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リスキリングとは?必要性と導入プロセス、注意点について解説

2023.07.06

事業拡大・事業開発

目次

    リスキリングとは?必要性と導入プロセス、注意点について解説

    急速な社会のデジタル化や、コロナ禍によって大きく変わったビジネス環境に対応するため、世界的にリスキリングの重要性が叫ばれています。これまで、海外に比べて遅れをとっていた日本でも、政府主導でさまざまな取り組みが行われるようになりました。
    本記事では、企業がリスキリングを導入すべき理由とそのプロセスのほか、注意点や実際の導入事例などについて解説します。

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    リスキリングとは必要なスキルや知見を習得すること

    リスキリング(Re-skilling)とは、成長分野の職業でキャリアを積むため、あるいは業務上必要とされる新しい知識を身につけるために、スキルや知見を習得することです。まずは、リスキリングの概要について見ていきましょう。

    日本におけるリスキリングの定義

    経済産業省はリスキリングを「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業のスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義しています。
    リスキリングの対象は主に、企業で働く従業員や、成長分野への就業や転職を考えている人です。日本では、人が持つ経験や知識、スキル、能力を資本として、教育や育成といった投資を行い、企業の価値を高めるという「人的資本経営」を重視しようという傾向があり、その実現のための手段として、リスキリングに取り組む企業が増えています。

    リスキリングと似ている言葉

    リスキリングと混同されやすい言葉に、「スキルアップ」や「リカレント教育」があります。いずれも「必要なスキルを磨く」という意味では同じですが、どのような違いがあるのでしょうか。

    ・スキルアップとの違い

    リスキリングは、目まぐるしく変化する環境や進化する技術の流れに対応するために備える、未来を見据える学びであることに対し、スキルアップは自身の持つスキルの向上を図るというものです。

    ・リカレント教育との違い

    リカレント教育とは、社会人になっても必要なタイミングで再び学び続け、教育と就労を繰り返し循環すること。就業している環境から離れ、個人が望んでスキルの習得を実行する行為を指します。
    本人の持つスキルにプラスになるための学びと就業を繰り返すリカレント教育に対し、リスキリングは、仕事や業務に必要なスキルを習得するために学び直すという目的の違いがあるといえるでしょう。

    リスキリングが注目される背景

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    ここからは、リスキリングが注目されるようになった背景について見ていきましょう。その理由は大きく下記の3つがあります。

    国際的な潮流

    スイスに本部を置く国際機関である世界経済フォーラムは、第4次産業革命で多くの仕事が失われる一方、それを超える新しい仕事が生まれると報告しています。これは、組織的にリスキリングに取り組むことで、失職するおそれのある人々も、新しいキャリアに就けるという試算から、2018年より「リスキル革命」と題したセッションでその必要性を訴えているのです。
    さらに、2020年の年次総会(通称、ダボス会議)では、2030年までに10億人のリスキリングを実施することを宣言。このような流れを受け、日本でも国を挙げてリスキリングの政策検討が進むようになりました。

    企業のDXが急がれている

    近年はデジタル技術を活用して、プロダクトやサービス、ひいてはビジネスモデルの変革を実現し、競争優位性を確立するDXを推進する企業が増えています。
    DXには、デジタル技術を活かしてDXを推進する能力やスキルを持つDX人材と呼ばれる専門性の高い人材の存在が必要不可欠です。そのため、企業が主導となって、従業員に対しデジタル分野のリスキリングによって新たなDX人材の創出に取り組む動きが活発化しています。

    事業戦略における人材不足問題

    日本では、人材不足が深刻化しています。事業戦略の実現に向けた人材確保に苦慮する企業も多数あり、新規採用に加えて既存社員の人材育成も急務というケースも少なくありません。
    人材の育成や再教育の一環として、業務に必要なスキルの習得を促すリスキリングは、企業にとっては安定的な事業継続に向けた施策のひとつとして注目されているのです。

    リスキリングを企業が推進するメリット

    リスキリングを企業が推進することで、どのような効果が期待できるのでしょうか。考えられるメリットには、下記のようなものがあります。

    業務効率化の実現

    企業の成長に必要なスキルを習得した従業員が、新たな能力を業務上で活用することができれば、既存のワークフローにおけるボトルネックの解消へとつながる可能性もあります。例えば、これまで人の手で行われていた業務をデジタル化することで、かかる工数や手間の削減となり、労働環境の改善や業務効率化の実現が期待できます。

    エンゲージメントの向上

    従業員がリスキリングで習得したスキルを実際の業務に活かせることで、自信に変わり、仕事へのモチベーションや、学びに対する意欲が上がるといった相乗効果も見込めます。
    リスキリングを企業が推奨し、スキル形成をサポートすることで、従業員はその成長機会に感謝する気持ちや貢献意欲が生まれるなど、エンゲージメントの向上につながる可能性も高いでしょう。

    DX推進とイノベーションの創出

    業務の自動化やデータの一元化、ビッグデータの管理・分析といったDXを課題とする企業は多くあります。リスキリングによってデジタルを活用できる人材を育成することができれば、DX推進を加速させることも可能です。
    また、従業員がデジタル分野の新しい知識やスキルを習得することで視野が広がり、新たなビジネスの創出につながることも考えられます。

    採用課題の解消と人材育成

    企業が従業員のキャリアプランを踏まえたリスキリングを実施することで、人材の育成も可能になります。
    学びを深めた従業員のキャリアの選択肢は広がり、企業内における人材の流動性が実現。さまざまなポジションでの活躍が可能になることで組織全体の底上げにもつながるはずです。

