コラム

Power Platformとは?できることや活用事例、メリットを解説

DX推進・IT活用

目次

    • 「高度な知識がなくてもアプリやサイトを作りたい」
    • 「定型業務の一部を自動化したい」
    • 「自社に特化したAIアシスタントが欲しい」

    このような望みを一挙に解決できるかもしれないツールが、Power Platformです。この記事では、Power Platformとは何か、その概要やできること、活用事例やメリットなどを解説します。

    Power Platformとは?

    Power Platformとは、Microsoft社が提供する、ローコード開発を可能にするためのアプリケーション群を指します。2章でご紹介する5つのアプリで構成されており、統計分析、業務プロセス自動化、Webサイトの作成など、多様な作業を最小限のコーディングで実現できます。

    Power Platformの特徴は、ExcelやTeamsなど同じMicrosoft社の他製品との連携が容易であることや、ローコード開発の支援を使命に掲げている点にあります。既存のビジネス環境に組み込みやすく、IT人材の不足する企業でも利用しやすいことから、注目を集めています。

    Power Platformを構成する5つのアプリケーション

    Power Platformは、5つのアプリケーションを目的別に使い分けたり、必要に応じて組み合わせたりすることで真価を発揮します。各アプリケーションの特徴を見ていきましょう。

    Power BI

    Power BIはデータの分析や可視化のためのツールです。数百を超えるレポートテンプレートとAI支援機能を活用し、ダッシュボード形式(グラフやチャートなどにより情報を一覧確認できる形式)でデータを加工できます。分析したレポートは他のMicrosoft社の製品上で簡単に表示可能です。

    また、OneLakeと呼ばれる機能により、社内の複数のデータベースに点在するデータを集約する場所としても重宝します。

    Power Apps

    Power Appsは、実用的なビジネスアプリケーションをローコードで作成するためのツールです。高度なプログラミング知識がなくてもアプリケーションを作成できるよう工夫されており、自然言語やドラッグ&ドロップでの操作が可能な工程もあります。

    2025年現在では、同社のAIアシスタントCopilotに話しかける形でアプリの設計やコードの記述を任せられる機能も搭載されています。もちろん、コード記述は自らが行いアドバイスはAIから受けるなど、レベルに応じた支援にも対応しています。

    Power Automate

    Power Automateは業務プロセスの自動化に役立つツールです。ある特定のアクションに反応してTeamsにメッセージを自動投稿するなど、繰り返し業務の工数削減を目指せます。

    このツールでは業務プロセスをフローチャートに落とし込めることから、工程の無駄を発見するうえでも有効です。多くの企業がITツールの導入時に期待する業務効率の改善に直結するアプリといえます。

    Power Pages

    Power Pagesは、ビジネスレベルの外部向けWebサイトを作成できるツールです。他ツールと同様にローコードでの利用が可能で、テンプレートを選んだうえでドラッグ&ドロップでスタイルや画像を選択し、必要に応じてコードを微調整するなど、直感的にサイト構築を完了できます。

    他ツールとの連携により問い合わせフォームも設置できるほか、サイトのセキュリティに関する分析機能も搭載されています。デスクトップ向け、モバイル向けの両方に適切な表示を自動で実現できる点も魅力です。

    Copilot Studio

    Copilot Studioは、自社用のAIアシスタント(生成AIが搭載されたチャットボット)を構築できるツールです。本来は機械学習の知識や莫大なデータが必要なAIアシスタントの作成を、知見の有無や企業の規模を問わず実現できます。

    アシスタントの作成は、生成AIとの対話やグラフィカルインターフェイス上での選択を通じて行えます。

    Power Platformでできること

    ここでは、Power Platformの5種類のアプリケーションを通じて、自社がどのようなアクションを実行できるのかご紹介します。

    ローコードやノーコードによるアプリケーションの開発・導入

    Power Platformはローコードやノーコードでの開発に力を発揮します。Power Appsでアプリケーションを、Power PagesでWebサイトを、Copilot StudioでAIアシスタントを、といったように、作成可能な内容も多岐にわたります。

    作成したコンテンツ同士を容易に連携できるのもPower Platformならではです。Webサイトにお問い合わせ用のAIチャットボットを設置し、対話内容に応じてモバイルアプリへ誘導するなど、ツールやチャネルの垣根を越えた顧客体験を提供できます。

    業務プロセスの自動化・効率化

    Power Automateであれば、幾度となく反復する定型作業の自動化を実現できます。特に、Teamsの投稿のような情報共有に関する作業を自動化すれば、人的ミスの削減にもつながるでしょう。

