物流統括管理者(CLO)とは?選任が義務化される背景、役割、期待されることを解説
この記事では、「CLOに関する情報を収集したい」「対応方法を知りたい」という方に向け、物流統括管理者(CLO)の基本概要や選任の流れを解説します。

目次
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そもそも物流統括管理者(CLO)とは?
物流統括管理者(CLO:Chief Logistics Officer)とは、物流の適正化と生産性向上に向けた業務全般を統括・管理する責任者のことです。「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」の改正法に基づき、2026年4月から、特定荷主と特定連鎖化事業者に対して選任が義務化されます。
物流統括管理者(CLO)の要件
CLOは、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者から選任しなければならないことが、改正法第47条(特定荷主の義務)と第66条(特定連鎖化事業者の義務)に定められています。つまり、単なる実務責任者としてのポジションを確立するだけでは不十分で、経営判断に関与できる役員などの経営幹部から選任しなければなりません。
なお、対象となる企業が適切にCLOを選任しないと、100万円以下の罰金、選任の届出を怠ると20万円以下の過料が科される場合があります。(2026年2月時点)
出典:物流統括管理者(CLO)の選任|「物流効率化法」理解促進ポータルサイト
物流部長との違い
物流部長は、コスト削減や在庫管理の効率化、業務改善など、主に短期的なPL(損益計算書)の改善を目的とした部門内の最適化を行います。日常業務におけるKPIを管理しながら業務改善を進めることが業務の中心です。
一方、CLOは、調達から生産、販売を含む各部門を横断しながら、社内外の物流体制そのものを再設計する立場です。中長期的な視点で持続可能な成長につながる計画を策定し、実行に移す経営判断が期待されます。
業務の重要事項に変化を起こす権限を持つため、他部門を巻き込みながら物流改革を率いることが可能な経営幹部が選任されるべきとされています。
海外と日本の設置状況
日本経済新聞の報道(2025年11月時点)によると、CLOを設けた企業は、東証プライム市場上場企業の1割未満にとどまるとされています。国内企業では物流を部門単位で管理する体制が定着しているため、経営ポジションとしてCLOを設置する企業は限られているのが現状です。
一方、海外では、SCM(サプライチェーンマネジメント)やロジスティクスを重視する観点から、CLOまたはCSCO(Chief Supply Chain Officer)を経営戦略の中核に置く体制が浸透しています。
物流統括管理者(CLO)の選任が義務化される背景
物流需要が増加し続ける一方、法改正による輸送能力の低下やサプライチェーンの脆弱性が深刻化する現状を踏まえ、政府主導で制度改革が進められています。ここでは、物流統括管理者(CLO)の選任が義務化されることになった背景を解説します。
物流の2024年問題
物流の2024年問題とは、トラックドライバーの時間外労働の上限規制と改正改善基準告示の施行により、輸送能力の低下が懸念された問題を指します。
2024年4月、トラックドライバーの時間外労働に年間あたり960時間の上限規制が適用されました。道路貨物運送業は脳や心臓の疾患による労災支給件数が最も多いことなどが問題視され、この改正は長時間労働を抑制する目的があります。
ドライバーの健康を守るための法整備は不可欠です。しかし、労働時間が制限されると輸送可能な物流量も減少します。野村総合研究所の試算によれば、2030年には、2025年と比較して約34%の輸送能力が不足する恐れがあると指摘されています。
出典:国土交通省「『2024年問題』について」
株式会社野村総合研究所「第351回NRIメディアフォーラム」(令和5年1月19日)「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方 ~地域別ドライバー不足数の将来推計と共同輸配送の効用~」
流通業務総合効率化法の改正
