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【レポート】新領域ブロックチェーン技術について学ぶエンジニア向けセミナー

2019.10.09

レポート

9月中旬、ブロックチェーンに関するセミナーを開催しました。「知る」「触れる」「考える」をテーマに全3回開催するセミナーの第1回目の様子をレポートいたします。


Facebookが主導となり来年スタート予定の仮想通過「Libra」を始め、製造・小売・流通業界などの大手企業がブロックチェーン技術の事業活用を進めており、今後、ブロックチェーンの知識を持つエンジニアニーズはますます高まっていくと考えられます。
そこでパーソルテクノロジースタッフでは、社員エンジニア、登録エンジニアを対象にブロックチェーンセミナーを開催。新領域について学びたいエンジニア37名が参加しました。

今回登壇いただいたのは「ミス・ビットコイン」として知られるリンカー株式会社の藤本 真衣さん。ブロックチェーンのエバンジェリストとして様々なセミナー・講演等で活動されています。

1.ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンとは、ビットコインの取引を記録する分散型台帳を実現するための技術で、トランザクションはブロックごとにまとめられて取引履歴が記録されます。
ブロックチェーンについて知るために、素通りできないのが「サイファーパンク」の思想です。現在は個人情報保護などに関しての意識が高まっていますが、90年代初頭、IT革命期には政府がすべての情報を管理しようとしていた時代があり、アメリカで「システムを構築する際、政府が解読・理解できる記述をすること」というルールが設けられていました。
人によって見解は異なるとは思いますが、「個人の自由が尊重されるべき」であるという考えにもとづき、暗号(サイファー)技術の民主化により社会を変革することを目的にジュリアン・アサンジらが活動を行ってきたものがサイファーパンク思考です。

ビットコインの生みの親として有名なSatoshi Nakamotoも2009年にビットコインのソフトウェアを発表する際には、最初にサイファーパンクの暗号メーリングリストで一斉公開しました。政府が管理しない暗号化された通貨、個人を特定出来ないという点で、サイファーパンクの思想とビットコインは深く結びついているとされています。

その後、少額決済、地域通貨・企業ポイント、権利関係(土地、債券など)、省庁間データ連携、サプライチェーン管理、シェアリングエコノミー、M2M自動取引(機械間)などにおいてブロックチェーンの社会実装が進み、直近では高級ブランド品の真贋や、食料品の安全証明、飛行機のパーツの品質管理などへの活用も話題となりました。

2.最近の動向 NFT(Non Fungible Token)

デジタルデータは、コピーが容易であるためそれが世界に1つのものであるという証明が難しいという面があります。
例えば「ネットゲーム上で50名限定にアイテムをプレゼント」というキャンペーンがあったとしても、それが本当に50名にしか発行されていないのか証明が難しい面がありましたが、Non Fungible Token(以下、NFT)を用いることで、自分が所有するゲームのアイテムが世界に1つのものである、ということも証明できるようになりました。
これによりプレーヤーは自分の保有するアイテムに愛着が湧きやすくなり、NFTの取引所ではある人気ゲームのアイテムに100万円以上の価値が付いたこともあります。

最近では人気アニメのデジタルセル画をNFT化して販売するプロジェクトも話題になりました。デジタルセル画が、世界に1枚のものだと証明できるようになったことで、デジタルセル画が高額な金額で売買されるようになった事例もあります。今まで価値が付かなかったデジタルデータに価値が付くようになったのです。

3.ブロックチェーンの知識を持つエンジニアニーズの高まり

ブロックチェーンには、大きく「プライベート」、「パブリック」、「コンソーシアム」の3種類がありますが、これから主流になっていこうとしているのがコンソーシアムチェーンです。
コンソーシアム(Consortium)というのは共同事業体のこと。もともとサイファーパンクの流れから始まったブロックチェーンなので、「管理者がいるブロックチェーンなんて…」と言われることも以前はありましたが、現在は大手企業がコンソーシアムを組んで進めていくケースが拡大しています。

代表的なもののひとつが、Facebookが主導し名だたる大手企業が参加するコンソーシアムで運営される「Libra(リブラ)」という仮想通過です。
”銀行口座を持っていないが、スマートフォンを所有している人”は世界中に17億人以上いると言われており、Libraが普及すれば市場を大きく広げることができます。また、韓国でも最も使われているメッセンジャーアプリを運営する企業や大手電機メーカーが「Klaytn(クレイトン)」と言われる仮想通過を開始するなど、今後、世界で大手企業がコンソーシアムを組む事例は増えていくはず。

今後、大手企業がブロックチェーンに参入していくケースは増加すると考えられ、ブロックチェーンの基礎や前提知識を理解しているエンジニアニーズはますます高まっていくと考えられます

4.どんなものがブロックチェーンに向いているか、ワールドカフェ形式で検討

セミナーでは座学の後、グループに分かれて「ブロックチェーンの活用が向いているものは、どんなものか?」というテーマでワールドカフェ形式でのディスカッションを行い、参加していたエンジニアがブロックチェーン技術の活用に関するアイデアを出し合い、技術についての理解を深めました。

本ブロックチェーンセミナーは、全3回開催。
次回はハンズオン形式、3回目はブロックチェーン技術を持つエンジニアとしてのキャリアパスを考えるテーマで開催します。

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