AIを用いたサイバー攻撃対策とは?AIが悪用された事例も解説
しかし、AI技術は攻撃側にとっても強力な武器となりつつあります。AIを悪用したサイバー攻撃の事例も増加し続けており、実際にランサムウェアによるサイバー攻撃を受けた企業もあります。
この記事では、AIを用いたサイバー攻撃対策とAIが悪用された攻撃事例の両面から、サイバーセキュリティの重要性と導入の流れを解説します。

目次
パーソルクロステクノロジーの生成AI対応サイバーセキュリティ監視サービスは、Microsoft Security Copilotを活用し、インシデントの検出・分析・対応を迅速化します。Microsoft Security Copilot は、OpenAIの高度なGPTシリーズと、Microsoft独自のセキュリティ知見・脅威インテリジェンス・クラウド基盤を組み合わせて動作し、Microsoft製品とも連携できる製品です。
アラート調査の長期化やセキュリティ技術者不足に課題をお持ちのお客さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
詳しくはこちら
AIを用いたサイバー攻撃対策とは?
近年、高度なサイバー攻撃が目立ち、人の監視だけでは完璧に防ぐことが困難となってきました。そこで、AIを用いたセキュリティ対策の重要性が高まりつつあります。まずはAIを用いたサイバー攻撃対策を5つ解説します。
ログの監視・解析
AIを使ったログの監視・解析は、サイバー攻撃の兆候をいち早く検知し、迅速な初期対応を可能にします。企業が保有する膨大なアクセスログ・操作ログのデータを自動で解析・学習し、リアルタイムに監視することで、異常を見落とすリスクを軽減します。
また、人が監視しなくても正常なログと異常なログ(サイバー攻撃を受けている可能性がある)を判定するため、ヒューマンエラーや人材不足の課題解決にも有効です。これにより、サイバー攻撃の兆候を見落とさず、被害を防ぐことにつながります。
トラフィックの監視・解析
AIでトラフィック(ネットワークにあるデータ量)をリアルタイムで監視・解析できるため、社内システムの障害を検出しやすくなりました。例えば、通常の業務とは明らかに異なるデータの受送信が検出された際、AIが過去に学習したデータを踏まえてサイバー攻撃の可能性を判定します。DDoS攻撃、不正アクセスなどの疑いがあれば瞬時にアラートが出るため、被害を最小限に抑えられます。
マルウェアの検知
マルウェアとは、ユーザーの端末やシステムに不利益をもたらすプログラム・システムを指します。AIで蓄積された膨大なデータから「正常なプログラム」と「正常ではないプログラム」の違いを学習させることで、マルウェアを簡単に検知できるようになりました。
従来のセキュリティは既存のウイルス検知に特化しているため、新しいウイルスは検知できません。学習能力のあるAIを搭載すれば、新しく生まれた未知のウイルスを見落とすことなく、より多くのサイバー攻撃防止に役立ちます。
不正アクセスの検知
不正アクセスとは、アクセス権限のない第三者がサーバーやシステムに侵入する行為で、情報の漏えいや悪用などのリスクがあります。
従来のセキュリティ対策のみでは、アクセス権限者しか知り得ないログイン情報が外部に漏れた場合、不正アクセスとして検知するのは困難でした。しかし、AIを搭載することで、通常とは異なるログイン時間や場所などの情報から異常な挙動を自動で察知し、サイバー攻撃の被害を防止できます。
セキュリティ診断(脆弱性診断)
AI技術が使われているセキュリティ診断を活用すれば、現在のサーバーやシステムの脆弱ポイントを洗い出すことが可能です。セキュリティ診断を手作業で進めようとする場合は膨大な時間とリソースを必要としますが、AIを駆使すれば難易度の高い大規模システムも診断できます。例えば、安全な環境下でホワイトハットハッカーにサイバー攻撃のようなやり口で侵入してもらう「AI活用ペネトレーションテスト」があります。
システム全体の堅牢性を向上させるためにも、セキュリティ診断を活用し、システムの欠陥を確認しましょう。
以下の記事では、セキュリティ診断(脆弱性診断)についてより詳しく解説しています。
セキュリティ診断(脆弱性診断)とは何か?必要性や種類、実施方法について解説
AIをサイバー攻撃対策に活用するメリット
AIを使った悪質なサイバー攻撃が増えるなか、防御する側でもAIを使う事例が増えています。ここでは、AIをサイバー攻撃対策として活用するメリットを4つ解説します。
サイバー攻撃の検知率が向上する
AIは膨大なログデータや通信情報をリアルタイム解析できるため、従来のように担当者が目視で確認するだけでは見落とされがちな小さな異常もとらえることが可能です。アクセス頻度、ログインの場所や時間、データ量の変化など、リアルタイムで監視していなければ検知できない不自然な動きまで細かく検知します。
さらにAIは、データや情報が蓄積されるほど検知率が高くなる傾向にあるため、サイバー攻撃のリスクを軽減できます。
