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システム開発を発注するには?流れや注意点について解説
業務の非効率や人材不足などの課題を抱える企業で、システム開発を外部に発注するケースが増えています。しかし、発注の流れやよくある課題を十分に理解していないと、費用対効果や品質に影響する恐れがあります。
この記事では、初めての発注でも安心して進められるよう、システム開発を発注する際の基本的な流れや注意点、発注先を選ぶポイントなどを解説します。

目次
パーソルクロステクノロジーのシステムソリューションサービスは、40年以上のSI実績と総合力で、システム開発の上流から下流までワンストップで支援します。企業のビジネス課題解決やIT戦略の策定に課題をお持ちのお客さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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システム開発発注の流れ
システム開発を発注する際は、大まかな流れを把握したうえで計画的に進めることが重要です。発注前・発注後・納品後の流れを解説します。
発注前
システム開発の発注前は、最適な開発会社に依頼するための準備段階です。このプロセスを踏まずに発注すると、開発コストや品質に影響が出る恐れがあります。
課題や目的を整理する
システム開発を成功させるためには、現時点で抱えている自社の課題や開発目的を明確にすることが重要です。
- コストの削減
- 業務の効率化
- 生産性の向上
- 人材不足の解消 など
システム開発をすることで改善したい課題と達成したい目的・目標を整理しましょう。このプロセスを経ることで、提案依頼書(RFP)の作成や発注先からのヒアリングをスムーズに進められます。
提案依頼書(RFP)をまとめる
提案依頼書(RFP:Request for Proposal)とは、システム会社に見積もりを依頼する際に提出する書類であり、次のような項目を記載します。
- 開発してほしいシステムの基本概要
- システム開発の目的
- 現場の課題
- 予算
- システム開発で達成したい目的と目標 など
システム開発といっても、課題や目的によって方向性や規模は大きく異なります。書面にまとめれば、相手の理解度を高め、最適な提案を受けやすくなります。複数社の相見積もりを取る際にも比較・検討がしやすくなります。
開発の依頼先を選定する
開発の依頼先を選定する際は、複数社に問い合わせて比較します。1社のみに問い合わせをすると、課題解決に向けたシステム要件の提案力や予算、対応力などが適正かを判断できません。実績や専門領域、開発体制を考慮したうえで、最低でも2〜3社以上のパートナー候補を選定しましょう。
オリエンテーションを実施する
パートナー候補の開発会社を絞ったら、オリエンテーション(説明会)を実施します。
このとき、開発会社ごとに個別で打ち合わせをすると、共有内容に違いが出て、システム要項や見積もり金額に差が出る可能性があります。オリエンテーションと提案依頼書(RFP)で共有内容を一致させることで、提案力や対応力を公平に比較・検討できます。
委託会社を決定する
オリエンテーション後、各開発会社から提示されたシステム要項と見積もり金額をもとに、委託会社を1社に絞ります。
このとき、価格の安さを最優先にして選ぶと、契約後の追加請求や品質不足などの問題に発展する恐れがあるため注意が必要です。提示されたシステム要項が課題解決や目的達成にマッチしているかどうか、提示された金額が適正かどうかに重点を置くようにしてください。
発注後
発注後は、本格的に運用する前のテスト導入に向けた開発段階です。開発会社に丸投げせず、発注側も積極的にコミュニケーションを取って、納期遅れや方向性のズレを防ぎましょう。
要件定義をする
開発会社側のシステム要項と発注側の提案依頼書をもとに、システムの要件定義を深掘りします。
- 搭載する機能
- 対応ブラウザ・OS
- 運用方法
- 予算
- 開発期間、開発フロー
- 人員 など
開発会社が一方的に要件定義をして次のプロセスに進むと、発注側の要望が漏れる恐れがあるため、双方での確認が欠かせません。発注前に課題や目的の整理を丁寧におこなえば、要件定義での認識違いを防ぎ、そのあとのプロセスを円滑に進められます。
システムを設計する
システム設計には、外部設計と内部設計があります。
- 外部設計(基本設計):ユーザーが実際に触れる画面や機能などを設計する
- 内部設計(詳細設計):ユーザーに見えない処理やデータ構造などの仕組みを設計する
発注側に直接的な影響があるのは、操作性やUIデザインなどに関わる外部設計です。基本設計書で気になる箇所があれば細かく改善依頼をしましょう。特に、組織の平均的なITスキルが低い場合、できる限り直感的でシンプルな操作性にしてもらわなければ定着率につながりません。
