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IT人材育成のメリットと課題とは?人材確保に大切なことを解説
人材・組織

目次

    デジタル社会の発展が急速に進む昨今、ビジネスにおけるIT化と、それを担うIT人材の確保は企業の喫緊の課題です。しかし、日本では高いITスキルを持つ人材が不足している現状があり、企業にとっては優秀なIT人材を採用するハードルが上がっています。そのため、自社内におけるIT人材育成の必要性が、これまで以上に重視されるようになりました。

    本記事では、IT人材を育成するメリットと企業が抱える育成課題のほか、IT人材を確保するためにとるべき対策などについて解説します。

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    IT人材とはITの知識とスキルを業務に活かせる人材のこと

    IT人材とは、IT分野の豊富な知識とスキルを持ち、それを業務に活かすことができる人材です。

    2019年に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」では、主に情報サービス業やITサービス・ソフトウェアの提供事業、ITを活用する一般企業の情報システム部門などに従事する人を、IT人材と定義しています。

    IT人材の種類

    IT人材は、「従来型IT人材」「高度IT人材」「先端IT人材」という、大きく3つのタイプに分けられます。

    ・従来型IT人材

    従来型IT人材は、従来のシステムに対して、請負開発や運用・保守などに従事する人材です。

    ・高度IT人材

    高度IT人材は、ほかの産業と結びつくことによってシステムに新しい付加価値を与え、サービスに革新をもたらす人材を指します。

    ・先端IT人材

    先端IT人材は、AI(人工知能)、IoT、ビッグデータなどを用いて技術革新を行う、第4次産業革命に対応できる新しいビジネスの担い手として、付加価値の創出や生産性向上に寄与できる人材です。

    IT人材とデジタル人材の違い

    IT人材と似た使われ方をする言葉に、「デジタル人材」があります。「IT人材需給に関する調査」では、デジタル人材を「企業のデジタル化を推進するための組織(デジタルビジネス事業部など)に所属する人材」としています。

    つまりIT人材が、「IT関連企業や一般企業の情報システム部門に所属する人材」であるのに対して、デジタル人材とは「業種や部署を問わず、企業のデジタル化を推進する人材」と捉えることができます。

    IT人材に求められる知識とスキル

    これからのIT人材を採用するにあたり、どのような知識やスキルがある人材を求めればいいのでしょうか。主な例について見ていきましょう。

    クラウドに関する知識

    クラウドサービスを利用する企業は近年増加傾向にあり、今後も市場の拡大が予想されます。多くの企業がIT化を進める中で、クラウドサービスはビジネスに必要不可欠です。

    情報セキュリティ能力

    インターネット上でさまざまなやりとりが増えるのに伴い、情報セキュリティの重要性も高まっています。自社の情報漏洩や不正アクセスなどを防ぐために、セキュリティに精通したIT人材の役割は大きいものです。

    AI技術

    近年では、農業や水産業、サービス業、物流、医療など、AI技術の導入はさまざまな業界で進められています。AIの開発そのものをAIに担わせることは難しいため、専門スキルを持つIT人材の需要は今後も高いといえるでしょう。

    IoTの知識

    IoT(Internet of Things)とは、あらゆるモノがインターネットにつながる仕組みのことです。近年では家電や車、住宅など、身の回りのさまざまなモノにIoTの利用が進められています。

    IoTの導入を自社で進める企業にとっては、プログラミングスキルのほか、電子回路やネットワークに関する専門知識などを持つIT人材が必要です。

    IT人材が取得したい認定資格

    IT人材のスキルは、一見しただけでは正確にわかりにくいものです。そんなスキルを、「見える化」するために有効なもののひとつが資格です。国が推進するIT人材のスキルが証明できる資格や制度には、次のようなものがあります。

    ・情報処理技術者試験

    情報処理技術者試験は、ITに関する知識・技能が一定以上の水準であることを認定する国家試験です。IT知識・技能の向上と、IT人材の育成・確保を目的として実施されています。

    ・情報処理安全確保支援士

    情報処理安全確保支援士は、サイバーセキュリティに関する実践的な知識・技能を持つ専門人材の育成と確保を目的とした国家資格です。

    IT人材が不足する理由と育成が急がれる背景

    IT人材の育成が急務である理由には、どのようなものがあるのでしょうか。主な理由について見ていきましょう。

    デジタル競争力の低下

    スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「デジタル競争力ランキング2022」において、日本は63ヵ国中29位と、2017年の調査以来過去最低の順位となりました。中でも、「デジタル・技術スキル」「国際経験」「ビッグデータとアナリティクスの活用」などの項目は、非常に低い評価となっています。

    また、総務省の「令和4年版 情報通信白書」によると、企業約3,000社への調査で、デジタル化を進める上での課題・障壁として、「人材不足」と回答した企業は67.6%に上っています。つまり、IT人材が不足していることが、日本のデジタル競争力を引き下げている大きな要因だということは明らかです。

    出典:総務省(2022)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

    IT企業以外にも広がるIT人材不足

    IT人材の育成が急がれる理由のひとつが、ビジネスシーンにおける急速なDX推進です。変化の激しい時代の中で、企業が業務効率化や生産性向上を目指すには、DXの推進が欠かせません。