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    企業がリスキリングを導入する際のプロセス

    企業がリスキリングを導入する際には、どのような進め方があるでしょうか。そのプロセスについて詳しく見ていきましょう。

    1. 目指す人物像やスキルの要件定義

    自社の事業の状況や展望をもとに、リスキリングによって何を身につけて、どの分野に活かしてもらいたいかを検討します。ここでは、目指す人物像と必要なスキルを具体的に洗い出すことが大切です。

    2. 対象となる部署や社員の選定

    身につけてほしいスキルや習得してほしい技術に対して、リスキリングを実施する対象部署や従業員を選定します。

    3. 教育プログラムの決定

    リスキリングの内容に応じて、教育プログラムを定めます。社内での教育が難しければ、外部機関や外部人材の活用を検討するのがおすすめです。
    なお、日本政府は2022年10月の臨時国会で、今後5年間で1兆円をリスキリングの支援に投じることを発表。人材開発支援助成金制度として「事業展開等リスキリング支援コース」や「人への投資促進コース」などを創設しています。

    出典:厚生労働省「人材開発支援助成金

    4. 実践

    策定した教育プログラムを実施します。このとき、周りを巻き込んで学ぶ「ソーシャル・ラーニング」と、学びと業務を結びつけて現場で実践する「ラーニング・ブリッジング」を意識することで、机上の空論に終わらない成果を出すことができます。

    5. 効果検証

    リスキリングの効果について、定期的に検証して教育コンテンツをブラッシュアップします。

    日本におけるリスキリング導入の現状と国内外の導入事例

    日本におけるリスキリングは、どのように浸透しているのでしょうか。2022年7月に株式会社パーソル総合研究所が20~59歳の正社員3,000名を対象に「リスキリングとアンラーニングについての定量調査」を行ったところ、一般的なリスキリング経験のある人は3割前後、デジタル・リスキリング経験のある人は2割程度にとどまりました。
    そして、日頃から知らない領域の知識を新たに学び続けたり、専門性を広げ続けたりしているといった、リスキリング習慣がある人は3割弱という結果に。なお、リスキリングが盛んな業種は、「情報通信業」「教育、学習支援業」「金融業、保険業」となっています。

    出典:株式会社パーソル総合研究所「リスキリングとアンラーニングについての定量調査」(2022年7月)

    では、実際に国内外の企業において、リスキリングの導入事例にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

    Amazon.com:従業員30万人に対するデジタルスキルの底上げ

    2019年にデジタルスキルの底上げを目指し、リスキリングへの巨額投資を発表したのが、ECサイトを運営するAmazon.com, Inc.です。
    2025年までに対象となる従業員30万人に対し、最先端の機械学習スキル習得が可能な企業内大学「機械学習大学」の履修や、他職種から技術職への異動などの取り組みを行い、12億ドル以上を費やすことを明らかにしています。

    ウォルマート:社内研修プログラムを発足

    世界最大規模のスーパーマーケットチェーンのウォルマートでは、優秀な社員の確保と維持のために社内研修プログラム「ウォルマートアカデミー(Walmart Academy)」を発足。同社の業務に特化した小売トレーニングのほか、キャリアを構築するためのリーダーシップコースなどが準備されています。
    また、社員教育の一環として店舗に設置したVRを用いて、自然災害や大規模セールなどに対応するスキルを磨くなどの取り組みも実施。店舗のVRは、新たな設備の使用法習得などにも活用しています。

    サッポロホールディングス:全社員にeラーニング講座の受講でリテラシー向上を目指す

    2022年にDX推進戦略を発表し、DX人材の育成に取り組むのが、ビールメーカーのサッポロホールディングス株式会社です。
    DXやITの基礎を学ぶeラーニング講座によってリテラシー向上を目指し、幅広い部署・職種を対象とした大規模なリスキリングを実行しています。

    ワークマン:Excel研修で社員自身が分析ツールの活用を可能に

    作業服や関連商品を扱う日本国内流通大手の株式会社ワークマンでは、表計算ソフトを活用した「Excel経営」が話題となりました。
    社員一人ひとりが自分でデータを仮説検証する企業風土を目指し、全社員の35%が業務に沿った分析ツールを活用するために、2012年からExcel研修を行い業務に役立てています。

    リスキリング導入時の注意点

    リスキリングを企業導入する際には、経営層の一方的な押しつけにならないような配慮が必要です。
    多忙な業務の合間を縫って参加することが従業員にとって難しい場合もあるでしょう。リスキリングがキャリアビジョンに直結するという実感を従業員に得てもらうためには、現場の声を反映したプログラムを組むことが重要です。
    プログラムの内製化が難しい場合は、アウトソーシングの活用も視野に入れましょう。

    リスキリングは事業戦略に沿った人材育成に取り組むことが重要

    不確実な未来への懸念が高まり、競合優位性の確立が急がれる中、事業成長に貢献できる人材の獲得や育成は企業の喫緊の課題です。リスキリングもひとつの選択肢として、積極的に導入を検討することをおすすめします。
    リスキリングによる長期育成と同時に、即戦力の人材による体制強化をお考えの際は、パーソルクロステクノロジーの人材派遣サービスの利用をご検討ください。専門性の高いスタッフが、貴社のリスキリングを支えます。

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