきます」
パーソルテクノロジースタッフのエンジニアキャリアチェンジ支援
派遣エンジニアならではの利点を生かして、退職~転職リスクなしで新たなキャリアに挑戦できる。
IoT(Internet of Things)の広がりや、自動運転技術開発など、様々な変化により製品の機械系エンジニアのキャリアチェンジに取り組むものづくりメーカーが増えています。パーソルテクノロジースタッフでも、経験者を対象に3年前よりMBDを含む制御領域の研修を行い、これまでに40名以上が制御領域に挑戦しています。
制御領域の研修を実行する部門の担当者によると、キャリアチェンジ~実際の業務で活躍できるようになるためには『担当領域を超えた製品全体への強い興味』が重要だと言います。
「機械系エンジニアの場合、『担当する部品=自分の仕事』と捉えてしまうと、担当する部品が他の部品とどのように繋がっているのか、どのような仕組みで製品全体が動くのかといったことへの理解が進みません。他領域においても通用するような広くて深い理解を得るためには、担当領域を軸にまずは隣の領域へ、そしていずれは製品全体に興味を広げていくような姿勢が重要です。 MBDを含む制御領域への挑戦については言語など新たなスキル習得やインプットも多く、決して簡単な道ではありません。キャリアチェンジを成功させるためには、研修に参加するだけではなく、エンジニア自身が興味を持ち、就業後も継続的に学習をしていく事が必要です。 退職~転職活動などのリスクなく、新たなキャリアや技術領域に挑戦できることは派遣エンジニアならではの利点でもあります。挑戦してみた結果、もしダメだと思ったら元の領域に戻ったとしても構わないので、挑戦してみたいと思ったらまずはやってみることをパーソルテクノロジースタッフでは推奨しています」
パーソルテクノロジースタッフでは、制御領域への挑戦を希望する機械系エンジニアを対象に最短2カ月半の研修を通したキャリア支援を行っています。これまで、ITとものづくりの両分野におけるキャリア支援を行ってきた実績に基づいたカリキュラムを通して、今後も業界ニーズの拡大やエンジニア自身の方向性や興味関心などに合わせて、さまざまな業界で就業し経験を積みたいエンジニアのキャリアを支援してまいります。
本件に関するお問い合わせ
パーソルテクノロジースタッフ株式会社
ブランディンググループ
pr_techstaff@persol.co.jp
平日 9:00~19:00