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エンゲージメントを向上させるには?施策やメリットを解説
近年、企業の人事担当者を中心に、「エンゲージメント」が注目されるようになりました。エンゲージメントを向上させることは、既存従業員の長期的な活躍につながるだけでなく、採用にも良い影響を与えることがわかっています。
本記事では、エンゲージメントを向上させるための施策やメリットについて詳しく解説します。
人事領域におけるエンゲージメントとは?
engagement(エンゲージメント)は「契約」を意味する英単語ですが、人事領域では一般的に「会社や組織に対する従業員の愛着心」を表し、企業と人材の結びつきの強さを示す言葉としてよく使われる用語です。また、「エンゲージメントが高い状態」とは、従業員の組織に対する思い入れが強く、満足度が高いことを示します。
エンゲージメントを細かく分類すると、「社員エンゲージメント」と「ワーク・エンゲージメント」に分けられます。
経済産業省がまとめた「人材版伊藤レポート」と呼ばれる資料などでよく使われているのは社員エンゲージメントで、「企業が目指す姿や方向性を従業員が理解・共感し、その達成に向けて自発的に貢献しようという意識を持っていること」を表します。
一方、ワーク・エンゲージメントは、厚生労働省でよく使われる言葉です。仕事に対する「活力」「熱意」「没頭」の3つがそろっていて、仕事にやりがいを感じながらいきいきと、熱心に取り組んでいる状態を指します。
従業員満足度やロイヤルティとの違い
エンゲージメントとよく似た意味合いで使われる言葉に、「従業員満足度」と「ロイヤルティ」があります。
従業員満足度は、業務以外に福利厚生や勤務時間、残業の有無など、制度や環境を含めて従業員がどの程度満足しているかを表すための指標です。仕組みや制度の影響を強く受けるため、周辺環境の変化で一気にダウンする可能性があります。
一方、ロイヤルティは、組織と従業員との主従関係が強く表れた言葉で、従業員が企業や組織への忠誠心や帰属意識を持って働いているかどうかを測る指標です。こちらも、働きやすさや事業内容、企業理念の理解度などに影響されます。
■エンゲージメント・従業員満足度・ロイヤルティの違い
エンゲージメント向上のメリット
従業員のエンゲージメントを向上させると、企業にはさまざまなメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
生産性向上
厚生労働省が公表している「令和4年版 労働経済の分析」によると、従業員のエンゲージメントの高低と働きがいは相関関係にあることがわかっています。エンゲージメントが向上すれば、従業員は仕事に積極的に取り組むようになり、生産性が向上します。
従業員の自発性向上
エンゲージメントが高い状態の従業員は、自社のビジョンやミッションへの共感度も高い場合が多いです。そのため、エンゲージメントの向上は従業員の自発性や主体性の向上にもつながるのです。
離職率低減、採用力強化
エンゲージメントが高い従業員は、企業との結びつきを大切に感じているため、離職率が低くなります。また、企業の離職率は、新卒学生の就職活動や中途採用の転職活動にあたって行う企業研究でも重視される項目のひとつです。学生や求職者は離職率が低い企業に「良い企業の可能性が高い」「勤務環境が良い」といったイメージを持つため、エンゲージメントの向上は間接的に採用力強化にもつながるでしょう。
エンゲージメント向上のためのプロセス
ここからは、エンゲージメントを高めるための、具体的なプロセスについてご紹介します。エンゲージメントの定義や現状把握、職場環境の整備などについて見ていきましょう。
1. 自社の「エンゲージメントの定義」を明確にする
まずは、「エンゲージメントが高い従業員」のイメージを具体化し、言語化してみましょう。「従業員が企業や業務内容にポジティブな気持ちを持っている状態」といっても、企業によって重視する点は異なるからです。
<エンゲージメントが高い従業員の定義例>
・仕事に誇りを持って主体的に取り組み、他者の模範になれる
・企業に愛着があり、その一員として貢献したいと考えている
上記のように自社での定義を定めると、施策をぶれずに実行できます。
2. 現状を把握する
