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パーソルクロステクノロジーに関するニュースについて紹介します。

レポート
官民連携で進む自動配送ロボットの実装戦略
~社会実装に向けたリアルと壁~

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(右)事業開発本部 新規事業開発部 部長 御牧 慶次
(左)事業開発本部 新規事業開発部 マネージャー 小林 宏行

自動走行ロボットが街を走るー社会実装への一歩

近年、物流業界ではEC市場の拡大に伴う配送需要の増加に加え、2024年からの労働時間制限やドライバーの高齢化によって、人材不足が深刻な問題となっています。こうした状況を受け、経済産業省は持続可能な物流体制の構築に急ぎ、「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会1」を発足させるなど、解決に向けた取り組みを進めています。

その一環として、パーソルクロステクノロジーはこれまで培ってきた自動搬送ロボットや介護用ロボットの開発・運用の知見を活かし、社会実装を見据えた実証実験に取り組みました。2026113日から30日までの約3週間、滋賀県甲賀市において、甲賀市、JAこうか、株式会社手原産業倉庫と協業し、自動配送ロボットによる配送実験を実施しました2

本実証実験をけん引した御牧 慶次と小林 宏行へのインタビューから、実証実験の裏側と今後の展望を掘り下げます。

※1 経済産業省「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jidosoko_robot/index.html
※2 プレスリリース:

・【1月13日~30日】滋賀県甲賀市で自動配送ロボットによる弁当配送の実証実験を実施 https://persol-xtech.co.jp/news/release/20260107-014407.html (2026年1月7日)
・自動配送ロボットによるラストマイル配送の実証実験を完了 https://persol-xtech.co.jp/news/release/20260428-014487.html (2026年4月28日)

街中での実証 ―日常の中へ溶け込むロボット

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実証実験は、期間中の830分から1630分まで、甲賀市役所を中心とした約2.5kmのエリアで行われました。ロボットが担ったのは、各所への弁当配送です。
パーソルクロステクノロジーは、サービス設計から運用設計、現場での運行管理まで一貫して担い、実サービスとして成立させる役割を担当しました。一方、甲賀市からは実証フィールドとして一般公道が提供され、JAこうかは配送物となる「初穂」の弁当配送拠点を担いました。また、手原産業倉庫は地元物流事業社としてのノウハウ活かし、トラブル時の駆けつけ対応などを支援。こうして多様なプレイヤーが連携し、現実の街を舞台にした実証が進められました。

街を歩き、住民の理解を積み重ねることが最も重要だった

「正直、一番大変だったのは走らせる前かもしれません。」

そう語るのは、今回の実証実験を担当した御牧です。自動走行ロボットと聞くと、技術開発や制御の難しさに目が向きがちですが、現場で直面した最大の壁は、意外にも環境づくりでした。

「ロボット配送を実フィールドで成立させるためには、安全性と運用性を前提とした綿密な事前調査とルート設計が不可欠です。街を実際に歩きながら、路面の状態や障害物、歩道の有無といった細かな条件を一つひとつ確認し、安定した走行が可能かを検証していく必要がありました。さらに、走行可能であるだけでなく、配送ニーズや利用シーンを踏まえたルートであるかどうかを見極めることで、初めてサービスとして継続的に運用できる基盤が整います。」

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傾斜がついた道や、歩道に越境した樹木などの障害物調査なども検証対象の一つ
(写真提供:パナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社)

単に走行可能なルートでは不十分。サービスとして成立させるためには、「届ける相手」が存在する場所でなければなりません。つまりロボットが「安全に運行できる環境」で、かつ「利用してくれる人がいる場所」であることも重要でした。この2つを両立させる必要があったのです。

「現地を歩きながら、『ここなら走れそうだ』という場所を見つけては、その周辺でお客さまになり得る方に声をかけるという、飛び込み営業のようなことも行いました。ただ、配送先を探す部分についてはそれほど大きな苦労はありませんでした。一方で、ロボットが走れるエリアが限られているため、その中でどのように配送ルートやサービスを成立させるかには工夫が必要でした。」と小林は振り返ります。

そしてもう一つ、技術とは異なる軸で大きな課題となったのが、関係者の理解を揃えることでした。

「地方に限った話ではありませんが、本当に多くの関係者が関わります。その全員に共通認識を持っていただくことにも注力しました。」とは御牧。

とりわけ重要だったのは、地域全体への丁寧な説明でした。自治会長をはじめとした地域のキーパーソンだけではなく、実際にその場所で生活する皆さんの納得が不可欠でした。そのプロセスは時間も手間もかかる地道なものです。しかし、継続的なコミュニケーションの中で思わぬ成果もあったと言います。

小林は「自治会にも参加しましたが、1回説明すれば十分というわけではありませんでした。毎回顔を出して、少しずつ覚えていただきながら丁寧に説明を重ねていきました。『聞いていない』という方が出ないように、順序立てて会話していくことが何より重要でした。ただ、繰り返しお話しする中で、地域の方から地域住民への周知方法についてのアドバイスなどをいただくこともありました。」と振り返ります。

