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パーソルクロステクノロジーに関するニュースについて紹介します。
1万人超のエンジニアを擁するパーソルクロステクノロジーが、モビリティ・ロボットの「死の谷」を越える架け橋になる
東京都が掲げるスタートアップ支援の一大構想「Tokyo Innovation Base(TIB)」。その中で今、モビリティとロボティクスに特化したコンソーシアム「MoRo(モーロ/正式名称: .make Mobility & Robotics)」が始動し、熱を帯びています。

昨年10月、羽田空港に隣接する「羽田イノベーションシティ」で開催されたキックオフイベントには、DMM.comを主幹事とし、名だたる大企業や自治体、そして熱意あるスタートアップが集結しました。
このクラスターに、エンジニアリングサービスを展開するパーソルクロステクノロジー(以下:当社)が参画しています。なぜ今、人材や技術支援を本業とする当社が、スタートアップのエコシステムに深く入り込もうとしているのか。
エンジニアリング事業本部で事業企画を統括する黒田 知広のインタビューと、イベントでの登壇内容から、その真意と勝算を紐解きます。
■羽田から始まる「実装」への挑戦
「日本において、人口減少と高齢化による人材不足は深刻です。モビリティとロボティクスは、この社会機能を維持するための生命線です」
MoRoの主幹事を務めるDMM.comの平林 愛子氏は、羽田イノベーションシティで開催されたキックオフイベントの壇上でそう語りました。
しかし、スタートアップが持つ革新的な技術を社会実装するには、実証フィールド、資金、そして技術リソースという高い壁があります。いわゆる「死の谷」と呼ばれるこの難所を越えるため、MoRoはこれらをワンストップで提供し、スピーディーな概念実証(PoC)と事業化を支援するために結成されました。
MoRoには、会場である「羽田イノベーションシティ」を提供する羽田みらい開発をはじめ、新たな技術で工場のDXを推進する造船企業「イワキテック」、電子部品のノウハウと「TDK MAKER DOJO」を提供する「TDK」、公的試験研究機関である「東京都立産業技術研究センター」など、ハードウェア開発に不可欠なアセットを持つプレイヤーが名を連ねています。
この強力な布陣の中に、「エンジニアリングの実装力」を武器に参画したのが、パーソルクロステクノロジーです。
■「モノは良いが、量産できない」スタートアップの壁
スタートアップ企業は、特定の領域において、極めて尖った技術や独創的なアイデア(シーズ)を持っています。しかし、それを「一点モノの試作機」から「社会で使える製品」へと昇華させるフェーズには、高いハードルが存在します。
黒田は、エンジニアリング事業の現場でその課題を肌で感じてきました。
「スタートアップの方々は素晴らしいビジョンをお持ちです。しかし、『試作機は動いたが、量産設計のノウハウがない』、『ソフトは一流だが、ハードウェアのコストが高すぎて普及しない』といった壁に直面し、足踏みしてしまうケースが非常に多いのです」