新しいサイバー攻撃に対応できる
従来のセキュリティシステムの多くは既存のサイバー攻撃に対してのみ有効でしたが、AIを搭載することで、進化したサイバー攻撃にも対応できるようになりました。
サイバー攻撃の手口は常に複雑化・高度化しており、既存のパターンと大きく異なる未知の攻撃にも備えなければなりません。その点、AIの機械学習は膨大なデータと情報から未知の攻撃パターンも自動で学習するため、手口の変化が速いサイバー攻撃にも柔軟に対応できます。
検知精度が継続的に改善される
AIのセキュリティシステムは、サイバー攻撃の事例や既存データを継続的に学習することで、データ量に比例して検知モデルの精度が高まる特性を持ちます。導入直後は検知精度が低くても、使い続けることで小さな異常や攻撃の兆候も検知できるようになり、常に新しい攻撃手法に最適化された防御体制を整えることが可能です。
固定化された既存のセキュリティシステムだけでは最新のサイバー攻撃に対応できないからこそ、学習してアップデートされるAI搭載型が注目されています。
セキュリティ人材の不足に対応できる
日本企業の多くは慢性的な人材不足に悩まされていますが、サイバーセキュリティの分野においてもそれは例外ではありません。しかし、AIを搭載すれば、今までは人が行っていた業務を自動化できるため、サーバーやシステムの監視・解析などに人員配置をする必要がなくなります。
これにより、異常が検知されたときの緊急対応や意思決定が求められるような重要な業務に集中でき、業務効率化につながります。
AIを悪用したサイバー攻撃とは?
サイバー攻撃には代表的な手法がいくつか存在します。それらの特性を把握しておけば、予防や被害を受けた時の対応がしやすくなります。ここでは、AIを悪用したサイバー攻撃を6つ解説します。
マルウェア、ランサムウェア
従来のマルウェア、ランサムウェアといえば、サイバー攻撃を仕かけるハッカーがコードを作成し、メールやサイト、USBデバイス経由でウイルス感染させる手法が一般的でした。しかし、生成AIを使えば、ハッカーにコードの知識がなくても、プロンプトで指示するだけで簡単に悪性コードを作成できるようになっています。
さらに、ウイルスを検知しにくくするために挙動を変える擬態型マルウェア・ランサムウェアも増えており、高度なセキュリティシステムでなければ対応できなくなりつつあります。
DDoS攻撃
DDoS攻撃(Denial of Service attack)とは、大量のアクセスやデータを送り込むことでアクセス制限やネットワーク遅延を引き起こすサイバー攻撃です。
AIが悪用されることで、過去のトラフィックパターンを学習し、通信パターンや負荷の異常をカモフラージュできるようになりました。正常に稼働している状態を装われてしまうと、従来のセキュリティでは異常を検知できなくなるため、より効率的かつ危険性の高いDDoS攻撃が行われる可能性が懸念されます。
ディープフェイク
従来のディープフェイクは、音声や映像の品質が悪かったため、専門知識がない人が見ても合成画像・フェイク動画の判別が容易でした。しかし、AIがリアルな音声や顔、景色などを徹底的に学習して生成された精巧なディープフェイクは、本物との違いが分からないほどのレベルに達しています。
実際、オンラインミーティングや通話などの偽造が増えており、業務における重要な意思決定に影響を与える詐欺被害が発生する恐れがあります。
データ・ポイズニング
データ・ポイズニングとは、AIに間違った情報を与えることで検知基準を意図的に操作しようとする行為です。ハッカーによって汚染されたデータをAIが学習することにより、サイバー攻撃を見逃してしまう恐れがあります。スパムメールやウイルスの入ったファイルを無害と判別してしまうと、サイバー攻撃による情報の漏えいや悪用につながります。
ファジング
ファジングとは、潜在的なバグ・脆弱性を洗い出し対処する目的で意図的に異常データを送り込み、反応を確認する手法です。本来は、企業のセキュリティ強化に活用される手法ですが、攻撃側が悪用するケースも散見されます。
このファジングにおいてAIを使って異常データを自動生成した場合、手作業で生成するよりも効率的にファジングの準備ができ、ゼロデイ攻撃のターゲットになる恐れがあります。
回避攻撃
回避攻撃とは、AIに間違った判断をさせるために意図的にノイズ(敵対的サンプル)を送り込むサイバー攻撃です。例えば、画像認証で特殊加工したものを提示して本人確認を偽造する、Webカメラに偽情報をインプットさせることで不良品を正常品として誤判定に誘導する、などの行為などがあります。
近年では、画像だけではなく音声認識でもAIを使った回避攻撃が増えているため、非常に危険度が高いといえます。
AIを悪用したサイバー攻撃の事例

AIを悪用したサイバー攻撃にはさまざまな手法があります。実際の事例を知れば、その危険性や影響範囲をイメージしやすくなります。ここでは、AIを悪用したサイバー攻撃の事例を3つ解説します。
