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~FinOps Foundationによるグローバルな最新動向とFinOpsの今後の展望とは~
(著者:パーソルクロステクノロジー DXソリューション本部 永井 玖人)
近年、AWSやMicrosoft Azureをはじめとする各種クラウドの普及、及び円安の影響で、日本国内の企業でもクラウドコストの肥大化が大きな課題となっています。その様な状況で、クラウドコストの最適化・ビジネス価値の最大化を行う「FinOps※1」という取り組みが注目されており、昨年末にはFinOpsの普及・発展の為の活動を行う「FinOps Foundation」の日本支部(Japan Chapter)が設立されるなど、徐々に日本にもFinOpsは浸透し始めています。
そんなFinOpsの年に一度行われる国際的なカンファレンス、米サンディエゴで2025年6月2~5日(米国時間)に開催された、「FinOps X 2025」に参加してきました。グローバル視点で見るFinOpsの最新動向や今後の展望をレポートします。
※1 FinOps:FinOps(クラウド FinOps)は、財務(Finance)とDevOpsを組み合わせた造語で、単なるコスト削減や最適化にとどまらず、コストを戦略的な投資として捉え、事業全体の運営と密に連携させることを目指す手法のこと
■イベント概要
会場はマリオット・マーキス・サンディエゴ・マリーナで、ホテル1~4階のフロアのEXPOホールやメインステージ、イベントスペースにて、さまざまなコンテンツが展開されました。
FinOps Foundationによる2日間に渡るKeynote(基調講演)をはじめ、FinOpsを実践している企業による100を超えるブレイクアウトセッションやチョークトークの開催、FinOps関連ツールを提供しているベンダー数十社による自社ソリューションの紹介ブースなど、到底すべてを網羅することはできない程のコンテンツ量でした。
イベントは上記の各種コンテンツからFinOpsに関するさまざまな情報収集する場としてはもちろん、FinOpsを実践する2,000人を超える参加者同士が、情報交換やネットワーキングを行う場としても大いに賑わっていました。
■Keynote
Keynoteは2日間に渡って行われ、初日は「Cloud+」と題して、クラウドのみに留まらずAIやSaaS、データセンターなど、テクノロジー支出の交差領域にどの様にFinOpsを適用していくのかという話から始まり、各種クラウドベンダー(AWS、Google Cloud、Microsoft、Oracle Cloud Infrastructure)によるパネルディスカッションで締められました。
2日目には急速に進化しているAIとそれに伴うFinOpsの課題についてフォーカスし、AIをFinOpsに活用していく「FinOpsのためのAI」と、AIのコストを最適化しベストな意思決定を行う「AIのためのFinOps」について取り上げられました。
Keynote2日目の最後にはFinOps FoundatioのJ.R.Storment Executive Directorから来年のFinOps Xについてアナウンスも
■FinOps実践企業による各種セッション
FinOpsを実践している世界的にも有名な企業、Samsung、Uber、Disney、Starbucksなどをはじめ、日本からもメルカリとWoven by TOYOTAが自社のFinOps経験を基にさまざまなナレッジや直面した困難に対する解決策などを各種セッションで共有しました。
また、チョークトーク形式のセッションも設けられ、スピーカーと参加者に双方方向で活発に議論を交わす場面も見られました。
Woven by TOYOTAのセッション
■ベンダーによる各種ブース
Microsoftをはじめとする各種クラウドベンダーはもちろん、IBMやDatadogなどの数十社がコスト分析などFinOpsを進める上で助けとなる自社ツールをブースで紹介していました。
現状FinOpsツールは各社それぞれに特色はあるものの、どこかにシェアが集まり一強という事はなく、これから各社がそれぞれ切磋琢磨していき、競争が強まっていくのではないか、という感想を持ちました。
Microsoftのブースにて撮影した筆者
■日本でのFinOpsについて
今回グローバルな場でのFinOpsイベントに参加しましたが、現時点で日本はFinOpsにおいて、残念ながら世界(特に欧米)に一定後れを取っているという状況です。しかしながら冒頭で記載した通り、日本におけるFinOpsは今、広がりを見せつつあります。日本でFinOpsがまだ浸透していない状況というのは、裏を返せば、日本にはまだFinOpsによって"ビジネス価値を最大化"できる余剰がある事だと考えることもできます。
FinOpsにおける課題や実現すべき目標は企業によってさまざまで、一概には言えません。また、日本企業と世界の企業では組織構造や企業文化・風土などに違いがあり、それがFinOpsの進め方にも影響を与えています。こうした背景を踏まえ、現在の日本におけるFinOpsは、単なる海外の成功事例の模倣ではなく、日本の環境や風土に合った新しい形を模索し、作り上げていく重要なフェーズにあると考えています。
この変革の時代において、パーソルクロステクノロジーが「日本におけるFinOps」形成の一助となれるよう、積極的に取り組みを続けてまいります。日本企業のFinOps推進をしっかりと支え、国内でのFinOpsの成熟と発展に貢献できるよう努めていきます。まさに今こそ、日本のFinOpsが飛躍的に成長する絶好のタイミングであると確信しています。
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