ニュース
パーソルクロステクノロジーに関するニュースについて紹介します。

「AIエージェントを導入したけれど、現場で使われていない」「AIエンジニアが欲しいが、誰を採ればいいのか分からない」──。Microsoftが提供するCopilotをはじめとした生成AIの本格普及を契機に、企業の現場ではこうした戸惑いの声が広がっています。その背景にあるのは、AIエージェントの普及によって「業務部門」と「IT部門」の境界線そのものが溶け始めているという、構造的な変化です。
パーソルクロステクノロジーでは、ものづくり・IT・セキュリティ領域などにおいて、専門的な知識を持ったエンジニアが、あらゆる業界で技術支援を行っていますが、今回は、Microsoft領域を中心に、AI活用やDX推進の提案に携わる神田 淳(DXソリューション本部 DX営業部 部長)へのインタビューを通じて、最新のAI事情に迫ります。
「AIエンジニア」の定義は、もう壊れている
「今『AIエンジニア』と呼ばれる仕事は、すでにひとくくりにできる状態ではありません。」そう語るのは、パーソルクロステクノロジーでMicrosoftパートナーとしてAIの最先端技術領域の取り組みをリードする神田です。
現在、「AIエンジニア」という言葉の中には少なくとも3つの異なるレイヤーが混在しています。基盤モデルそのものを開発する層、APIを活用して独自プロダクトを構築する層、そしてGitHub CopilotやClaude Codeを使って自らの開発業務を効率化する個人──。
「やっていることの性質がまったく違うにもかかわらず、これらが全部『AIエンジニア』として語られています。この言葉が指す範囲は非常に広がっており、業界内でも共通認識がまだ十分に整理されていないと感じています。」
こうした混乱を背景に、世界的にAI時代に求められる人材像やスキルのあり方、新たなはたらき方が形成されつつあります。
「Microsoftが提示しているのが『AI Business Professional』という考え方です。AIを開発する人ではなく、AIをビジネスで使いこなす人、を指す言葉ですね。」
これは単なる呼称の違いではなく、求められる能力の軸が変わっていることを意味しています。
「コードを書くスキルよりも、業務の中にどうAIを組み込むか。その設計力の方が重要になってきています。日本ではまだほとんど耳にしないこのカテゴリーが、近い将来、企業の採用基準の中心に来る可能性があると見ています。」
ExcelとVBAの関係が、そのままAIに重なる
神田は、この変化を「既視感のある構造」だと指摘します。「Excelが使えることがビジネスの標準スキルになり、関数を組める、VBAでマクロを書けることが付加価値スキルになった──あの構造が、そのままAIエージェントにスライドしています。Copilotが使えることが標準スキル、カスタムエージェントを設計できることが付加価値、Microsoft Foundryで業務特化型を開発できることがさらに上の専門領域、というレイヤー構造です。AIができる人というより、どのレイヤーまでできる人か、で評価される時代に変わっていくと思います。」
MicrosoftとLinkedInが2024年に公開した調査「Work Trend Index※1」によれば、世界のリーダーの66%が「AIスキルを持っていない人材は採用しない」と回答しています。Gartnerは、2030年にはIT業務の75%が人間とAIの協働になり、25%はAIが単独で遂行する──つまり人間だけで行うIT業務はゼロになると予測しています※2。あと4年で、この景色が現実になる可能性があるのです。
※1 参照「2024 Work Trend Index Annual Report」 Microsoft and LinkedIn(2024年5月10日)
※2 参照「Gartner、2030年までにすべてのIT業務にAIが導入されるとの調査結果を発表:組織はAIと人間の両面を準備してバリューの発見/獲得/持続を目指す必要がある」ガートナージャパン株式会社(2025年10月28日)
業務部門が、IT領域に踏み込み始めている
もう一つの大きな変化が、組織の役割構造の揺らぎです。従来は、業務部門とIT部門は明確に分かれていました。業務部門が要件を伝え、IT部門が開発する、という分業モデルです。しかしAIエージェントの登場で、この前提も崩れ始めていると神田は言います。
「Microsoft 365 CopilotのAgent Builder(エージェントビルダー)では、自然言語で目的を書くだけで、数分でカスタムエージェントを構築できます。開発知識はゼロで構いません。チームへの自動配信や業務フローへの組み込みに進みたければ、その先にCopilot Studioがあります。個人の業務補助から組織の仕組みへ、段階的に広げていける構造です。」
たとえば「AIに関する最新情報や業界動向を収集し、分かりやすく要約して伝える」という役割を与え、参照したいURLを登録しておく。それだけで、その時々の最新情報を要約してくれるアシスタントが動き始めます。ただし、ここで誤解してはならないのが「コパイロット=副操縦士」という設計思想です。
「Microsoftが『Copilot』と名付けているのは、あくまで副操縦士だから。最終判断は人間が下します。AIに全自動でやらせるのではなく、人間が下準備をして、AIに判断を補助させる。この線引きを誤ると、現場は振り回されます。」
では、IT部門やSIの仕事はなくなるのでしょうか。
「結論から言えば、なくなりません。ただし、形は変わることでしょう。業務部門の人がAIエージェントを作れるようになっても、広範囲の業務適用、各種システムの連携、大量アクセス、セキュリティなどになると、業務担当者の領域を越えてしまいます。スケーラビリティのあるクラウドインフラ設計、責任あるAIのための権限管理、業務特化型エージェントの裏側で動く専門領域のSI…。こうした領域は、これまで以上に高い専門性が求められるようになります。」

