データ可視化とは何か？必要性やメリット、方法について

データ可視化（データビジュアライゼーション）とは？

データ可視化（データビジュアライゼーション）とは、電子化された数字や文字などの情報をイラストやグラフなどの視覚的な情報に変換して、一目でわかりやすくする技法です。

従来のように売上や利益率の数字が並べられている表だけでは、リアルタイムで売上状況や余剰在庫などを把握するのが困難でした。しかし、データ可視化を取り入れると、現場にいる従業員から経営陣まで、誰もが一目でデータの意味を理解できるようになり、多くのメリットが生まれます。例えば、時間帯別の売上を棒グラフで、利益率を折れ線グラフで示し、店舗ごとの仕入れ計画に役立てるなどの方法があります。

また、ワークライフバランスを重視する若手世代の離職率を下げる目的で、残業時間をグラフで可視化し、上司が定期チェックすることで業務量を調整するような事例もあります。

BI（Business Intelligence）との関係

BI（Business Intelligence）とは、企業が保有している膨大なデータを集計・分析・加工して、経営方針や戦略の意思決定を支援する仕組みです。

データ可視化とBIを併用すると、分散したデータの集計と整理、分析が自動化でき、最終的な意思決定までの業務を効率化できます。さらに、AIを搭載したBIツールを導入すれば、統計的な観点からの予測や意思決定までが可能となります。

BIツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
BIツールとは？機能や導入のメリット、戦略的なツールの選び方について

データ可視化の必要性と背景

インターネットの普及にともない、膨大なデータを簡単に保存できるようになったものの、ただデータを蓄積するだけでは、有益なデータの抽出・分析は実現しません。そこで有効な手立てとなるのが、保存されたデータを一目でわかりやすい状態に変換するデータ可視化です。

データ可視化は、電子化しただけでは解決できない課題を解消し、効率的な意思決定や情報共有、他社との差別化や競争強化に欠かせない役割を担っています。例えば、従業員の離職率や勤続年数を電子化して保存するだけではなく、グラフやチャートで可視化すれば、状況を把握しやすくなり、業務改善につなげられます。

データ可視化で得られるメリット

データ可視化で得られるメリットは大きく4つあります。それぞれ解説します。

情報共有を効率化できる

紙やメールなどのアナログ業務では、伝達するのに時間がかかったり、部署ごとの認識がずれたりすることが多くありました。

データ可視化を導入すれば、売上や業績の進捗・課題をグラフやチャートにした状態で、リアルタイムに共有可能です。これにより、業務に関わるすべての人が複雑で膨大なデータを直感的に把握できるようになり、コミュニケーションや業務の効率化が期待できます。

データ分析の属人化を防止できる

従来のデータ管理では、特定の人が数字や文章の集計をして全体を把握していたため、担当者が変わるとノウハウや知識、経験が失われる課題がありました。

データ可視化では、膨大な情報から有益なものを抽出し、誰でも理解しやすい状態に変換できるため、専門知識を持たなくても情報の管理や分析が可能です。これにより、データの管理・分析を特定の人に依存することなく、組織全体が各自の業務でデータを取り扱えるようになります。

意思決定のスピードが上がる

従来は、データの抽出から分析を手作業でおこなったあとに意思決定する機会が多く、最終的な決断に時間がかかっていました。

データ可視化をすると、売上推移や市場動向などの膨大なデータを集計・整理する作業が自動化されるため、最終的な意思決定までのプロセスが省略できます。BIツールを併用すれば、統計的な観点からの分析や意思決定も可能です。これにより、変化の激しい市場においても迅速かつ的確な判断が実現します。

データドリブン経営につながる

データドリブン経営とは、組織の意思決定やアクションにデータを活用することで客観的な根拠を重視する経営手法です。

従来は、経験や勘などから感覚的に意思決定をする機会が多く、傾向やリスクを見落としてしまい、最適な経営方針を固められませんでした。しかし、データ可視化を活用すれば、推移や動向などの数値的な根拠に基づいた意思決定ができるようになります。これにより、最新の傾向やリスクを見落とさない意思決定が可能です。また、情報を組織全体で共有することで、一貫性のある経営方針の構築が期待できます。

データ可視化の代表的な手法

データ可視化では、データの種類や目的によって異なる手法が用いられます。ここではその代表的な3つの手法をご紹介します。

グラフ・チャート

定量データを直感的にまとめるにはグラフ・チャートがおすすめです。四半期ごとの売上を棒グラフで比較したり、顧客数の推移を折れ線グラフで示したりすることで、羅列された数字よりもデータの意図を汲み取りやすくなります。

グラフやチャートには、棒グラフや折れ線グラフ以外にも、レーダーチャート、円グラフ、散布図、バブルチャートなど、多彩な種類があります。目的に応じて効果的に情報を伝えられる形式を選びましょう。

ヒートマップ

データの強弱や傾向を一目でわかりやすくしたい場合はヒートマップがおすすめです。おもに消費者行動に関するデータを可視化するために用いられています。

ヒートマップでは、例えば「Webメディアのどのページが最もクリックされているのか」「どのスクロール位置で離脱されているのか」を色の違いで表現できます。これにより、消費者を惹きつけている部分と関心を阻害している部分が明確になり、改善案を出しやすくなります。

地図

位置情報やエリア別のデータを分析するには、地図がおすすめです。交通量や渋滞ポイントを地図上でまとめることで、数字や文章を羅列した表よりも直感的に道路交通状況を把握できるようになります。