プログラミングをおこなう
システムの設計が完了したら、外部設計と内部設計をもとに、開発会社に在籍するエンジニアやプログラマーがソースコードを実装し、本格的な開発を進めます。
この段階で発注側がやるべきことは特にありません。進捗状況をリアルタイムで把握できるツールなどがあれば、納期遅れや方向性のズレなども随時把握できて安心です。
ただし、すべての開発会社が進捗状況を共有するツールを利用しているわけではないため、定期連絡を受け取るなど、柔軟に対応してもらえるかを確認してください。
テストを実施する
プログラミングが完成したら、システムが正常に作動するかテストします。
テストには大きく分けて4種類あります。
- 単体テスト:プログラムのパーツごとに確認する
- 結合テスト:パーツを組み合わせても誤作動が起こらないか確認する
- 総合テスト:システム全体が計画通りに作動するか確認する
- 運用テスト:実際の稼働環境で想定通りに作動するか確認する
本格稼働してからバグが見つかると、業務の一時停止や情報漏えいなどさまざまなトラブルが懸念されるため、テスト・修正を必ず実施してください。
納品後
完成したシステムを稼働させて実務に活用していく段階です。システムは導入したら終わりではなく、継続的な成果を出すためにシステムを管理することが求められます。
システムを稼働させる
納品後は開発会社に初期設定を済ませてもらい、実際の業務で稼働します。
システム修正が必要になった場合、対応期間を過ぎると追加費用を請求されることもあるため、問題がないかどうかの確認は欠かせません。特にシステム稼働直後はサーバートラブルや操作ミスなどが発生する可能性が高いため、迅速に対応してもらえる体制かどうかを確認しておきましょう。
運用・保守をおこなう
システムの稼働に異常がなかったからといって、それで終わりではありません。長期的にシステムを運用し続けるためには、定期的に機能やセキュリティを確認し、必要に応じてアップデートする必要があります。将来的に突然トラブルが発生する場合もあるため、開発会社に運用・保守のサポートをしてもらえれば安心です。
ただし、運用・保守のサポート費用は開発費用とは別に発生するため、ランニングコストを契約前に確認しておきましょう。
システム開発で企業が抱えやすい課題
システム開発を検討する企業は増えているものの、根本的な知識不足を理由にスムーズに発注できず、足踏みしているケースが多くあります。ここでは、システム開発で企業が抱えるよくある課題とその解決策を解説します。
社内のノウハウが不足している
社内にシステム開発の知識を持つ人材がいないと、外部に発注したくても丸投げするリスクが大きく、進め方に悩む原因となります。また、ノウハウ不足のまま発注すると、システムが現場に定着しなかったり、追加コストが発生したりするトラブルに発展しかねません。
開発部分は外部に任せるとしても、要件定義や進捗確認には社内メンバーが関与する伴走型を選ぶことで、安心して発注できるだけでなく、従業員がIT知識を身につけることも可能です。
どの開発会社に依頼すべきかわからない
システム開発を外部に発注するとしても、最適な開発会社の選定が難しいと悩む企業は少なくありません。
開発会社を選ぶ際は、同じ条件で比較・検討することが重要です。そのためにはまず、課題や目的を明確にした提案依頼書を用意したうえで、複数社に向けてオリエンテーションを実施し、各社の提案力・対応力を見比べることが有効です。
業務効率化が急務になっている
業界・業種を問わずDXが加速していることから、早急にシステムを導入して短期間で成果を求められるケースが増えています。一方、システム開発にもトレンドがあります。
スピーディーに成果を出したい場合は、開発スピードの速さを確保しながら要件を段階的に導入できるアジャイル開発がおすすめです。開発と並行して機能の改善や最適化を繰り返すため、時間の経過とともに必要となる開発中や開発後の機能改善コストを軽減できる可能性があります。
システム開発を発注する際の注意点
システム開発の発注で失敗しないためには、開発会社とコミュニケーションを取りやすい体制を整えつつ、最低限の知識を持つことが重要です。ここでは、システム開発の発注時に気をつけるべきポイントを解説します。
システム開発の基礎知識を身につける
システム開発やITの知識がまったくない状態では、開発会社とのコミュニケーションに弊害が出る可能性があります。発注担当者はシステム開発における最低限の知識を身に付けておくべきでしょう。
システム開発でよく使われている専門用語としては次のようなものがあります。
- RFP:提案依頼書(Request for Proposal)
- ED:外部設計(External Design)
- ID:内部設計(Internal Design)
- UT:単体テスト(Unit Test)
- IT:結合テスト(Integration Test)