ディープフェイク音声によるCEO詐欺
AI技術を悪用したサイバー攻撃で世界的に注目された事例として、ディープフェイク音声を使ったCEO詐欺が挙げられます。
ある事件では、ハッカーが生成AIで親会社のCEOの声を精巧に似せて、緊急送金するように指示を出す電話をかけました。送金された約24万3,000ドルは即座に複数の国の口座に転送されたため追跡が困難となり、多額の被害が発生しました。
AI技術が発達したことで、本物との違いを見極めることが困難になってきています。今後は、重要な意思決定をより慎重に行う姿勢が求められます。
マルウェアの自動生成
2024年、対話型生成AIを使ってマルウェアのソースコードを自動生成したハッカーが逮捕され注目を集めました。容疑者のハッカーは、特定のファイルを暗号化したり、仮想通貨口座への送金を要求するメッセージを作成したりする作業にAIを使っていたことが判明しています。
この事件で注目されたのは、容疑者が専門性の高い技術や知識を持っていなかったことです。国内で生成AIを悪用したことで摘発された初めての事例となりましたが、技術や知識がなくてもサイバー攻撃できる現実が浮き彫りとなりました。
プログラム生成による不正アクセス
2025年、中高生3人(14〜16歳)が対話型生成AIを悪用して大手企業のシステムに不正ログインした事件が明らかになりました。本来であれば専門知識がなければ不正アクセスはできませんが、対話型生成AIに生成させたプログラムを使って約33億件の第三者のIDやパスワードを独自に取得。機械的に入力することで、1,000件以上の不正契約を成立させました。
AIをサイバー攻撃対策に導入する手順
セキュリティ対策にAIを取り入れる際には、単にツールを導入するだけではなく、導入計画や体制づくり、リテラシー教育を図ることが欠かせません。ここでは、AIをサイバー攻撃対策に導入する手順を3つに分けて解説します。
①導入計画を立てる
AIを使ったサイバー攻撃対策を安全に運用するためには、段階的な計画が欠かせません。
まずは既存環境に影響が及びにくい監視や検知機能からテスト導入し、AIの検知精度や運用負荷を確認します。テスト導入で問題がなければ、自動対応や高度分析などの追加機能を少しずつ追加し、最小限のリスクで本格運用に移行しましょう。
②プロジェクト体制を整える
AIを使ったサイバー攻撃対策は部門横断で進めることが重要になるため、各部署から担当者を集め、専門チームを配置しましょう。そのうえで、CISO(最高情報セキュリティ責任者)やIT責任者を選定し、必要に応じて外部の専門家を含む体制を整えます。
プロジェクト体制が整備されれば、定期的に進捗と課題を共有しやすくなるため、円滑に導入を進められます。
③AIリテラシー教育を実施する
サイバー攻撃対策でAIを活用するといっても、現場の従業員やスタッフが仕組みやリスクを理解していなければ、運用効果は最大限に発揮されません。そのため、実際の利用者に向け、AIがどのようにサイバー攻撃の兆候を判断するのか、異常を検知したときの対応などを学ぶ機会が求められます。
セキュリティシステムの理解が深まれば、日常業務におけるセキュリティ意識の向上や、運用における安全・安定につながります。
AIを活用したサイバーセキュリティサービス
「今のセキュリティシステムではサイバー攻撃の情報が伝わりにくい」「ログが点在していてセキュリティ管理のコストが高い」などの悩みがあるならば、AIを活用したサイバーセキュリティの導入がおすすめです。
パーソルクロステクノロジーでは、生成AIを活用した生成AI対応サイバーセキュリティ監視サービスで、サイバー攻撃から情報を保護するための支援を行っています。具体的なサービス内容は以下のとおりです。
- 膨大な脅威情報を保存するデータベースから脅威レベルを瞬時に判定
- ログの集約・アラート運用を効率化
- 異常の分析や調査のほか修復手順も生成AIを使って迅速に提示
AIを活用したサイバーセキュリティの監視状況については、専門知識がなくてもご理解いただけるよう、グラフ付きのレポートで報告しています。基本的には年間契約としていますが、新規契約に限っては3ヵ月プランも用意していますので、まずはお気軽にお問合せください。
AIを用いたサイバー攻撃対策で経営リスクを低減しよう
AIを悪用したサイバー攻撃に対しては、従来のセキュリティシステムだけでは対策できない場合も数多くあります。未知のサイバー攻撃の兆候を見落とさないためにも、AIを使った対策を検討してみてはいかがでしょうか。
その際は、パーソルクロステクノロジーの生成AI対応サイバーセキュリティ監視サービスをぜひご活用ください。豊富な経験と情報のもと、生成AIを活用して、あらゆるサイバー攻撃の検出・分析・修復を支援いたします。
- 本サイト内に記載されている会社名、システム名、プログラミング言語名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