物流の2024年問題を踏まえ、物流の持続的成長と効率化を図る目的で、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」が改正されました。改正後は「物資の流通の効率化に関する法律」に改称され、2026年4月から、特定荷主と特定連鎖化事業者にはCLOの選任が義務付けられます。
これは、荷主側の責任を明確にし、サプライチェーン全体で物流効率を促進するための体系的な枠組みを整備する目的があります。
2030年度に向けた政府の中長期計画
国土交通省が2024年2月16日に策定した「2030年度に向けた政府の中長期計画」では、物流の持続的成長を実現するための具体的な目標が提示されています。主な施策には、荷待ち・荷役時間の削減や、積載率向上による輸送能力の増加があります。
これらを達成するためには部門内の現場を改善するだけでは不十分であり、他部門を含む企業全体を横断した物流戦略の策定と実行が必要です。その中核を担うポジションとしてCLOの設置が求められています。
出典:国土交通省「2030年度に向けた政府の中長期計画(ポイント)」
物流統括管理者(CLO)の主な役割
物流統括管理者(CLO)は、物流全体の持続可能な提供体制を確保するため、部門に限らず総合的な管理を担う立場です。ここでは、改正法で定められたCLOの主な役割を解説します。
中長期計画の作成・提出
CLOは、物流効率化に向けた中長期計画を作成し、所管大臣に提出しなければなりません。原則として毎年度提出が求められますが、計画内容に変更がない場合は5年に1回の提出とされています。
計画には、トラックの積載効率の向上やドライバーの荷待ち時間の短縮など、物流の生産性向上と負荷軽減を実現するための具体的な内容・目標・実施時期の記載が必要です。CLOが中心となり、企業単位で課題解決に主体性を持たせることで、物流業界全体が抱える構造的課題の根本的な解決につながります。
事業運営方針の作成、事業管理体制の整備
CLOは、トラックドライバーの負荷軽減や物資輸送におけるトラックへの過度な依存を是正する目的で、事業運営方針の作成と事業管理体制の整備を担います。
効率的な輸送体制を構築するためには、物流部門の課題を解消するだけでなく、開発・調達・生産・販売・在庫など、社内の関係部門を含む全体の体制を見直す必要があります。
定期報告の作成・提出
CLOは、2027年度以降、毎年7月末までに、物流効率化に関する定期報告を所管大臣に提出する必要があります。
定期報告には、策定した中長期計画の進捗状況や物流効率化を達成するために実践した具体的な取り組みについて明記しなければなりません。単に中長期計画を立てるだけでなく、実行に移し、課題解決へとつなげる責任を担っています。
出典:物流統括管理者(CLO)の選任|「物流効率化法」理解促進ポータルサイト
物流統括管理者(CLO)に期待されること
従来の物流部長が部門内の短期的なPL改善を担う立場であったのに対し、物流統括管理者(CLO)は、他部門を横断し中長期的な経営判断を主導する役割を担います。ここでは、CLOに期待されることを解説します。
戦略的なSCM(サプライチェーンマネジメント)
SCM(サプライチェーンマネジメント)とは、原材料の調達から製品開発、販売までの流れ全体(サプライチェーン)を、もの(製品・部品)・資金・情報の観点から総合的に見直し、効率化と最適化を実現するための経営管理手法です。CLOには、物流コストを踏まえ、サプライチェーン全体が最適化された経営戦略の立案が期待されます。それにより物流効率が高まり、差別化が図れれば、企業競争力の向上につながります。
物流DXの推進
物流需要が増幅する現代のビジネス市場では、物流能力の有無が企業競争力を左右するため、物流DXの推進が不可欠です。デジタル技術を活用して業務を標準化し、データを可視化できれば、物流も統合したSCM(サプライチェーンマネジメント)の確立が実現します。
ただし、デジタル技術やテクノロジーを導入すればすべてを解決できるわけではありません。自社が抱える課題や目標に応じたDX計画を立てることが重要です。
他社との連携
流通全体の効率化を図る際には、関係部署間の調整だけでなく、競合他社や異業種企業など、社外事業者との連携も推奨されています。CLOには、協議会などを通じて積極的にステークホルダー間の関係性を強化し、自社単体ではなし得ない相乗効果を生むような連携を生み出すことが期待されます。
