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クラウドの普及により、ビジネスにおけるITリソースの管理はますます重要になっています。しかし、クラウド利用の増加に伴いコストが予測しづらくなり、企業の財務に大きな影響を及ぼしています。FinOps(クラウド FinOps)は、財務(Finance)とDevOpsを組み合わせた造語で、単なるコスト削減や最適化にとどまらず、コストを戦略的な投資として捉え、事業全体の運営と密に連携させることを目指す手法です。コストの流動性と連動性を高め、リアルタイムでの意思決定を通じてビジネス価値を最大化することを目的とするFinOpsをこの記事で紹介していきます。
FinOpsの概要
FinOpsは、クラウドコストを単なる運用経費として管理するのではなく、事業運営の一部として積極的に関与させることを本質としています。従来のIT部門や財務部門の垣根を越えて、全社的にコストの見える化を進め、リアルタイムで最適なリソース配分を行います。単に無駄を削減するのではなく、コストを効率的な投資へと変換し、事業成長を促進します。このプロセスにより、より迅速で柔軟な意思決定が可能となり、クラウド環境における競争力が向上します。つまり、FinOpsは単なるコスト管理を超え、ビジネスの価値を最大化する戦略的な手法です。
FinOpsのメリット
FinOpsの目的や大枠を理解したところで、続いてはメリットをご紹介します。単純なコスト削減だけでなく、組織・経営にも影響を及ぼすのがFinOpsの特徴です。
1. コストの見える化による経営判断の迅速化
FinOpsではクラウドコストをリアルタイムで把握できるため、経営層や各部門が迅速かつ的確な判断を行うことが可能です。これにより、予期せぬコストの膨張を防ぎつつ、必要な投資をタイムリーに実行できます。クラウドの利用状況を可視化し、全社的なコスト管理が一貫して行われるため、意思決定が迅速かつ効果的に進められます。
2. リソース最適化による無駄の排除
FinOpsを導入することで、クラウドリソースの無駄な消費を防ぎ、最適なリソース配分を実現できます。これにより、過剰なスペックでの利用や遊休資産の発生を抑え、コスト削減に直結します。単なる削減ではなく、必要な部分にはしっかりと投資することで、ビジネスの競争力を維持しつつ効率的な運用を可能にします。
3. 部門横断的な連携強化
FinOpsは、IT部門と財務部門の連携を促進し、これまで分断されていた情報やデータを共有します。これにより、両部門が同じ目標を持ち、より効率的にクラウド運用を管理できる体制が整います。全社的なクラウド利用状況の見える化が進むことで、より効果的なコミュニケーションと意思決定が促進されます。
関連お役立ち情報
FinOps導入が困難な理由
米国を中心に広がりを見せているFinOpsですが、日本ではまだ認知度が高くありません。FinOpsは組織で浸透しづらい要因を多くはらんでいます。
1. ITと財務部門の協力体制構築の難しさ
FinOps導入には、IT部門と財務部門が密接に連携する必要があります。しかし、これまで独立して業務を行ってきた両部門が協力することは容易ではありません。従来の縦割りの組織構造では、部門間でのコミュニケーションが不足し、適切な情報共有が阻害されることが多いため、協力体制の構築が難航します。
2. 現場志向、強いリーダーシップを持ったCIO/CTOの不在
日本企業では、従来現場側の意見が強く、トップダウンで部門横断的に施策を進めることが難しい面があります。また、CIO/CTOと言ったシステムと経営を包括して管理する役割がまだ少なく、存在していたとしても経営を踏まえた権限を有していないケースもあります。経営層などの上層部にクラウド利用に関する知識が乏しいケースもありますが、現場側に経営目線の観点が不足していることも、導入が遅れるリスクとなります。
3. コスト管理に対する従来の意識の根強さ
多くの企業では、コスト管理は財務部門の仕事という認識が根強く、他部門が積極的に関与しようとしないケースがあります。特に情報システム部門などは技術志向が強く、品質や安定性、運用性を重視するあまり、品質とコストのフラットなトレードオフが判断しづらい場合も多いでしょう。このような認識が変わらない限り、FinOpsの導入は難しいでしょう。クラウドは経費削減ではなく、事業成長のための投資として捉える意識改革が求められます。
FinOps導入のポイント
そのような導入障壁をはらむFinOpsですが、ではどうしたら導入が円滑に進むのでしょうか。以下に導入を推進するポイントを紹介します。
1.部門間の連携体制の強化
FinOpsを成功させるには、IT部門と財務部門が連携するための仕組みを整えることが重要です。共同でのプロジェクト管理や情報共有のためのツールを導入し、双方が同じ目標を持ってコスト管理に取り組む環境を構築します。この連携を深めることで、FinOpsの効果が最大化されます。
2. 意思決定の迅速化を促進するための教育
日本企業特有の現場主導型の意思決定を見直し、ポイントを絞りトップダウンでCIO/CTO、または情報システム部門が主導で迅速な意思決定が行える体制を整えることが重要です。特に、クラウドの利用状況やコスト管理に対する教育を通じて、経営層が適切に判断できる環境を整えることで、FinOps導入の成功率が高まります。
3. まずはコスト削減の成功体験から積み重ねる
FinOpsのメリットであるビジネス価値の最大化は、現場の人間としてはかなり恩恵を感じづらいメリットです。そのため、まずはコスト削減の重要性教育はインセンティブを付けるなどし、実際にコスト削減の成功体験を経験させることも重要です。当然経営目線でも良い面となりますし、この削減したコストをさらにFinOpsサイクルに投資することもできるでしょう。まずは従業員にクラウドコストの流動性・経営に関与する重要性を認識させ、適切な利用方法やコスト削減のポイントを学ばせることで、FinOpsの導入がスムーズに進みます。
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