エンゲージメントを高めるには、組織の現状を踏まえて、自社で定めた定義とのギャップを埋める必要があります。そこで、既存の従業員のエンゲージメントの現状を「eNPS(Employee Net Promoter Score)」などを活用して可視化し、把握します。
eNPSは、従業員の自社に対するエンゲージメントを調べるエンゲージメントサーベイ(調査)によって算出される指標です。
eNPSを算出する際は、「現在の職場を、友人や知人におすすめしたいか」という質問に対して、「まったく思わない」の0点から「非常におすすめしたい」の10点までの幅の中で点数化してもらいます。その点数をもとに、0~6点は「批判者」、7~8点は「中立者」、9~10点は「推奨者」と分類します。推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた数値を、eNPSとするのが基本の方法です。
eNPSが高い企業ほどエンゲージメントも高い傾向があります。エンゲージメントサーベイの際に、仕事のやりがい、職場の人間関係、福利厚生を含めた待遇などについても聞くことで、eNPSに影響を与えている課題がわかり、具体的で効果的な施策を打つことができます。
3. 職場環境を整備する
eNPSなどを通して見つかった課題について、解決のための施策を立案・実行します。人事部門だけでなく、全社を挙げて横断的に取り組むことが大切です。
エンゲージメント向上のための施策例
エンゲージメントの向上のためは、課題に応じて実行すべき施策が異なります。企業理念の浸透や人事評価制度、企業風土などの面から有効な施策をご紹介します。
ミッション・ビジョンの発信
エンゲージメントを向上させるにあたって、自社のミッションやビジョン、理念、事業の方向性、今後の展望などについて、全社で統一された認識を持つことが重要です。共有された情報に共感できれば、会社に貢献しようという意識が高まるからです。
代表や役員がキックオフミーティングなどを活用してメッセージを発信するほか、社内報、ブランドブックなどを配布する方法もあります。
人事評価制度の整備
仕事に対する姿勢や成果を目に見える形で評価してもらうことは、従業員の働きがいの向上につながります。仕事との向き合い方や実績を適切に評価できる人事制度を整備し、昇給や昇格に的確に反映していきましょう。
具体的な制度には、高いパフォーマンスを発揮する人に共通した行動特性にもとづいて評価する「コンピテンシー評価」、上司だけでなく部下、同僚など多様な従業員から多角的な評価を受ける「360度評価」、ポジションに対して社内から立候補者を募る「社内公募制度」などがあります。
同時に、適切な評価を行える管理職の育成、従業員が望むキャリアの実現を支援するキャリア開発支援にも注力することが大切です。
賞賛し合う風土の醸成
年齢にかかわらず、人にほめられるのはうれしいものです。仲間をリスペクトし、仕事の成果を素直に賞賛し合う企業文化を醸成すると、一人ひとりの仕事の質が上がります。 全社表彰などの制度を充実させ、「評価されるべき人が評価される」「公正に評価してくれている」と従業員が実感できる環境を作りましょう。
社内コミュニケーションの活性化
従業員同士が批判を恐れずに意見し合い、提案できる雰囲気づくりも重要です。お互いの理解を深め、信頼関係を強化するため、コミュニケーションの機会を多くとりましょう。 部署を超えてつながることができるシャッフルランチや社内イベント、情報共有ツールの活用、1on1ミーティングなどの実施も有効です。
ワーク・ライフ・バランス整備
仕事にやりがいを感じていても、ストレスが強い職場や過度なハードワークでは働き続けることはできません。全従業員が心身共にすこやかに働けるよう、残業時間の管理や職場環境の見直しを行いましょう。
生産性向上や離職率低減、採用力強化のためにエンゲージメントを高めよう
エンゲージメント向上に向けた取り組みを実践し、成果を出すことにより、優秀な人材の離職を防いで新たな戦力を獲得することができます。企業の未来を作るために、エンゲージメント向上に取り組みましょう。
自社のエンゲージメントの定義に合った人材をより手軽に採用したいときは、経験やスキル、人間性など、企業のニーズに合った人材の派遣を可能にするパーソルクロステクノロジーの利用もご検討ください。