実証実験の裏側では、街を歩き、人と向き合い、信頼を積み重ねるという、極めてアナログな努力が重ねられていました。

「ロボットを走らせるということは、街の中に入っていくことです。だからこそ、技術だけでなく、人との関係づくりが欠かせません。そこを乗り越えて初めて、実証が成り立つのだと思います。」と、御牧はロボットを走らせる前の裏側をまとめました。

18日間の実証実験が示したもの

18日間にわたる実証実験は、大きなトラブルもなく終了しました。しかしその中で見えてきたのは、机上の想定とは異なる「現場ならではのリアル」でした。御牧は、今回の成果をこう振り返ります。

「実証実験自体は非常にスムーズでした。そして何より、事前周知の甲斐あってか予想以上に自動配送ロボットが地域の方々に受け入れられたことが印象的でした。街に自然と溶け込み、人々がロボットに対して寛容であることに気づかされました。」

一方で課題も明確になりました。「特に大きかったのは、道路インフラの制約です。支柱や段差、傾斜といったわずかな障害がロボットの走行を妨げます。また信号が無い交差点では、人間同士であれば自然に行われるアイコンタクトや『譲り合いの空気』をロボットが再現できず、スムーズに横断できない場面もありました。これからの課題になると思います。」

運行管理を担当した小林も、今回の取り組みの意義を強調します。

「新規事業としての一歩を踏み出せただけでなく、実フィールドでの検証を通じて、多くの知見や課題を得ることができました。協業いただいた皆さまからも、自動配送ロボットへの可能性に期待する声を数多くいただきました。一方で、普及に向けてはインフラ整備という大きな課題が残されています。しかし、この課題は自動配送ロボットの社会実装を進める中で、自治体や地域の皆さまとともに乗り越えていくべきものです。今回得られた知見を活かしながら、誰もが便利で安全に暮らせる地域社会の実現を目指し、今後も挑戦を続けていきます。」

次なる挑戦と広がる可能性

こうした成果と課題を踏まえ、次のステップもすでに動きだしています。舞台は奈良県宇陀市。より大容量の中型自動配送ロボットを活用した実証実験が予定されています。御牧は、その展開について次のように語ります。

「積載能力が向上することで、日用品や医薬品など、より幅広い配送が可能になります。フードデリバリー業界との連携など、新しいサービスの創出も期待しています。一方で、稼働率の向上などコスト面の課題にも取り組んでいきます。」

また小林は、中山間地域への貢献にも目を向けています。

「中山間地域では、農産物の出荷や日用品の配送において、配送先が点在していることや人材不足の影響により、配送効率が上がりにくいという課題があります。加えて近年では、高齢化に伴う運転免許の返納など移動手段を持たない方も増えており、買い物そのものが難しいという問題も生じています。当社は今後、こうした地域課題の解決に向けた提案を進めていきたいと考えています。その背景には、ロボットのローカライズ開発から遠隔監視まで、上流から下流までを一貫して支援できる当社のケイパビリティがあります。」

自動配送ロボットを「持続可能なインフラ」へ。実証から見えた課題と展望

今回の実証実験で明らかになったのは、現時点で自動配送ロボット単体では、持続可能な事業として成立させることが難しいという現実でした。配送効率や運営コストの観点からも、単一用途のサービスでは収益化に限界があることが浮き彫りになったのです。

こうした課題を乗り越えるために不可欠なのが、「官民連携」と「サービスの多重化」です。行政が担う公共サービスと、民間による商業サービスを、ロボットという共通インフラ上で組み合わせることで、稼働率を高めるとともに、収益性と公共性の両立を実現すると考えます。

「例えば、ラストマイル配送を基軸としながら、見守り、観光案内、広告、地域情報発信といった機能を付加することで、ロボットは単なる『運ぶ装置』から『まちを支えるインフラ』へと進化します。これにより、24時間365日、多様な用途・利用者に活用される存在への転換が可能になります。」とは御牧。

そして小林はこう補足します。「こうした取り組みは単なる技術導入にとどまらず、都市政策やまちづくりと一体で推進していくことが重要です。道路や歩行空間の整備、地域事業者との連携、住民理解の醸成など、多様な主体の関与によって初めて、社会実装は現実のものとなります。今後は、実証で得られた知見をもとに、官民がそれぞれの強みを持ち寄りながら、サービス設計および運用モデルの高度化を進めていきます。そして、自動配送ロボットを単なる新規事業としてではなく、地域課題を継続的に解決する持続可能なインフラとして定着させていくことを目指します。」

本取り組みはまだ始まったばかりですが、官民が連携し、多様なサービスを重ねながらロボットの価値を最大限に引き出していくことこそが、次世代のまちづくりと物流の在り方を切り拓く鍵になると、御牧と小林は確信しています。


<実証実験に使用した自動配送ロボットについて>

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今回使用した自動配送ロボットはパナソニックが提供する「ハコボ」。事前に用意した二次元コードをかざすと扉が開く仕様となっています。















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