出典:経済産業省「物流統括管理者(CLO)に期待される役割」
物流統括管理者(CLO)を選任する流れ

物流統括管理者(CLO)を選任しなかったり、届出を忘れたりすると、法的に罰せられることになるため、対象企業は必ず適切にポジションを設ける必要があります。ここでは、CLOを選任する流れを解説します。
①自社が特定荷主・特定連鎖化事業者か確認する
まず確認すべきことは、自社が法令上の特定荷主(第一・第二)または特定連鎖化事業者に該当するかどうかです。
年間の取扱重量が9万トン以上の発荷主(第一)・荷受主(第二)は特定荷主、フランチャイズチェーン加盟店(連鎖対象者)や、運転手に受け渡し条件を指示できない契約を連鎖対象者と交わしている事業者は、特定連鎖化事業者に該当します。
その上で、取扱貨物の重量が一定基準を満たす場合はCLOの選任義務が発生します。
②物流統括責任者(CLO)を選任する
該当事業者である場合、特定荷主・特定連鎖化事業者として事業運営上の重要な意思決定に参画できる管理的地位の者、すなわち役員などの経営幹部からCLOを選任しなければなりません。選任を怠ったり、要件を満たしていない人材が選任されたりした場合、選任義務違反とみなされ、100万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。(2026年2月時点)
③選任の届出をする
CLOを選任または変更した際には、所管大臣に遅滞なく届出をする必要があります。選任しても、届出を怠ると20万円以下の過料対象になるため、確実に手続きを踏むようにしてください。
④物流統括管理者(CLO)の対応範囲を定義する
CLOの実効性を高めるためにも、管轄範囲を明確に定めることが重要です。例えば、一事業会社に限定、国内グループ会社全域、グローバル業務全般など、企業グループにおける位置付けを整理し、権限と責任の範囲を定義づけます。
⑤物流統括管理者(CLO)の直轄チームを設置する
CLOが担う業務は、戦略の立案から実行管理まで、広範囲に及びます。これらの意思決定や実行業務を単独で担うことは現実的ではないため、社内に直轄チーム(物流管理組織)を設置し、実務を推進する体制を整備するのが理想です。社内リソースが不足している場合は、専門的な知見や経験のある外部パートナーからのサポートを受ける選択肢も有効です。
物流統括管理者(CLO)の選任前に物流DXの構想を策定するには?
物流統括管理者(CLO)のポジションに課せられる責任は非常に重く、適任者がすぐに見つかるとは限りません。
荷待ち・荷役時間の削減、積載効率向上による輸送能力の増加など、具体的な目標を確実に達成するためには、物流DXの構想策定段階から専門の知見を持つ外部パートナーの支援を受ける方法もあります。
パーソルクロステクノロジーが提供する物流DX構想策定支援サービスでは、4つの工程を通じて戦略的な物流改革を主導できる体制構築を支援します。
- 現状分析・課題抽出
- DX戦略の策定
- 行計画の立案と実施
- 継続的な改善とサポート
この工程により、定期的に進捗状況を評価し、単なる物流DXにとどまらない、必要に応じた改善が可能です。これらの支援は、CLOが担う中長期計画の策定や定期報告、物流体制の整備にもご活用いただけます。
サービス:物流DX構想策定支援サービス
物流統括管理者(CLO)を選任して物流戦略を加速化させよう
2026年4月以降、特定事業者のうち特定荷主と特定連鎖化事業者に該当する場合、物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けられます。2024年問題をはじめとする輸送能力の低下や慢性的な人材不足などの構造的課題を受けた法改正であり、企業には戦略的な物流改革が求められます。
パーソルクロステクノロジーが提供する物流DX構想策定支援サービスでは、CLOに求められる戦略的なSCMやDXの導入・定着などを幅広く支援しています。「物流プロセスの最適化にデジタルを活用したい」「サプライチェーンの可視化と効率化を両立させたい」「物流の投資効果を高めたい」といった課題をお持ちの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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