    近年ではあらゆる業界でDXが進み、IT企業以外でもIT人材不足が叫ばれるようになっています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2021」によれば、国内企業の実に9割近くが、IT人材に対して質・量ともに不足感を抱いています。

    一方で、IT人材の採用にあたっては、さまざまな課題が存在します。IT人材は需要に対して求職者が少ない上、フリーランス志向やリファラル採用なども増えており、優秀な人材が転職市場に現れにくい状況にあります。そのような背景から、各企業はIT人材の離職を防ぐため、待遇や労働環境の改善などさまざまな対策を講じており、IT人材を外部から採用しようと考えても、なかなか優秀な人材に巡り会うのは難しいのが実情です。

    日本型雇用システムの問題

    多くの企業がIT人材不足を実感していながらも、前出の「DX白書2021」によれば、社員の学び直しを全社的に実施している企業はわずか7.9%にとどまります。

    また、社員の学び直しを「実施していないし検討もしていない」という企業が、46.9%も存在しているのです。人材投資の重要性が認知されておらず、デジタル人材を育成する体制が未整備である点は、日本型雇用システムの大きな問題といえるでしょう。

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    企業がIT人材を育成する場合のメリット・デメリット

    自社でIT人材を育成する場合、企業にはどのような影響があるのでしょうか。考えられるメリットと課題の両面から見ていきましょう。

    IT人材を自社で育成するメリット

    IT人材を育成するメリットとしては、まず、社員の質の向上が挙げられます。人材育成によって社員のITスキルを高めることで、将来的な人材戦略を立てやすくなり、専門性を活かした適切な業務分担が可能になるため、効率性や生産性アップも期待できます。

    さらに、人材育成によって社員が自身の成長を実感できるようになることで、モチベーションやエンゲージメントの向上にもつながるはずです。その結果、社員の定着率が上がり、会社の成長を後押しする相乗効果も期待できるでしょう。

    IT人材を自社で育成するデメリット

    即戦力となるIT人材を採用するのに比べて、自社での育成は時間と教育コストがかかります。「そもそも指導や育成を行うスキルを持つ人材が社内にいない」「IT人材のノウハウがない」という問題も考えられます。まず、指導者となる人材を育成するところから始めなければならないという企業も少なくないようです。

    IT人材を育成するための企業の課題と対策

    多くの企業が抱えるIT人材の育成に関する課題。ここからは、その対策方法について解説していきます。 

    人材が定着しない

    IT人材は、ほかの職種に比べて流動性が高いといわれています。より良い環境を求めて転職をしたり、独立してフリーランスとして活動したりする人も少なくありません。せっかく育成したIT人材を手放さないように、待遇や業務内容、労働環境の改善が必要です。

    育成にかけられる時間が少ない

    IT人材育成の課題として多く聞かれるのが、「社員が多忙で教育を受ける時間が確保できない」という声です。しかし、日々の業務に追われて教育を後回しにしていると、いつまで経ってもこれからのIT人材を育てることはできません。ITスキルの必要性の周知と同時に、社内研修やeラーニングなどを取り入れ、体制の見直しを行うことも必要です。

    優秀な人材が育たない

    「優秀なIT人材が育たない」という場合は、育成手法が合っていない可能性もあります。まずは、IT人材育成の目的と目指すべき人材像を明確にした上で、指導者と育成対象者の双方がそれを共有することが大切です。

    また、指導する側の社員も、研修などで育成ノウハウを学ぶ必要があります。指導にふさわしいスキルを持つ人材が社員に不足している場合は、外部のセミナーなどを活用するのもひとつの方法です。

    人材のモチベーションが低い

    モチベーションの維持や向上には、業務に必要な能力を一覧にしたスキルマップの導入が有用です。スキルマップで社員一人ひとりの能力・技能を「見える化」することで、目指すべきゴールがわかりやすくなり、モチベーションアップに役立ちます。

    なお、IT人材に必要な実務能力を体系化した指標である「ITスキル標準(ITSS)」を活用するのもいいでしょう。

    出典:独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準(ITSS)と関連資料のダウンロード」

    人材育成のコスト問題

    人材育成にかかるコストの負担を軽減するには、助成金の活用なども検討してみましょう。例えば、厚生労働省では、職務に関連した専門的な知識・技能を習得するための職業訓練の費用などの一部を助成する「人材開発支援助成金」があります。このような制度をうまく利用することで、IT人材の育成にかかるコストを抑えることができます。

    出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」

    社内の人材育成と併せて社外のIT人材活用の検討を

    企業のIT化やDX推進を考える上で、IT人材の育成は必要不可欠といえます。しかし、社内でIT人材を育成するには、どうしても時間やコストがかかります。企業によっては、IT人材育成のノウハウがなく、まずは社内の育成体制を整備しなければならないケースもあるでしょう。

    そのような場合は、人材派遣など外部のIT人材を活用し、社内の人材育成を進める方法もあります。

    パーソルクロステクノロジーでは、企業と人材のマッチング精度にこだわり、課題解決に最適なご提案をいたします。IT人材育成に関する困り事の解消に、パーソルクロステクノロジーの人材派遣サービスの利用をご検討ください。

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