- PT:総合テスト(Product Test)
- OT:運用テスト(Operation Test) など
発注や打ち合わせの段階では、こうした用語が頻繁に用いられます。これらを覚えておくことはもちろん、わからない言葉や内容が出てきたときにはそれを放置せず、その場で確認することが大切です。1つずつ疑問を解決し、プロセスを踏むことで、認識の齟齬やトラブルが防げます。
依頼内容を曖昧にしない
現状の課題や依頼する目的を洗い出せば、必要な機能や使いやすさ、サポート体制で必要な項目を、開発会社に正しく伝えられます。大まかな依頼内容は発注前の段階で社内で話し合い、提案依頼書やオリエンテーションで共有できるように準備をしましょう。
依頼内容を曖昧なまま進めようとすると、開発会社も何を求められているのかがわからず、要望を満たすシステムにならない恐れがあります。
コミュニケーション体制を確認する
開発会社にすべてを任せるのではなく、発注側も積極的に携わることで、システム開発の精度は高まります。定期的な打ち合わせや進捗報告でコミュニケーションを取ることも欠かせません。
伴走型で開発・支援をしてくれる開発会社と組めれば、認識のズレがなくなり、システム開発の精度が向上します。納期遅れなどのトラブルの予防につながるでしょう。
契約・費用・納期を明確にする
契約後によくあるトラブルとして、追加費用の請求や大幅な納期遅延が挙げられます。開発会社と発注側が綿密なコミュニケーションを取らずに開発が進むと、機能や仕様の修正が必要になる場合もあります。修正範囲が大きくなると追加費用の請求や納品の遅延が避けられなくなるため、事前のやりとりを丁寧におこないましょう。
長期的な運用を見据える
システムは納品されたら終わりではありません。安定的に使い続けるための運用サポートまで対応してもらうことが重要です。
導入後は、想定外のトラブルや必要な機能の追加、セキュリティ対策の強化など、継続的なメンテナンスが欠かせません。開発会社を選定する際には、開発から運用・保守まで責任を持って対応してもらえるか、アップデートや改善の提案をしてもらえるかがポイントとなります。長期的な支援体制が整備されていればトラブルが起きても迅速に対応してもらえるため、十分な投資対効果が見込めるでしょう。
システム開発の発注先の選び方

システム開発は価格だけで判断するのではなく、提案力や対応力を踏まえたうえで自社に最適かどうかを判断することが重要です。最後に、システム開発の発注先を選ぶ際のポイントを解説します。
自社ニーズに合った実績があるか
システム開発会社は多数あり、それぞれに得意分野や業界があります。そのため、自社に関連した業界や業種、抱えている課題にマッチした会社かどうかを判断することが重要です。自社にマッチした開発会社に発注できれば、課題や目的に対して最適な設計を提案してもらいやすくなります。
開発会社のホームページに記載されている対応範囲はもちろん、過去の開発実績を確認し、得意分野を把握しましょう。
コミュニケーションを取りやすいか
やりとりのなかで疑問や不安が生じた場合にすぐに解消できるかどうかも、重要な判断材料です。コミュニケーションが不足すると認識のズレが生じ、必要な機能が不足したり、使いにくい仕様になったりする恐れがあります。特に、システムやIT全般の知識が乏しい場合は、専門用語を避けてわかりやすく説明してくれるかどうかを判断材料にすると、ミスマッチを防げます。
また、開発会社によってはソースコードを実装する開発工程を下請け業社に依頼するケースもあるため、どこまで直接的に携わっているのかも重要な判断基準です。
アフターサポートが充実しているか
長期的に安定したシステム運用を目指すうえでは、納品して終わりではなく、改善やトラブル対応を含めたアフターサポートがある会社に開発を依頼することが欠かせません。サポート体制が不十分だったり、経営が不安定で倒産リスクがあったりする場合、導入後に十分な対応を受けられないこともあります。アフターサポートまでワンストップで対応してもらえるか、経営基盤が安定しているかを確認しましょう。
システム開発を発注するならワンストップサービスがおすすめ
システム開発を発注するなら、一気通貫の体制がおすすめです。
これからシステム開発を検討する際は、要件定義から設計・開発、導入後の運用・保守までを一貫して支援できるパートナーを選ぶことで、プロジェクト全体の品質とスピードを両立できます。長期的な視点で伴走する体制が整っていれば、変化するビジネス環境に柔軟に対応しながら、システムを継続的な価値創出につなげることが可能です。
パーソルクロステクノロジーでは、課題の本質を丁寧にヒアリングし、最適なシステムソリューションを提案。40年以上にわたる実績と確かな技術力をもとに、お客さまの事業成長を支える戦略的パートナーとして包括的にサポートします。
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