地図と合わせてスマートフォンのGPSデータを分析すれば、災害時の避難誘導や配車サービスの最適化、エリアの特性を踏まえたエリアマーケティング戦略にも応用できます。

データ可視化のステップ

データ可視化を活用するステップは大きく3段階に分かれます。それぞれのステップをご紹介します。

①対象データを集計する

蓄積されたデータをグラフやチャート、マップなどで可視化する際は、集計から始めます。

社内データには、売上金額、顧客情報、在庫数、製品名、期間など、膨大な情報が蓄積されています。そのなかから、分析や意思決定に必要なものを抽出しなければなりません。

企業によっては、同じ製品に対して、営業部は「A001」、マーケティング部では「TEC-1」、管理部では「1001」のように、異なるコード（ID）で保存されている場合があります。社内で異なるコードが使用されているのであれば、まずはデータのコード体系を一致させましょう。

また、システム化される前のローカルデータを活用する場合は、無効値（空欄・異常値など）に対する補修も必要となります。

データ可視化を導入した直後は、集計作業に時間がかかるかもしれませんが、仕様が整ってくればスムーズに次のプロセスに進めるようになります。

②集計データを可視化する

データを集計したら、可視化（ビジュアライゼーション）をおこないます。

可視化の手法として代表的なものは、グラフ・チャート、ヒートマップ、地図などですが、インフォグラフィックやイラストでまとめることもあります。データの種類や目的によって、手法の使い分けが必要です。

• 円グラフ：全体における要素ごとの比率
• 棒グラフ：各要素のボリューム差
• 折れ線グラフ：各要素の変動
• レーダーチャート：対象物のバランス
• ヒートマップ：動向や密度
• ポイント分布：密度
• フローマップ：対象物の方向性や進路
• スパイダーマップ：始点と終点の関係

データの種類や目的に応じて最適な手法を用いれば、効果的な分析や意思決定につながります。

また、データベースから情報を抽出する際は、関連性の高いものに絞り込んでください。分析や意思決定とは関連性の低いデータまで抽出すると、ミスリードを招きます。

専門知識を持つ人材が不足しているのであれば、BIツールを活用して、目的に応じた最適な手法の選定や関連性の高いデータの抽出につなげましょう。

③結果をダッシュボード形式でまとめる

ダッシュボードとは、データの分析結果を一覧にしてまとめて表示する画面のことです。

可視化しただけのデータはそれぞれ別のファイルに保存されるため、活用する際には複数のページを開かなければなりません。ダッシュボード形式にし、1つの画面上に複数の可視化したデータを同時に表示させれば、より直感的にデータを取り扱えるようになります。

Excelのグラフ機能からダッシュボードを作成することも可能ですが、BIツールを活用すればダッシュボードを自動で実装できます。

企業がデータ可視化で抱える課題

企業によっては、データ可視化をうまく活用しきれずに悩むケースもあります。よくある4つの課題を解決策とともに紹介します。

社内にノウハウが不足している

データ可視化を経営方針や戦略の意思決定につなげるためには、グラフやチャート、マップを正しく作成するスキルが欠かせません。例えば、部門ごとに「成約顧客」「顧客」「リード顧客」などの似た用語を区別せずに可視化すると、間違った分析・意思決定につながってしまいます。

データ可視化を取り入れる際には、用語や集計ルールを統一し、社内全体で共通認識を持つ体制を作りましょう。

リソースが限られていて継続的な運用が難しい

データ可視化をするには、集計→可視化→ダッシュボード設計と、段階を踏んだうえで分析や意思決定に進む必要があります。従来のデータ分析と比べて効率化が見込めるとはいえ、慢性的な人材不足に悩む企業では、アクションを起こすまでのプロセスが負担になるケースも少なくありません。

リソース不足に対しては、BIやAIが搭載されたツールを併用して手作業を自動化することが有効です。

部門間で共通理解が得られない

マーケティング、営業、管理など、部門ごとに異なる用語を使っている場合、同じ情報を共有しても認識や理解に齟齬が生じる恐れがあります。社内全体の共通理解を目的としてデータ可視化を導入するのであれば、まずは部門間で異なる認識を一致させる作業が必要です。

最初は負担になるかもしれませんが、用語や解釈の方向性を一致させる枠組みを構築し、業務効率化を目指して部門間の隔たりを解消しましょう。

導入したツールを活かしきれない

データ可視化のツールを導入しても、従来のやり方から移行できなかったり、ダッシュボードが更新されずに放置されたりするケースは少なくありません。そうしたことを避けるためには、社内全体のITリテラシーを考慮したうえで、誰でも簡単に使いこなせる直感的なツールを採用したり、情報共有をマニュアル化したりすることが有効です。

社内に専門知識を持った人材が不足している場合は、導入後のサポートが充実している外部パートナーから支援を受けることで、安定した稼働が目指せます。

データ可視化の課題を専門支援で解決するには？

パーソルクロステクノロジーのPower BI×Fabricデータ分析基盤構築・可視化支援では、データ可視化を活用したい企業に寄り添った導入サポートを提供しています。

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データ可視化で業務効率と意思決定力を高めよう

データ可視化により、誰でもデータを的確に読み解けるようになるため、意思決定の迅速化や属人化の解消、データドリブン経営へのシフトが期待できます。

ただし、単にデータ可視化のツールを導入すれば従来のアナログ業務の課題を解決できるわけではありません。導入前の準備段階として、ツールの実現性や効果を検証し、社内での定着率を高める体制を整えましょう。

パーソナルクロステクノロジーのPower BI×Fabricデータ分析基盤構築・可視化支援では、お客さまの環境やご希望に合わせ、社内データの一元管理、分析・ダッシュボードの実装、運用・保守業務まで、幅広い支援サービスを提供しています。

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