実際にパーソルクロステクノロジーは現在、ある製造業メーカーの支援に入っています。設計図面、ハーネス仕様、各国の法規制や排ガス規制のデータがSharePointや個人フォルダー、属人的な暗黙知に散在している状況を、Microsoft Foundryで業務特化型のエージェントに統合するプロジェクトです。
「汎用のCopilotでは精度が出ない、専門領域SIの腕が問われる典型例です。しかもこの支援は作って納めるだけではなく、プロジェクトを通じて顧客側のエンジニアが技術を習得できる、内製化への伴走も含んでいます。」
業務部門は副操縦士を使いこなすレイヤー、IT部門・SIは基盤と専門領域を担うレイヤー。境界線は「ハードvsソフト」から、「個人補助vs組織基盤」へと引き直されつつあります。
タスクの先で問われる「人間力」
タスクの遂行や情報収集をAIに任せられるようになった時、人の価値はどこで決まるのでしょうか。神田は、最後にこう語ります。
「『この人と一緒に仕事がしたい』『この人となら実現できる』と人間性や人の意思が介在したアウトプットが重要視されてくると思います。企画力、高度なコミュニケーション能力、AIの出力に責任を持って判断を下す力。いわゆる非認知能力が、採用や評価において、これまで以上に重みを持つようになると思います。AIエージェントが業務の中心に座る未来は、皮肉にも、人間が人間として何を持っているかを問い直す時代でもあるのかもしれません。」
こうした大きな変化の中で、パーソルクロステクノロジーには独自の立ち位置があります。人材サービス大手パーソルグループの中で、テクノロジーに特化した企業であるという点です。
Microsoft Japan Partner of the Yearを2020年から6年連続で受賞。優れたエンジニアを表彰するMicrosoft Top Partner Engineer Awardの受賞者も輩出しています。
「ライセンスを買って終わりになっている企業は多いです。そこに対してパーソルクロステクノロジーでは、何から始めるべきかを示し、業務範囲を限定した『60点でPDCAを回す』スモールスタートでの進め方を提唱しています。また、まずは無料のオンデマンドコンテンツを通じてAI活用に関する基礎知識や活用イメージを身につけていただくことができます。その上で、より実践的な活用や組織展開を目指す企業向けには、有償トレーニングやワークショップも提供しています。」
これらのプロセス自体を伴走して設計していくことが重要だと語る神田。テクノロジーの導入だけにとどまらず、人と組織のスキル転換まで含めて支援できることがパーソルクロステクノロジーの強みでもあるのです。
業務部門とIT部門の境界が溶け、役割の輪郭が変わる時代に入りました。何を持っている人が強いのか──。
「どんな人材が強いのか。その最終的な答えは、まだ出ていないと思います。」
そう前置きしながら、神田はこう締めくくります。
「ただ一つ言えるのは、この問いを早く持った人や企業ほど、次の景色が見え始めるということです。」
AIエージェント時代のはたらき方は、まだ進化の途中にあるのです。
●パーソルクロステクノロジーの各サービス・ソリューションについては下記をご覧ください。
M365 Copilot Premiumトレーニング https://persol-xtech.co.jp/service/m365-training/
AIエージェント導入支援 for Copilot Studio https://persol-xtech.co.jp/service/copilotstudio/
AI導入成果化支援サービス https://persol-xtech.co.jp/service/ai-value-realization/
AI アカデミー ~BASIC~ https://persol-xtech.co.jp/service/ai-academy/
●参照
ビジネス+IT:「AIをとにかく活用せよ」が頓挫するワケ、“PoC死”防ぐパーソルクロステクノロジーの共創AIサービス開発
https://www.sbbit.jp/article/sp/185763
【監修者プロフィール】

神田 淳(かんだ じゅん)
パーソルクロステクノロジー株式会社 DXソリューション本部 DX営業部 部長
2010年、当社の前身となる企業に入社。フロント業務、営業、拠点立ち上げでのミドル・バック横断業務、コンタクトセンター部門でのDX組織、サービス開発、コンサルティング部門の立ち上げなどを経て、現在は本部の営業部長として、法人営業はもちろん、Microsoft領域のソリューション開発・マーケティング・教育コンテンツの推進を担当。AI領域のセミナー登壇多数。
※ClaudeおよびClaude Codeは、Anthropic, PBC の商標または登録商標です。
※GitHubおよびGitHub Copilotは、GitHub, Inc.の商標または登録商標です。
※Microsoft Foundry、Microsoft Copilotは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。