    • リマインドメールの送信忘れ
    • スケジュール管理ツールへの予定入力の漏れ
    • 会議室の予約忘れやダブルブッキング など

    上記のようなちょっとした非効率をなくす手段として有効です。

    データの可視化と分析

    近年その重要性が叫ばれ続けているDXの実現には、データの有効活用が欠かせません。Power BIは、社内に散らばるデータを一元管理する第一歩として、その先にある分析やインサイトの可視化の手段として役立ちます。

    貴重な顧客情報も、紙の書類や誰かのデバイスに眠っているだけでは非効率です。データの集約場所を決め、そこから分析を始めることは、データドリブン経営への第一歩となります。

    内製化によるコスト削減

    アプリケーションやWebサイト、AIアシスタントなどの内製化は、自社の外注コストの削減に寄与します。また、SIベンダーに対する依存を減らすリスク管理としても有効です。

    ほかにも、前述の業務プロセスの自動化やデータの可視化は、自社の無駄を発見し削減していくことにつながります。Power Platformは、業務にまつわる人や時間、金銭など、あらゆる資源の非効率な消費をなくしていけるツールなのです。

    Power Platformの具体的な活用事例

    導入のイメージを深めるために、Power Platformの具体的な活用事例を確認していきましょう。

    【公社・官庁】プレゼンテーション評価・集計システム

    ある公社・官庁の事例では、プレゼンテーション評価の集計と発表者へのフィードバックを自動化しました。Power Appsで評価者アプリを作成。入力された評価はPower Automateで自動的に集計され、SharePoint Online(※Microsoft社のコンテンツ共同編集・共有用ツール)により評価者サイトに公開される仕組みです。

    公社・官庁でのOffice365を使用したプレゼンテーション評価・集計システムのフロー

    【公社・官庁】給与明細配布システム

    ある公社・官庁では、給与明細の配付の効率化を実現しています。担当者が給与明細のPDFを指定のフォルダに配置すると、SharePoint Online上の一時フォルダに格納。Power Automateによって個別のアクセス権付きのフォルダに移動させることで各職員への配付を自動化しています。

    公社・官庁でのOffice365を使用した給与明細配付システムのフロー

    【製造業】プロジェクト管理用ダッシュボード

    ある製造業者では、プロジェクトの進捗やキャッシュの状況をPower BIによってダッシュボード形式に加工しました。デバイスを問わずプロジェクトの現状を視認できる仕組みを、既存のシステムデータも活用した少ない工数で実現しています。

    製造業でのOffice365を使用したプロジェクト管理用ダッシュボードのフロー

    Power Platform導入のメリット

    ここであらためて、Power Platform導入のメリットを確認しておきましょう。

    既存のMicrosoft環境に統合しやすい

    通常、新規ITツールやアプリケーションの導入では、既存システムとの連携が障害となりがちです。その点、Power Platformであれば、手元にあるMicrosoft社のアプリケーションとスムーズに連携させながら導入を進められます。

    また、Power Platformの各ツールはUIが似ており、社内への円滑な浸透も期待できます。

    組織の意思決定スピードが上がる

    Power Platformは自社の意思決定スピードを向上させるツールとして機能します。事例のPower BIによるプロジェクト管理のダッシュボード化のように、さまざまなデータを可視化できるためです。

    顧客の動きや在庫状況、営業活動の履歴など、企業が取り扱うデータは多岐にわたります。このような情報を社員がひとめで確認できるようにまとめられるため、現場から経営層まで、すべての意思決定の速度を向上できます。

    Power Platform導入時の注意点

    Power Platformの導入に際して特に注意しておくべきことは、情報漏えいリスクへの対処です。利用時には大部分のデータをクラウド上で管理することになるので、適切なアクセス権限の設定やインシデント発生時の対処マニュアル作成など、セキュリティ対策はしっかりと検討しておきましょう。

    またPower Platformは、その使い勝手の高さから不必要にアプリやAIアシスタントを作成してしまう恐れがあります。ツールの乱立は混乱のもとです。自社の目的に必要なものを厳選し、着実に導入を進めていきましょう。

    Power Platformで業務のDX化を推進しよう

    Power PlatformとはMicrosoft社が提供するアプリケーション群のことであり、ローコードでツールが開発できます。同社の他製品との連携も容易で、現在の環境を壊さずに導入しやすいのが特徴です。

    パーソルクロステクノロジーでは、Power Platformの利活用に関する包括的な支援サービスと、DX人材へのトレーニングサービスを提供しています。「自社がどのようにPower Platformを活用できるか相談したい」という場合は支援サービスの活用を、「社員へのトレーニングを通じてスピーディーに導入を進めたい」という場合はトレーニングサービスの活用をぜひご検討ください。

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