パーソルクロステクノロジー ソリューション・企画統括本部 ビジネス企画本部 本部長 黒田 知広
例えば、優れた自動運転技術や高度なAIを持っていても、それを搭載する車体やロボットの筐体を、耐久性・安全性を担保しながら安価に製造できなければ、ビジネスとして成立しません。ここに、当社が介在する意義があります。
パーソルクロステクノロジーには約1万人以上のエンジニアが在籍し、IT領域はもちろん、自動車、航空宇宙、家電、ロボットなど、あらゆるものづくりの現場で設計・開発を支援してきた実績があります。
「今回パーソルクロステクノロジーは、資金を出し投資するためにMoRoに参加したわけではありません。我々は、ベンチャー企業に足りない『動けるエンジニアの力』と『量産化の知見』を提供できます。支援というよりは、足りないピースを埋め合う『共創パートナー』として、共に未来を切り開いていきたいと考えています」
■久留米工業大学や隠岐諸島の事例に見る「実装力」
MoRoのイベントにて、黒田は当社の提供価値についてプレゼンテーションを行いました。そこで語られたのは、パーソルグループの人材ビジネスの枠を超えたプロジェクトの実績です。
一つは、久留米工業大学発のベンチャー企業との取り組みです。
「『PARTNER MOBILITY ONE』というベンチ型の自動運転モビリティの開発において、我々はデザインや企画の段階から参画し、設計・形にするところまでを共に走りました。学術的な知見を、実際のモノとして具現化した事例です」
もう一つは、国土交通省が採択した、島根県隠岐諸島での自動運転バスの実証実験です。
「ここでは自動運転バスの実装支援を行いました。運行管理やメンテナンスも含め、テクノロジーを社会インフラとして定着させるための実務を担っています」
隠岐諸島では、自動運転でフェリーに積載し、2つの島を往復できるかどうかの実証実験を行った。
実施レポート:https://persol-xtech.co.jp/news/report/20251121-014367.html
これらの事例が示すのは、当社が「仕様書通りの開発」を受託するだけの会社ではないという事実です。0から1を生み出そうとするスタートアップや研究機関に対し、1を10にも100にも拡大する「エンジニアリングの地力」を提供する。それがMoRoにおける私たちの役割です。
■50社との対話から見えた、協業の種
こうした姿勢は、すでに具体的な動きとして結実し始めています。昨年12月に開催されたアジア最大級のオープンイノベーションイベント「ILS(Innovation Leaders Summit)」では、当社もブース出展とリバースピッチを行い、たった1日で約50社以上と対話を重ねました。

ILSでは、社会課題解決に向けてパーソルクロステクノロジーがスタートアップと手を組む意義を説明
「例えば、ある遠隔管理技術を持つスタートアップとの商談が進んでいます。彼らは遠隔管理システムには強みがありますが、その足まわりとなる機体を大手自動車メーカー製のものを購入して使用しているため、原価が高く、普及のネックになっていました。そこで、我々の設計知見を活かし、内製化支援や量産に向けた再設計を提案しています」
また、協働運搬ロボット「サウザー」などを手掛けるDoog社をはじめ、複数のロボットベンチャーとも対話を進めています。その中で当社が見出したのは、工場の自動化(ファクトリーオートメーション)における、「メーカーの壁」という課題です。
工場や物流倉庫では、さまざまなメーカーの搬送ロボット(AGV)やフォークリフトが混在しており、それらを一元管理するシステムが存在しないことが現場の非効率を生んでいます。
「特定のメーカー色がない、中立的なエンジニアリング会社である当社だからこそ、メーカーの垣根を越えた『フリート管理システム(群管理)』が作れるのではないか。ロボット単体ではなく、それらが稼働する環境全体を最適化するソリューションとして、中長期的にはこういった領域にも挑戦していきたいという構想を持っています」
■パーソルクロステクノロジーが描く、エンジニアリング企業の新しい役割
黒田自身、かつてはトラックの設計開発に従事していたエンジニアです。「与えられた条件を基に図面を正確に引く」ことの重要性を理解しつつも、それだけではこれからのエンジニアリング企業は生き残れないという危機感も持っています。
「これまでは、大手メーカーの製品開発の一部を担うことが我々の主戦場でした。しかしこれからは、商社やリース会社、そしてスタートアップなど、技術部隊を持たないプレイヤーとも手を組み、新しいビジネスそのものを創出していくことも必要です」
MoRoへの参画は、当社のエンジニアにとっても、大きな意味を持ちます。
完成された大企業の分業化されたプロセスの中だけでなく、スタートアップという「正解のない環境」に身を置き、技術と情熱で道を切り拓く経験。それは、エンジニアとしての市場価値を飛躍的に高める機会になる。
「技術があるだけでは、社会は変わりません。それを現場で使える形にし、運用し、定着させる『実装力』があって初めて、イノベーションは社会課題を解決する力になります」
モビリティとロボットが、当たり前に街や工場を動き回る未来。その「当たり前」の裏側には、スタートアップの熱量と、パーソルクロステクノロジーの実装力が共にあるはずです。
●MoRoの詳細はこちら https://akiba.dmm.com/moro